著者
安部 伸太郎 廣田 一紀 平田 和彦 竹本 光一郎 井上 亨 比嘉 和夫
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.52-55, 2013 (Released:2013-03-22)
参考文献数
11

硬膜外自家血注入を3カ所に行うことで,外傷性低髄液圧症候群が治癒した症例を報告する.患者は44歳の男性で,入院の3週間前に後頸部から背部にかけて強くマッサージをされ,その翌日から起立性頭痛が生じた.頭部と頸部MRI,MRミエログラフィー,RI脳槽·脊髄液腔シンチグラフィー,髄液圧測定により,硬膜下血腫を伴う外傷性低髄液圧症候群と診断したが,髄液の明確な漏出個所は特定できなかった.入院での安静臥床と輸液による保存的治療を開始したが,入院7日目に頭痛は増悪し,硬膜下血腫は増大した.入院11日目に瞳孔不同をきたしたため穿頭血腫除去術を行い,同日に第7頸椎/第1胸椎間の硬膜外腔に自家血13 mlを注入した.しかし,頭痛は消失しなかった.入院15日目の腰部MRI,17日目の胸部MRIで,胸椎下部から腰椎上部にかけての硬膜外腔に髄液が漏出していたが,明確な漏出個所は不明であった.入院19日目に第3/4腰椎間の硬膜外腔に自家血16 mlを注入したが,頭痛は消失しなかった.入院22日目に第9/10胸椎間の硬膜外腔に自家血12 mlを注入し,2時間後に頭痛は消失した.頭痛が消失して1カ月後には,硬膜下血腫と瞳孔不同は消失した.
著者
堀尾 欣伸 竹本 光一郎 古賀 嵩久 河野 大 保田 宗紀 佐原 範之 高木 勇人 嶋田 裕史 阪元 政三郎 井上 亨
出版者
一般社団法人日本脳神経超音波学会
雑誌
Neurosonology: 神経超音波医学
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.144-147, 2017
被引用文献数
2

A 79-year-old woman was admitted to our hospital with vertigo. Vertigo was exacerbated by head rotation. Head magnetic resonance imaging revealed no acute cerebral infarction. The bilateral posterior communicating artery was not seen on magnetic resonance angiography. Three-dimensional computed tomographic angiography revealed severe stenosis in the left subclavian artery. Carotid Doppler ultrasonography (CDUS) revealed a change in the vertebral artery (VA) blood flow with the head rotated. These findings were also confirmed using dynamic digital subtraction angiography (DSA). Stenting in the left subclavian artery was performed, and the vertigo disappeared. This is the first report of subclavian steal syndrome that appeared with head rotation. These findings suggest that evaluation of VA and subclavian artery using dynamic CDUS and DSA is required for patients presenting with vertebrobasilar insufficiency even if VA blood flow is antegrade in the neutral position.
著者
竹本 光一郎 岩朝 光利 西川 渉 安部 洋 福島 武雄 宇都宮 英綱 高野 浩一 黒岩 大三
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.11, pp.706-712, 2005-11-20

今回, 脳底動脈・persistent primitive trigeminal artery (PPTA)分岐部に発生した破裂動脈瘤に対し, コイル塞栓術を施行した症例を経験したので報告した.症例は, 72歳, 女性.突然の意識障害で発症し, 当院に入院となった(W.F.N.S grade V).頭部CTにてクモ膜下出血がみられた.頭部血管撮影にてPPTAがみられ, 脳底動脈・PPTA合流部に2こぶ状の動脈瘤を, 右内頸動脈海綿静脈洞部にも1つ動脈瘤を認めた.脳底動脈・PPTA合流部動脈瘤の内, 大きいほうの動脈瘤は, 4mm大でblebを伴っていた.神経原性肺水腫を呈しており, 患者のgradeが悪く, 動脈瘤の発生部位より, 手術的クリッピングは困難と考え, 第3病日目にPPTA経由でコイル塞栓術を施行した.塞栓術後, 正常圧水頭症に対しV-P shunt術を施行し, 継続リハビリテーション目的に転院した.本症例は, 脳底動脈・PPTA合流部に発生した破裂動脈瘤に対するコイル塞栓術としては初めての症例報告であり, 文献的考察を加え報告する.