著者
平塚 広 竹野 健次 佐々木 健
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.105-111, 2004-06-15 (Released:2010-06-08)
参考文献数
7

鉄瓶は古くから茶器として利用されて来たが, 最近, 粗悪で安価な鉄瓶が出回り, 市場が混乱している.我々は鉄瓶の品質を科学的に解明する一つの方法として, 加熱の際での水質変動を追跡し, さらに味との関係の検討を行った.南部製と外国製の鉄瓶に水道水を入れ, LPGガス加熱調理器で加熱し水質変動を追跡した.南部鉄瓶 (三笠および丸南部) の場合では水質に変化はそれほど認められなかったが, 外国製の鉄瓶では硬度, pH, 重炭酸イオンの上昇などの急激な水質変化が認められた.すなわち, 外国製のある鉄瓶では30分加熱で硬度が19.00mg/Lから53.00mg/L, pHが7.00から9.40, 重炭酸イオンは14.00から30.40mg/Lに変化した.さらに南部, 外国製双方の鉄瓶で沸騰させたお湯で, 抹茶を立て成分分析をしたところ, 南部鉄瓶では抹茶のアミノ酸溶出が外国製に比べ速やかであることが確認された.
著者
佐々木 健 岸部 貴 竹野 健次 三上 綾香 原田 敏彦 大田 雅博
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
生物工学会誌 : seibutsu-kogaku kaishi (ISSN:09193758)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.432-446, 2013-08-25

光合成細菌,Rhodobacter sphaeroides SSIを,電磁石で回収可能な多孔質セラミックに固定化して,放射性核種であるU,SrおよびCoと重金属または有害金属のHg,Pb,Cr,CdおよびAsの除去実験を行った.ほぼ100%のU,82%のSr,58%のCoと,ほぼ100%の重金属または有害金属が,2-4日間,人工下水中で好気処理することにより除去された.廃棄ガラスで作製した多孔質セラミックにSSI株を固定化したところ,CsとSrの同時除去が達成された.1トンタンクを用いた屋外実証実験では,ほぼ100%のCsと,62%のSrが,2-3日の処理後に除去されていた,アルギン酸を用いて約2cmのビーズ状に固定化したSSI株を用いて,福島市中の学校の水泳プールの放射性Cs除去を行った.3日の好気処理で水泳プールの底の底質(ヘドロ)中に蓄積された放射性Csの約90%が除染された.このビーズは少なくとも3回は繰り返し使用が可能であった.回収したビーズは,低温(約600℃)で乾燥と灰化を行うと,重量と容量がそれぞれ,99.3%と97.3%に,放射能を大気中にまき散らすことなく減容できた.さらに,福島の放射能汚染された土壌について,乳酸発酵と嫌気消化を前処理として行い,引き続き固定化SSIビーズで追加処理を行ったところ,約19日のSSI株追加処理で放射能汚染土壌の放射能の約70%が除染された.このように,乳酸発酵と嫌気消化と固定化SSI処理を新規に組み合わせることにより,土壌に対する実用的かつ効果的な放射性Csの除染技術が開発された.