著者
宇都宮 英綱 原田 敦子 小山 智史 起塚 庸 山中 巧
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.42-54, 2021 (Released:2021-03-27)
参考文献数
26
被引用文献数
1

小児頭部外傷の画像診断は虐待に起因する頭部外傷(abusive head trauma; AHT)を鑑別する意味においても極めて重要である.しかし,AHTの病態や画像診断に関しては多くの議論があり,今なお一定の見解は得られていない.本稿では,AHTを含めた小児頭部外傷の理解を深めるため,特に乳幼児期の外傷例(頭血腫,硬膜外血腫,頭蓋冠骨折および硬膜下血腫)から頭蓋冠(特に縫合)と髄膜(特に硬膜境界細胞層:dural border cell layer)の発生と解剖について検討する.加えて,急性硬膜下血腫に併発する外傷後急性脳浮腫の発生機序についても神経興奮毒性の観点から考察する.
著者
宇津木 玲奈 宇都宮 英綱 藤永 貴大 有田 英之 前野 和重 原田 敦子
出版者
一般社団法人 日本小児神経外科学会
雑誌
小児の脳神経 (ISSN:03878023)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1-7, 2021 (Released:2021-03-31)
参考文献数
11

表在脳実質性軟髄膜出血(以下SPLH)は,脳溝に沿って進展する軟髄膜出血と同領域に併発する皮質下出血を特徴とする正期産児の分娩時発症頭蓋内出血と報告されている.新生児のまれな外傷性変化であり実地臨床ではよく知られていない.今回我々は,SPLHと画像診断した自験例5例の画像所見と臨床像を解析し,SPLHの発生機序を分娩時の過度な頭蓋変形による軟髄膜出血とこれに起因する髄質静脈の灌流障害で静脈性皮質下出血を併発したものと推察した.正期産児の脳実質内出血の診断時には本病態を念頭におく必要がある.
著者
仲宗根 瑠花 宇都宮 英綱 影山 悠 原田 敦子 福屋 章悟 前野 和重 来田 路子 大西 聡 起塚 庸 南 宏尚
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.261-265, 2019 (Released:2019-10-26)
参考文献数
11

MRI所見が症候性developmental venous anomaly (DVA) の病態をよく反映していた症例を経験したので報告する. 症例は11歳, 男児. 炎天下で遊んでいたところ突然の嘔気・嘔吐に続き意識障害が出現し, 救急搬送された. 入院時, 左共同偏視と左顔面のけいれんを認めた. 入院時のCTで, 右側頭葉から側脳室三角部まで連続する火の玉状の高吸収域を認め, 脳血管奇形が疑われた. 入院3日目のMRIでは, 磁化率強調画像で右側脳室に向かって集簇する髄質静脈を認め, 集簇点から側頭葉脳表に向かって浅中大脳静脈と連結する著明に拡張した中心髄質静脈を認めた. この所見から, 表在還流型DVAと診断した. 同時に行った造影MRIでは, 中心髄質静脈の増強効果はみられず血栓化が示唆された. 第8病日の造影MRIでは中心髄質静脈は描出されており再開通と考えた. 抗凝固薬は使用せず点滴加療のみで症状は改善し, 入院10日目に独歩退院した. 症候性DVAの症状発現機序は未だ不明な点が多い. 本症例では, 中心髄質静脈に血栓化をきたし, 局所の脳静脈圧が亢進したことによる灌流障害を生じたことが症状発現の一因になったと考えられた. また, 血栓化の要因としては元来中心髄質静脈の還流障害があり, これに脱水が加わって血栓形成を助長したと推察された.
著者
竹本 光一郎 岩朝 光利 西川 渉 安部 洋 福島 武雄 宇都宮 英綱 高野 浩一 黒岩 大三
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.11, pp.706-712, 2005-11-20

今回, 脳底動脈・persistent primitive trigeminal artery (PPTA)分岐部に発生した破裂動脈瘤に対し, コイル塞栓術を施行した症例を経験したので報告した.症例は, 72歳, 女性.突然の意識障害で発症し, 当院に入院となった(W.F.N.S grade V).頭部CTにてクモ膜下出血がみられた.頭部血管撮影にてPPTAがみられ, 脳底動脈・PPTA合流部に2こぶ状の動脈瘤を, 右内頸動脈海綿静脈洞部にも1つ動脈瘤を認めた.脳底動脈・PPTA合流部動脈瘤の内, 大きいほうの動脈瘤は, 4mm大でblebを伴っていた.神経原性肺水腫を呈しており, 患者のgradeが悪く, 動脈瘤の発生部位より, 手術的クリッピングは困難と考え, 第3病日目にPPTA経由でコイル塞栓術を施行した.塞栓術後, 正常圧水頭症に対しV-P shunt術を施行し, 継続リハビリテーション目的に転院した.本症例は, 脳底動脈・PPTA合流部に発生した破裂動脈瘤に対するコイル塞栓術としては初めての症例報告であり, 文献的考察を加え報告する.