著者
田崎 優里 山田 恭子 浦崎 直光
出版者
独立行政法人 大学入試センター
雑誌
大学入試研究ジャーナル (ISSN:13482629)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-6, 2023 (Released:2023-08-14)
参考文献数
7

本研究では,2021年度に開催されたWEB型オープンキャンパス(WEB型)と,2019年度に開催された来場型オープンキャンパス(来場型)にどのような差異があるかについて,それぞれの特徴を示すことで明らかにすることを試みた。加えて,WEB型が志望順位と志望の程度にどのような効果を持つのかについて検証した。その結果,来場型は高校1年生と2年生,及び県内在住者が有意に多いのに対し, WEB型は高校3年生と既卒生,及び県外在住者が有意に多いことが示された。また,来場型の満足度が中程度であったのに対しWEB型の満足度は高いという特徴が示されたが,WEB型への参加が志望順位や志望の程度を高めるという効果は示されなかった。
著者
吉村 宰
出版者
全国大学入学者選抜研究連絡協議会
雑誌
大学入試研究ジャーナル (ISSN:13482629)
巻号頁・発行日
no.17, pp.39-42, 2007-03

選抜への寄与と評価の信頼性の観点からAO入試における書類選考データの分析を行った。長崎大学AO 入試では第1次選考として書類選考が行われる。受験生が提出する書類のうち「自己推薦書」に焦点をあてその評価の信頼性と第1次選考での選抜への寄与の程度をそれぞれ確認した。「自己推薦書」の評価の信頼性は概ね高いものであるが,評価の基準が十分に明確でない場合に信頼性が低下する傾向が確認された。共分散比に基づく「自己推薦書」の選抜への寄与の程度は配点比と大きく異なることもあり採点手続等に工夫が必要であることが示唆された。
著者
益川 弘如 白水 始
出版者
独立行政法人 大学入試センター
雑誌
大学入試研究ジャーナル (ISSN:13482629)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.162-168, 2019 (Released:2023-09-07)
参考文献数
17

入試問題の改変には問題形式の違いが引き出す思考過程に関する知見が必須である。本研究は,良問と言われる東京大学の国語記述式問題がいかなる思考過程を引き出しているかについて,同じ作者の文章が出題された大学入学センター試験の多肢選択式問題と比較した。思考発話実験の結果,前者の方が参加者から,問題文全体を読み,内容理解に基づいて解答を検討するという思考過程を誘発することがわかった。今後の入試問題の改変に向け,出題意図と出題形式や設問構成,そしてそこで誘発される思考過程とを一体的に検証することの重要性を指摘した。
著者
小俣 岳
出版者
独立行政法人 大学入試センター
雑誌
大学入試研究ジャーナル (ISSN:13482629)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.223-228, 2024 (Released:2024-03-31)
参考文献数
28

日本から留学する学生が最も多いのは米国だが,学位取得目的の留学は少ない。ここに,国内普通科高等学校から米国学士課程へ直接進学する際に障壁があると考えられる。限定的な政府主導の送り出し留学支援,高校生の留学への消極性という環境下で,それでも米国大学進学を希望する高校生にとっての情意面,社会経済面,そして教育・入試制度の違いに起因する障壁につき,先行研究および各種データに基づき整理する。
著者
柳浦 猛 日下田 岳史 福島 真司 山地 弘起
出版者
独立行政法人 大学入試センター
雑誌
大学入試研究ジャーナル (ISSN:13482629)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.248-253, 2024 (Released:2024-03-31)
参考文献数
20

本稿は,2016 年度に施行された私立大学の定員管理厳格化政策が,志願者の大学進学にどのような影響をもたらした可能性があったのかを考察する。まず,教育経済学的視点から,当該政策と類似した性質を持つと考えられる海外の高等教育政策として,米国の大学選抜におけるアファーマティブアクションの廃止を取り上げ,両者の政策の類似点について論じる。次に,アファーマティブアクションの廃止がマイノリティ志願者に与えた影響に関する実証研究をもとに,定員管理厳格化政策が都市部に比べ地方部の志願者に対してアンダーマッチングのリスクをより高め,地方と都市部の経済格差の拡大のリスク要因を高めていた可能性を指摘する。
著者
竹内 正興
出版者
独立行政法人 大学入試センター
雑誌
大学入試研究ジャーナル (ISSN:13482629)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.97-104, 2021 (Released:2023-09-07)
参考文献数
10

本研究は,国立B大学の事例から,国立大学一般選抜において,大学入試センター試験受験後に出願校を変更しても大学入学満足度が高い者の特徴を,出願理由から検討することを目的とする。国立B大学新入生アンケート結果からは,大学入学満足者の出願理由に見られる特徴として,大学入学不満足者と比べた場合,第一志望校への合格以外に,大学入学後の学びが出願理由に含まれていることや,多くの出願理由を持っている傾向が見られることがわかった。第一志望校に合格することは受験の目標ではあるが,それは最終の目標ではなく,あくまでも,大学入学後の学びなど将来の目標達成に向けたステップであるという意識を持って最終的な出願校を選定することが,大学入学満足度を高める上で重要であることが示唆された。