著者
竹内 幸康 桑原 修 谷 靖彦 太田 三徳 小武内 優 花田 正人
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.397-402, 1992-06-20
被引用文献数
3 1

68歳の女性.1989年9月より咳嗽, 喀痰が出現し, 11月13日近医を受診した.胸部X線検査で右下葉に7.0×4.0cmの鏡面像を伴った空洞陰影と, その周囲に多発性の小空洞陰影を認め1990年1月5日, 当院へ入院した.気管支鏡検査等を施行したが悪性腫瘍との診断は得られず, なんらかの感染により鏡面像と散布巣を形成した気管支性嚢胞と診断し, 1990年1月25日, 右下葉切除術を施行した.病理組織診断は細気管支肺胞上皮癌であった.また胃癌を合併していたため, 1ヵ月後に胃切除術を行った.病理組織所見は低分化腺癌, 深達度は固有筋層内で, リンパ節転移はなかった.原発性肺癌の中で多発性空洞陰影を呈する症例は, 本邦では文献上8例のみで, そのうちの6例が細気管支肺胞上皮癌であった.それら6例は診断時には既に病巣が両側肺に存在し, 外科的治療は施行されなかった.本例は病巣が一葉に限局し多発性空洞を形成したため, きわめて特異な画像を呈した.
著者
松岡 真里 丸 光惠 武田 淳子 中村 伸枝 兼松 百合子 松本 暁子 内田 雅代 竹内 幸江 佐藤 奈保 栗林 浩子 篠原 玲子 西牟田 敏之
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.59-68, 1998-03
被引用文献数
2

気管支喘息患児をもつ母親の,1)ライフスタイルの実態を明らかにする,2)ライフスタイルの要素間の関連を明らかにする,3)母親の特性,喘息児の特性とライフスタイル間の関連を明らかにする,ことを目的に研究を行った.対象は,喘息児をもつ75名の母親であった.質問紙による調査の結果,以下のことが明らかとなった.気管支喘息患児をもつ母親は,家族の健康に関心が高く,楽観的な考えの母親ほど,日常の中でストレスを管理している様子が明らかとなった.また,こどもの自立を望み,子育てへの関心も高かった.しかし,発作に関するストレスや薬の不安などを抱く母親も多く,発作が母親のストレスとなり,発作をコントロールするためにこどもへの統制的な関わりが増していた.以上より,疾患管理についてのみでなく,子育てについてをともに考え,母親自身の生活が充実したものになるように援助することが,喘息児の発作のコントロール,ひいては児の自立にもつながると考えられた.