著者
中井 俊樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

大学教員の教育と研究の葛藤はどの国においても大きな課題である。イギリスの高等教育アカデミー、アメリカの学生研究体験協議会などにおける研究と議論を中心に分析した結果、教育と研究の関連性を高めるための方策を明らかにすることができた。特に教育と研究の関連性を高める有効な形態の一つとして、学生の研究体験(Undergraduate Research)が注目されており、日本の大学のカリキュラム、教授法、FDの内容にどのように反映することができるのかについて示唆が得られた。
著者
鳥居 朋子 夏目 達也 近田 政博 中井 俊樹
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.217-235, 2007-05-26 (Released:2019-05-13)
参考文献数
24

大学のカリキュラム開発に有効な指針を提供するDiamond の「教育プログラム開発のプロセス」を現場に適用するためには,教員や専門家等によるカリキュラム開発の共同作業の促進が鍵になる.米国ミシガン大学におけるDiamond モデルの適用事例では,カリキュラム開発の過程における仲介者の役割を参考にしつつ,相談業務に有効な調査ツールや評価のためのデータ収集の方法等が工夫されていた.今日,日本では各大学の取り組みによる教育の質向上が期待されている.こうした状況で大学のカリキュラム設計および評価の手法を開発する場合,学内の合意形成や意思決定につながる対話の促進に有効な調査方法の開発・提供や人的支援の方法の改善を図ることが有効な方策の一つになると考えられる.
著者
中井 俊樹
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.2018-010, 2018 (Released:2018-11-03)
参考文献数
3

近年の高等教育政策では,学生の学習成果を可視化して,大学教育の内部質保証を確立することが求められている.そして,学習成果が身についているのかどうかを適切に評価し,組織的に改善することがインスティチューショナル・リサーチ(IR)に期待されている.本稿では,大学におけるIRの実践の効果を高めるための課題を,IRの有効性と限界,大学教育の質保証の特徴,学習成果を捉えるモデル,IRの実践的方法といった論点にそってまとめる.
著者
竹中 喜一 中井 俊樹
出版者
日本高等教育開発協会
雑誌
高等教育開発 (ISSN:24369918)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.37-45, 2022-03-31 (Released:2022-05-06)
参考文献数
23

本稿の目的は、大学のIR担当者養成研修の受講者を対象として、どのような研修転移がみられたか、もしみられないのであれば何が研修転移の課題であるか、の2点を明らかにすることである。愛媛大学が主催して行った「IRer養成講座」の受講者を対象に行った質問紙調査の結果を分析し、提案や情報発信、分析への活用、計画の立案といった行動変容や、組織的なIRの推進に関する業績向上があったことが明らかになった。ただし、受講者の記述内容には、行動変容の前段階と受け取られるものも散見されており、追跡調査の余地を残した。また、受講者あるいは受講者の職場の状況に課題があり、研修転移に至らない場合もあることが示唆された。
著者
竹中 喜一 中井 俊樹
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.53-58, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

2017年4月以降,大学では知識・技能の習得ならびに能力・資質向上をさせるための研修(スタッフ・ディベロップメント: SD)が義務化されている.組織が研修を行う目的は,職場での行動変容や業績向上である.こうした研修転移を促すためのSD担当者養成研修を設計し,その実践について研修から約3ヶ月後に実施した質問紙調査により評価した.その結果,研修中に取り組んだ組織の人材育成ビジョンやSDの企画案作成が行動変容や業績向上を促している可能性が示唆された.一方で,職場の組織文化や受講者の担当業務といった課題が研修転移の阻害要因となっていることも明らかになった.
著者
中井 俊樹
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.95-112, 2014-05-30 (Released:2019-05-13)
参考文献数
24

全学的な教学マネジメントが政策的に推進される中で職員の役割の重要性が指摘されている.しかし,職員の担う具体的な役割については明確にされているとは言えない.本稿では,教務の熟達者と考えられる職員の実践の手法を収集する過程で得られた知見をもとに次の3点が明らかにされた.第一に,熟達者の教務に対する捉え方は一定の共通点をもつが個別に違いも見られた.第二に,教務の熟達者は実践の場面でさまざまな観点から状況判断をしていることが明らかにされた.その状況判断の方法は7つに分類することができた.第三に,職員はマネジメントの推進を担っていくべきだという教務の熟達者も見られたがまだ少数であり,教学マネジメントと直接関連がある内容が教務においてあまり重要であると考えられていないことが明らかにされた.