著者
西野 毅朗 杉森 公一 吉田 博 竹中 喜一 佐藤 浩章
出版者
日本高等教育開発協会
雑誌
高等教育開発 (ISSN:24369918)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.46-54, 2022-03-31 (Released:2022-05-06)
参考文献数
7

本研究は、日本における大学教育センター等を評価するためのアセスメントツールを開発することを目的とし、望ましい基準とはいかなるものかを明らかにする。大学教育センター等は、主として大学教育の改善を担う組織であり、日本の約半数の大学が設置しているが、センターそのものの組織体制やサービスを評価するための基準は定かでない。そこで、本研究では3つの段階に分けて、基準の開発に取り組んだ。第1に、米国におけるCTLのアセスメントツールである「A CENTER FOR TEACHING AND LEARNING MATRIX」を日本語に直訳した。第2に、この「直訳版」について日本の大学教育センター等の関係者から意見を収集し、日本の文脈に合わせた表現に変更した「意訳版」を作成した。第3に、意訳版を用いて実際に自組織を評価していただき、評価基準について改善すべき点をヒアリングした。そして、その結果を踏まえた「日本版CTLアセスメントツール」(日本版CTLアセスメント基準および活用ガイドライン)を完成させるに至った。今後は、本評価基準をいかに活用しうるかについて明らかにしていきたい。
著者
竹中 喜一 杉森 公一 西野 毅朗 吉田 博
出版者
日本高等教育開発協会
雑誌
高等教育開発 (ISSN:24369918)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.11-19, 2024-03-31 (Released:2024-03-31)
参考文献数
5

本研究は、日本の大学教育センター等の特徴と課題について「日本版CTLアセスメント基準」を用いて明らかにすることを目的とする。具体的には①センターの特徴や課題は何か、②特徴や課題の背景は何か、③本基準の意義と課題は何か、の3つの問いについて、同基準を分析枠組みに用い、大学教育センター等に所属する教職員を対象としたインタビュー調査を実施した結果をもとに追究した。その結果、日本の大学教育センター等には同基準のカテゴリーである「組織構造」「資源分配とインフラ」「プログラムとサービス」に沿った特徴や課題があり、同基準に4つの意義や2つの課題を有することが示唆された。
著者
竹中 喜一 中井 俊樹
出版者
日本高等教育開発協会
雑誌
高等教育開発 (ISSN:24369918)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.37-45, 2022-03-31 (Released:2022-05-06)
参考文献数
23

本稿の目的は、大学のIR担当者養成研修の受講者を対象として、どのような研修転移がみられたか、もしみられないのであれば何が研修転移の課題であるか、の2点を明らかにすることである。愛媛大学が主催して行った「IRer養成講座」の受講者を対象に行った質問紙調査の結果を分析し、提案や情報発信、分析への活用、計画の立案といった行動変容や、組織的なIRの推進に関する業績向上があったことが明らかになった。ただし、受講者の記述内容には、行動変容の前段階と受け取られるものも散見されており、追跡調査の余地を残した。また、受講者あるいは受講者の職場の状況に課題があり、研修転移に至らない場合もあることが示唆された。
著者
竹中 喜一 中井 俊樹
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.53-58, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

2017年4月以降,大学では知識・技能の習得ならびに能力・資質向上をさせるための研修(スタッフ・ディベロップメント: SD)が義務化されている.組織が研修を行う目的は,職場での行動変容や業績向上である.こうした研修転移を促すためのSD担当者養成研修を設計し,その実践について研修から約3ヶ月後に実施した質問紙調査により評価した.その結果,研修中に取り組んだ組織の人材育成ビジョンやSDの企画案作成が行動変容や業績向上を促している可能性が示唆された.一方で,職場の組織文化や受講者の担当業務といった課題が研修転移の阻害要因となっていることも明らかになった.