著者
章 俊華
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.399-402, 1999-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

本研究では, 中国庭園における「屋宇」による皇家庭園と私家庭園の空間構成の特徴とその隣接状況の比較について, 明らかにすることを目的とした。その結果, 皇家庭園では豪壮華麗, 雄大な自然風景の再現, 強調, 対比などの空間構成に対して, 私家庭園では借景, 対景, また狭い空間に, いかに雄大な風景を作り出すかといった空間構成の特徴が見られた。また, 皇家庭園には門, 殿, 閣などの「屋宇」との隣接パターンが良く使われている。逆に, 私家庭園の場には, 亭, 廊, 館, 軒などの「屋宇」の隣接パターンが非常に豊富であることから, 隣接状況と空間構成の特徴との係わりがわかった。
著者
咸 光珉 孫 鏞勳 三谷 徹 章 俊華
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.393-398, 2012

本研究は韓国の宮殿「昌徳宮」庭園を対象とし,建物にかけられている扁額の意味を分析し,庭園空間の特徴を明らかにすることを目的とした。その結果,扁額の意味は周辺景観(自然物,自然現象,動・植物,季節的要素,眺望)と当時の思想(徳・仁・孝,天人合一,神仙)に関連しており,また扁額の分布によって政治的,思想的,修養的,複合的イメージが強い空間の4 タイプのエリアが得られた。以上より,扁額と共に庭園空間を理解することは,韓国伝統庭園の奥深さを更に深め,空間の特徴をより明確にさせることがわかった。
著者
楊 若琛 劉 書昊 趙 建曄 武田 史朗 章 俊華
出版者
Center for Environmental Information Science
雑誌
環境情報科学論文集
巻号頁・発行日
pp.150-155, 2022-11-30 (Released:2022-12-05)
参考文献数
14

本研究では、世界遺産の首里城を例として、Web スクレイピングによる日本語、中国語及び英語の旅行口コミを収集し、テキストマイニングを通して、国内外の観光客の首里城に対する認識、観光動機と着目点を明らかにした。その結果、観光客は日中文化を表す首里城に高い満足度を持っていることが分かった。しかし、数年間続けている修復工事による国内観光客は消極的な気持ちを抱いていた。日本人が首里城のスポットをよく知っており、観光方法の選択、観光時期と認識も多様であった。中華圏の人は建築物の配置や文物などに興味を持ち、観光インフラの整備状況を重視していた。英語圏の人は主観的な感想もったり、高い場所から景色を見たりする傾向が強い。
著者
章 俊華
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.761-764, 1999-03-30
被引用文献数
3 9

本研究は,中国皇家庭園頤和園を対象として,園内に多く掛けられている「扁額」に表現された内容からみた庭園空間の特徴を明らかにすることを目的としている。研究方法としては文献・資料に記録された「扁額」を思想・芸術・政治的各背景から分析した。その結果,仏教思想,神話・伝説不老不死の神仙思想に基づくもの,倫理や道徳に関する儒教思想に基づくもの,詩歌・絵画,自然の追求,超現実の仙境等芸術的背景と皇帝の恩徳をたたえる政治的背景の両方に基づくもの,統治者の確固たる地位と無限の権勢,知恵等政治背景に基づくものの,以上4つの庭園空間の特徴が見られた。
著者
大野 暁彦 李 可欣 章 俊華 三谷 徹
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.497-500, 2013 (Released:2014-05-08)
参考文献数
16

The aim of this research is revealing the spatial relationship between garden pavilions and design of the waterside in eight gardens of Suzhou registered as a World Heritage Sites. By analyzing the spatial patterns in the elevation of the waterside and pavilions, it tries to understand the pond design that is a united spatial vocabulary with the architectural character of pavilions. This spatial relationship is analyzed by constructing graphic of spatial patterns consisting of the elements surveyed in each garden through the field survey. Through the analyses of surveyed data, followings are observed; the pavilion primarily used for viewing the garden and for a rest is arranged with the waterside of natural-shaped rocks, and most of its foundation are combined with waterside by using natural-shaped rocks, and on the other hand, the pavilions for ceremonies and meetings have the waterside with artificial cut stones. This study concludes not only the importance of considering pavilions as a united set with the landscape design of the shore, but also morphological relationship of pavilions with the design of the waterside. Thus, its shape of the foundation is combined with waterside and has strong influence on whole shape and landscape characteristics of the pond.
著者
章 俊華 木村 弘
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.797-800, 1998-03-30
被引用文献数
3 4

本研究では,中国私家庭園における「廊」に着目し,分析対象庭園の「廊」の種類と分布状況により,空間構成の類型化とその特徴を明らかにすることを目的として,蘇州市にある8つの庭園の「廊」に対して実測調査し考察を行った。その結果,8つの私家庭園における空間構成の類型化は4つのグループに分けられた。その特徴は特有な特性を持つグループA,特有,且つ神秘な特性を持つグループB,離水,且つ開放的な特性を持つグループC,隣水,且つ多様な特性を持つグループDをそれぞれの極とする立体構造の分布が把握できた。「廊」形態の変化に基づいた空間の特質から類型化と対応関係が見られた。