著者
武田 淳子 兼松 百合子 古谷 佳由理 丸 光恵 中村 伸枝 内田 雅代 Takeda Junko Kanematsu Yuriko Furuya Kayuri Maru Mitsue Nakamura Nobue Uchida Masayo タケダ ジュンコ カネマツ ユリコ フルヤ カユリ マル ミツエ ナカムラ ノブエ ウチダ マサヨ
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.64-72, 1997-06-30
被引用文献数
2

外来通院を続けている慢性疾患患児(糖尿病,悪性腫瘍,腎疾患,心疾患,気管支喘息,てんかんの6疾患)で,普通校に在籍する小学4年生から高校3年生を対象として,学校生活や療養行動を含む日常生活の実際と気持ちを知り,さらに疾患による特徴を知ることを目的として質問紙調査を行った。6疾患あわせて220名からの回答を得,分析した結果,以下のことが明らかになった。1.慢性疾患患児は,日常生活において清潔習慣の実施率が高く,その他疾患管理に必要な日常生活行動の実施率が高かった。2.学校生活において,悪性腫瘍患児や腎疾患患児は欠席日数が多く,体育の授業や行事への参加度が低いなど友人と同じ経験をすることが困難であった。3.学校生活において患児の病気のことを知っている人・理解してくれる人としては,担任に次いで養護教諭,親友が多く挙げられていたが,てんかん患児ではいずれも少なかった。4.療養行動4項目(食事,運動,検査,注射・内服(吸入))については,身体のために必要と考える患児が多く,実施度も比較的高かったが,食事,運動共に制限の強い腎疾患患児では,友人との違いや否定的な気持ちを表現する患児が多かった。5.てんかん患児は,病名を知らされていないことが多いために療養行動の必要性が理解できず,自立した行動がとれていない場合が多かった。6.学齢期にある慢性疾患患児の社会生活への適応を促進するために,学校生活への参加状況を把握するとともに患児の気持ちを重視した看護援助の必要性が示唆された。The purpose of this descriptive study was to inductively develop a substantive theory of menopausal experience in mid-life women using grounded theory methodology. A purposive sample of 33 women, ranging from 45-72 years of age, visited OB/GY clinic, for hormone replacement therapy, were asked regarding their menopausal experience. Data sources included semistructured interview and field notes. Through the constant comparison method for analysis, "rebuilding self-concept" was identified as a major substantive category. It means that women become aware of their own physical and emotional changes and then reconsider and rebuild self-concept. Next, six subsequent categories were explicated: 1. uncertainty of self-concept; 2. disturbance of self-concept (i. e. women are very disturbed by their own attitude and situation); 3. realization of disturbed self-concept (i.e. women realized disturbed self-concept because they are in menopausal phase); 4. expectation of self-concept (i.e. women have a view of their own feature); 5. waver between rebuilding self-concept and barriers (i. e. women carry out one of three empirical decision behaviors of using hormone replacement therapy) and 6. realization of rebuilt self-concept (i. e. women realize the rebuilt self-concept). It is my opinion that the menopausal experience in mid-life women is a process of doing the health promoting behavior which described rebuilding self-concept.
著者
内田雅代 古谷 佳由理 兼松 百合子 中村 美保
出版者
千葉大学看護学部
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
no.15, pp.35-43, 1993-03
被引用文献数
1

千葉大学看護学部3・4年次学生に対して,保育園実習前,後,小児病棟実習前,後の計4回,「こどもに対するイメージ」を調査し,小児看護実習を通してのイメージの変化とその要因を分析した。その結果,保育園実習で多項目にわたりイメージの強さが変化し,そのうち「かわいい」「好き」などは病棟実習前に弱い方向に変化し,病棟実習体験により再び強く感じる項目であった。一方イメージの強さが変化しない項目は「わがまま」「自分本位」であった。各時期のイメージの結果を因子分析したところ,こどもとの直接の接触によると思われる変化がみられた。小児病棟実習での各項目のイメージの変化と受持ち児の年齢,疾患,こどもとのかかわり方のよさは,関係がなかった。実習指導において,学生が実習で体験し感じたことを明確にすることが大切であると考えられた。
著者
武田淳子 松本 暁子 谷 洋江 小林 彩子 兼松 百合子 内田 雅代 鈴木 登紀子 丸 光惠 古谷 佳由理
出版者
千葉大学看護学部
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
no.19, pp.53-60, 1997-03
被引用文献数
8

本研究は,小児科外来受診中の2歳から6歳の小児を対象として,採血時に小児がとる対処行動の特徴を明らかにする事を目的とした。28名のべ33の採血場面を観察し,以下の結果が得られた。1.処置前・中・後と経過がすすむにつれて小児のとる対処行動は減少した。2.処置の全経過を通して自己防衛行動が最も多く,中でも目で見て確認する行動が最も多かった。3.2〜3歳の年少幼児に比して4〜6歳の年長幼児は,処置時にとる対処行動数が多く,多様であった。4.処置に主体的に参加する行動を示した小児は,泣かずに処置を受けていた。
著者
中村 美保 兼松 百合子 小川 京子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.45-52, 1993-03
被引用文献数
5 3

本研究は,外来受診時に採血をうける3歳から7歳の小児を対象に,採血によって小児が感じる痛みの程度と行動に表れる反応について,発達段階や気質などによる特徴を明らかにすることを目的とした。本研究で見出された結果を以下に示す。1.小児によるFace Pain Scaleの評価と観察された行動スケールの総点とは高い相関が認められた。2.処置中に泣いていた小児は泣かなかった小児より年齢が低く,Face Pain Scaleの評価が高かった。3.年齢が高いほど行動スケールの総点が低かったが,Face Pain Scaleの評価は必ずしも低くなかった。4.行動スケールの総点は気質のカテゴリーである機嫌の点数と関連性があった。
著者
中村 伸枝 石川 紀子 武田 淳子 兼松 百合子 内田 雅代
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究の目的は,2型糖尿病患者や肥満児を含めた小児とその親が,どのように自分の健康についての認識をもち,日常生活や健康管理行動を行っているのかを明らかにし,看護援助方法を検討することである。目的に添って2つの調査研究を行った。研究1(平成9年度):小児期発症の2型糖尿病患者および1型糖尿病患者を年齢・性をマッチさせた各20名を対象として療養行動,自尊感情,ソーシャルサポートについての自記式質問紙調査と,病気や療養行動の認識についての面接調査を行った。その結果,(1)2型糖尿病患者も1型糖尿病患者と同程度に病気の影響を受け止めていたが,1型糖尿病患者の方が,より肯定的に病気を受け止めていた。(2)外来受診,ストレス管理,禁煙,体重管理について1型糖尿病より2型糖尿病患者の方が大切であるという認識が少なかった。(3)セルフケアの動機づけは外来受診,体重増加,合併症発症により,高められていた。研究2(平成10年度):1485組の学童とその親に日常生活習慣と健康状態の実態と認識についての自記式質問紙調査を行った。その結果,(1)学童と親の日常生活習慣と肥満度には関連がみられた。(2)楽しく体を動かすことは,学童の心身両面を整えるうえで重要であった。(3)親は学童の身体面の問題はとらえやすいが,ストレスなどの心理面の問題はとらえにくい傾向がみられた。(4)学童の生活習慣が改善できない理由には,生活習慣の内容により特徴がみられた。(5)肥満度20%〜30%の軽度肥満の学童の親や,喘息など肥満以外の健康問題をもつ学童の親は,肥満を問題ととらえにくく,日常生活習慣の改善が必要であるとは考えにくいことが示唆された。本研究の成果をもとに,小学校で実施できる日常生活習慣改善プログラムを養護教諭とともに作成し,実施することを計画中である。
著者
二宮 啓子 今野 美紀 谷 洋江 中村 伸枝 兼松 百合子
出版者
神戸市看護大学
雑誌
神戸市看護大学紀要 (ISSN:13429027)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.47-57, 1999-03-31

The aims of our diabetes summer camp are to provide opportunities : to make friends and have good time with both children and adolescents with IDDM and the camp staff members, to learn that they can do the same social activities as normal children/adolescents if they can manage their diabetes adequately and to gain positive attitude and motivation for diabetes self-management. The diabetes summer camp of 8 days in 1996 was held in August with 49 IDDMs from first grade to twelfth grade and 76 camp staff members per day including 4 pediatricians, 9 nurses, 3 dieticians, 2 educational counsellors and 58 student volunteers. Our intervention to develop autonomy was promoting decision-making on diabetes self-care activities with good understanding. It included three methods : 1) self-recordings using 2 types of cards, 2) encouragement and support, 3) group lessons. Children/adolescents were encouraged to discuss with nurses to make decisions at insulin reactions and all other occasions. Our intervention were evaluated by two types of cards used in the camp, and the checklists for children/adolescents' autonomous behaviors in the camp, which were written by nurses and student nurses after the camp. The following results were obtained : 1) The younger children enjoyed card recordings. In contrast, the older children showed less interests in recordings. 2) 11 out of 49 children under 4th grade and first-time campers could expand injection and blood sampling sites. 3) From nurses' and student nurses' observation, development of autonomy was found in : (1) Preventing and coping with hypoglycemia by taking appropriate kind and amount of snacks. (2) Exercise to decrease blood sugar level. (3) Adjusting insulin dose according to blood sugar level. (4) None of them could develop autonomy in adjustment of diet. These findings suggest that new interventions other than self-recordings using cards will be needed for older children, and developing autonomy in terms of adjusting kind and amount of served food according to blood sugar level will be needed.
著者
内田 雅代 中村 美保 武田 淳子 古谷 佳由理 中島 光惠 兼松 百合子 河野 陽一
出版者
千葉大学看護学部
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.119-122, 1994-03

外来通院中の小学4年生から高校生までの気管支喘息児を対象に,日常生活の現状,ストレスの程度,周囲の人々から感じているサポートについて,それぞれ自作の質問紙を用いてこども自身に調査した。その結果,男児14人,女児12人,計26人から回答が得られた。ストレス体験では「病気のことで悩んだ」が13人と最も多く,病気であるためのストレス体験が多かった。ソーシャルサポートの程度は,親,友人,医師・看護婦,先生の順に低くなっていた。学校生活の状況では,体育に「いつも参加」が15人,「身体の状態によって」が11人で,ストレスの平均点は「いつも参加」の方が低かった。「学校生活が楽しい」は18名と多く「つまらない」は1人であり,この患児のストレスは高く,「病気のためみんなと同じようにできない」と訴えていた。療養行動では,喘息カレンダーを「いつも自分で」つけるのは6人,また,発作が起こりそうな時の対処行動として,「水を飲む」「痰を出す」はそれぞれ10人,「腹式呼吸は」3人と少なく,セルフケア行動においては,自立性が低い傾向がみられた。患児の気持ちを確認しながら,発作の予防のためのセルフケア行動の意義や実際の対処方法を患児自身が見出せるよう援助していくとともに,周囲の理解と協力を求めていくことがセルフケア行動促進への援助につながると思われる。
著者
松岡 真里 丸 光惠 武田 淳子 中村 伸枝 兼松 百合子 松本 暁子 内田 雅代 竹内 幸江 佐藤 奈保 栗林 浩子 篠原 玲子 西牟田 敏之
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.59-68, 1998-03
被引用文献数
2

気管支喘息患児をもつ母親の,1)ライフスタイルの実態を明らかにする,2)ライフスタイルの要素間の関連を明らかにする,3)母親の特性,喘息児の特性とライフスタイル間の関連を明らかにする,ことを目的に研究を行った.対象は,喘息児をもつ75名の母親であった.質問紙による調査の結果,以下のことが明らかとなった.気管支喘息患児をもつ母親は,家族の健康に関心が高く,楽観的な考えの母親ほど,日常の中でストレスを管理している様子が明らかとなった.また,こどもの自立を望み,子育てへの関心も高かった.しかし,発作に関するストレスや薬の不安などを抱く母親も多く,発作が母親のストレスとなり,発作をコントロールするためにこどもへの統制的な関わりが増していた.以上より,疾患管理についてのみでなく,子育てについてをともに考え,母親自身の生活が充実したものになるように援助することが,喘息児の発作のコントロール,ひいては児の自立にもつながると考えられた.
著者
中村 伸枝 武田 淳子 伊庭 久江 林 有香 遠藤 巴子 日高 倫子 兼松 百合子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.67-73, 2003-03

本報告では,看護職が養護教諭と連携して,小学校3年生の1クラス31名(男子17名,女子14名)に対し,万歩計を用いた身体活動に焦点をあてた「学童とその親の生活習慣改善プログラム」を作成・実施した内容を報告する.プログラムでは,クラス全体に対するものと従来養護教諭により行われてきた個別指導を合わせて実施した.また,歩数が増えるほどキャラクターが成長する万歩計と,1年間通して使用できる「生活とけんこうを考えよう」と題したファイルを作成して各人に配布し,教材として利用した.1年間の実施の中で,万歩計の歩数が増えキャラクターが成長していくのを楽しむ学童は多く,運動に関することを生活目標にあげ,がんばったとした学童が多かった.1学期と3学期の肥満度は,男子では有意な増加(p<0.05)が認められたが,女子は有意差はなく学期毎にわずかに低下していた.1学期と3学期の間で肥満度が5%以上増加していた学童は,万歩計を用いた身体活動が有意に少ない傾向がみられた(p<0.05).また,自由研究で「万歩計による1日の運動量調べ・食事調べ」を行った中等度肥満の女子では,運動だけでなく食事についての理解も深められていた.従って,万歩計を用いて運動に焦点を当てたプログラムは,小学校3年生に対し効果が期待できると考えられた.看護職と養護教諭が連携して活動していくことで,学童とその親に対する活動を深めることができたと考えられる.