著者
塩野 裕之 桑原 修 前田 元 太田 三徳 宮崎 実
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.8, no.7, pp.773-778, 1994-11-15 (Released:2009-11-10)
参考文献数
10

国立療養所刀根山病院外科において縦隔郭清を伴う肺癌切除術 (以下, 肺癌切除術) 後の乳糜胸を10年間で8例経験した.4例は保存的に治癒したが, 残る4例は再開胸術を要した.後者では再開胸術前に脂肪を経口投与することにより, 胸管損傷部位が明らかとなった.そこで術後乳糜胸予防を目的として, 麻酔導入時に経鼻胃管より脂肪 (牛乳) を注入し, 胸管の流量を増加させ, 縦隔郭清時および術野洗浄時に胸管と乳糜瘻が容易に視認できるようにした.最近14ヵ月間の肺癌切除症例55例全例に対してこの方法を併用したところ, 術後乳糜胸の発症は認めず, また注入に伴う合併症はなく, 乳糜胸予防に有効と思われた.
著者
竹内 幸康 桑原 修 谷 靖彦 太田 三徳 小武内 優 花田 正人
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.397-402, 1992-06-20
被引用文献数
3 1

68歳の女性.1989年9月より咳嗽, 喀痰が出現し, 11月13日近医を受診した.胸部X線検査で右下葉に7.0×4.0cmの鏡面像を伴った空洞陰影と, その周囲に多発性の小空洞陰影を認め1990年1月5日, 当院へ入院した.気管支鏡検査等を施行したが悪性腫瘍との診断は得られず, なんらかの感染により鏡面像と散布巣を形成した気管支性嚢胞と診断し, 1990年1月25日, 右下葉切除術を施行した.病理組織診断は細気管支肺胞上皮癌であった.また胃癌を合併していたため, 1ヵ月後に胃切除術を行った.病理組織所見は低分化腺癌, 深達度は固有筋層内で, リンパ節転移はなかった.原発性肺癌の中で多発性空洞陰影を呈する症例は, 本邦では文献上8例のみで, そのうちの6例が細気管支肺胞上皮癌であった.それら6例は診断時には既に病巣が両側肺に存在し, 外科的治療は施行されなかった.本例は病巣が一葉に限局し多発性空洞を形成したため, きわめて特異な画像を呈した.
著者
前田 昌純 中元 賢武 中村 憲二 南城 悟 太田 三徳 谷口 清英 坪田 典之 多田 弘人 成毛 韶夫
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.350-358, 1988

1, 562例の気管・気管支形成例の術型について分析, 追補した。術型数は, 1, 569手術例に57, 施行されていた。12の基幹術式のなかで, BBが974手術(62.1%)と最も多く, 続いてTTの282手術(18.0%), TBの92 (5.9%)の順位となる。Tp18手術(1.1%), CRは32手術(2.0%)施行されていた。CR, TB, BB術式は, 各々10, 10, 28のsub type術型にわかれる。手術数の上位3位を示すと, CRでは_<TI>__-CR, _<MM>__-CR_<TM>, ^^<CR>T-IM, TBでは左右のSP, 左右のWPと_<TI>SL, BBでは左右の上葉スリーブ(_<MI>SL SL_<ML>), 左右上葉のWL, 左右のMU吻合術型となる。術型別の合併症では, Tpの77.8%, TMTの40.0%, Teの37.9%, CRの34.4%が目立つ。7気管軟骨輪以下切除のTT, BBのうち_<MI>SL, SL_<ML>, _<MI>WL, WL_<ML>を標準術型とした。合併症頻度は, 各々, 20.3%と12.1%であった。