著者
嶋村 正樹 竹下 俊治
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
蘚苔類研究 (ISSN:13430254)
巻号頁・発行日
vol.9, no.9, pp.300-301, 2008-11
著者
時澤 味佳 竹下 俊治
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.33-39, 2014

<p>本研究では,地衣類の相利共生を確かめる実験教材の開発を行った.地衣類を構成する共生菌は有害な紫外線を吸収する成分を生成し,共生藻を保護しているといわれている.そこで,キウメノキゴケから紫外線を吸収する成分をエタノールにより抽出し,UVランプ,UVメータまたは無色の蛍光ペンを用いて,共生菌による紫外線の吸収を確認する実験を開発した.地衣類の共生藻と共生菌の関係は,共生藻が共生菌に光合成で生産した糖を提供し,その代わりに共生菌が共生藻に安定した生育環境を提供する「相利共生」といわれている.共生藻が共生菌に糖を与えていることは,光合成や生産者などの既存の知識から比較的理解しやすい一方で,腐生性や寄生性の生物として知られる菌類が共生藻に利益を与えていることは理解しがたいと考える.そこで,共生菌が共生藻に与える利益を確かめる実験教材が必要であると考えた.本研究では,共生菌が有害な紫外線から共生藻を保護していることに着目した.共生菌による紫外線の吸収は,共生菌が生成する二次代謝産物(地衣成分)によるものである.紫外線を吸収する地衣成分としてはウスニン酸やアトラノリンが代表的である.本研究材料のキウメノキゴケはウスニン酸を生成することが知られている.本研究ではまず,スペクトルメータを用いてキウメノキゴケのエタノール抽出液の光の吸収領域を測定した.その結果,抽出液が紫外領域の波長(300~375 nm)を選択的に吸収していることが分かった.また,培養実験を行いウスニン酸の紫外線吸収により共生藻が受ける紫外線の影響が減少することを確かめた.そして,安価で容易な実験としてUVランプ,UVメータまたは無色の蛍光ペンを用いた紫外線吸収の確認実験を開発した.地衣類の教材としての利点は,移動性や季節的消長がなく時期を問わず入手可能なことや,乾燥標本として長期間保存後でも地衣成分の抽出が可能であることである.本実験は,比較的安価で実験操作も容易であるため,学校現場で利用可能であると考える.</p>
著者
鳥越 兼治 竹下 俊治 大塚 攻
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

エコミュージアム構想の中で,コア施設を竹原市の広島大学水産実験所と江田島市の環境館を選び,それぞれの場所における里海として隣接する場所を選択して活動を実践した。・水産実験所をコア施設とした活動は水産実験所の前の海でウミホタルが採集可能であることから,ウミホタルの採集・観察・発光実験と一連の活動が5月から11月までの期間が可能である。・水産実験所は近くに里海として活用する場所が多様であり,そこへの移動手段の船があることで,自然景観や生態系などを中心としてさまざまな利用形態が可能である。・水産実験所での活動は教育施設として学校関係には広くオープンであるのでコア施設として有効であり広く小・中・高の各学校の生徒に体験学習の場として場所と情報を提供可能であるが,研究主体であるので地域の紹介所としての機能は持たせにくい。・環境館をコア施設とした里海の活動は環境館自体が地域の生涯学習サポート施設であるから,多様な活動を支援できる体制があり,エコミュージアムといっても良いので多様なものが提供できる。・環境館は地域住民が積極的に参加し利用しているので,里海の保存・活用の活動が可能である。しかし,まだ地域全体が博物館という考え方は浸透していないので,地域活性の一つとして先ず地域住民に理解を求める必要がある。・環境館を中心にした周辺フィールドを整理しディスカバリー・トレイルを構築しておくことで,情報を発信することにより地域住民だけでなく他の地域(特に都市)の住民にも体験を提供できる。・里海の活動は産業とも関連している。活動の一部はボランティアだけでは解決できないこともあるので,活動を計画するならば何らかの組織を構築する必要である。