著者
竹内 正興
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 教育学研究科篇 (ISSN:18833993)
巻号頁・発行日
no.44, pp.19-33, 2016-03-01

本研究は、進学校出身者が非進学校出身者と比べ、大学不本意入学となるリスクが高いことを明らかにし、不本意入学者を出さないための習熟度別クラス編成のあり方を提案することを目的とする。先行研究からの考察、ならびにアンケート調査による検証を試みた結果、進学校出身者は非進学校出身者と比べ、第一志望で大学に入学する割合が低く第二志望以下での入学になると不本意入学となりやすいのに対し、非進学校出身者は第二志望以下でも大学入学への本意度が高いメンタリティを持っていることが示唆された。調査結果と考察より、本稿では、進学校出身者は非進学校出身者と比べた場合、自己選抜機能が働きにくいと考えられる点を踏まえ、進学校でのバンディング型の習熟度別クラスの導入による学業的能力における自己概念の修正機能の強化が、高校での自己の評定を前提とした納得度の高い志望校の選定を促進し、大学進学に際しての不本意感の抑制に寄与できる可能性を指摘した。不本意入学進学校出身大学志望度評定
著者
竹内 正興
出版者
独立行政法人 大学入試センター
雑誌
大学入試研究ジャーナル (ISSN:13482629)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.97-104, 2021 (Released:2023-09-07)
参考文献数
10

本研究は,国立B大学の事例から,国立大学一般選抜において,大学入試センター試験受験後に出願校を変更しても大学入学満足度が高い者の特徴を,出願理由から検討することを目的とする。国立B大学新入生アンケート結果からは,大学入学満足者の出願理由に見られる特徴として,大学入学不満足者と比べた場合,第一志望校への合格以外に,大学入学後の学びが出願理由に含まれていることや,多くの出願理由を持っている傾向が見られることがわかった。第一志望校に合格することは受験の目標ではあるが,それは最終の目標ではなく,あくまでも,大学入学後の学びなど将来の目標達成に向けたステップであるという意識を持って最終的な出願校を選定することが,大学入学満足度を高める上で重要であることが示唆された。
著者
竹内 正興 定金 浩一 Masaoki TAKEUCHI Koichi SADAKANE
出版者
甲南大学教育教職センター
雑誌
甲南大学教職教育センター年報・研究報告書 = Konan University Teacher Education Center Annual Report and Bulletin (ISSN:18825338)
巻号頁・発行日
no.2019, pp.1-11, 2020-03-31

本研究は、現代の大学不本意入学者の実態を入学と就学の観点から検討することを目的とする。検討の結果、現代の「不本意入学者」について、主に二つのタイプの「不本意入学者」が存在する可能性が示唆された。一つは、入学する大学に対して不本意感を持つタイプであり、もう一つは、入学する大学に対しての不本意感の中に、高校卒業後の進路先が大学進学になったこと自体に対する不本意感が組み合わさるタイプである。二点目の「不本意入学者」が顕在化した要因としては、大学進学率の上昇が考えられる。大学進学率が50%を超えたことで、大学進学という進路選択が、当事者が権利として持つ主体的な選択から義務感へ移行し、当事者が持つメンタリティを複雑にしている可能性が示唆された。