著者
笹森 崇行 澤谷 邦男 安達 三郎 朝日 道成 有田 高治 岡村 信男
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.122, no.3, pp.424-428, 2002-03-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
11

It has been pointed out that a very strong electromagnetic field is induced occasionally along aerial power lines located near a medium wave (MW) broadcasting station, and the construction and the maintenance of power lines are sometimes endangered. We have presented a method to predict a dangerous span before the construction and the maintenance, and a use of a loading of appropriate inductor to decrease the induced field the case where the resonant loop is composed of three power lines, i.e., a top conductor, a middle conductor and a bottom conductor and part of towers. In this paper, the effect of loading inductor for the case that the resonant loop includes a ground wire is presented. Since the ground wire is connected directly to the tower, the inductor can not be loaded into the ground wire. It is shown that the field strength in the vicinity of three power lines can be suppressed by loading the inductor to three power cables each. However, the field in the vicinity of the ground wire can not be suppressed significantly. Measured values of the field strength in the vicinity of the bottom conductor is presented to confirm the suppression effect.
著者
笹森 崇行 澤谷 邦男 安達 三郎 村井 泰仁 小川 正浩 井口 勝弘 西山 光生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.645-652, 1999-04-25
被引用文献数
12 3

架空送電線の工事や保守作業を行うときには, 感電事故を防ぐために作業回線の送電を停止するとともに, 商用周波数の誘導電流による感電対策のために電線を鉄塔に接地する. しかしながら, このような接地による誘導対策を行ってもラジオやテレビの放送所の近傍にある送電線では, 送電線上に大きな誘導電流が流れる場合があることが, 以前から指摘されてきた. そのために, 放送所近傍の送電線については放送が行われていない深夜などに作業を行うのが実状であった. しかしながら, このように送電線に放送波が強く誘導される場所は極めてまれであるために, 放送波による誘導現象を詳しく研究した例は現在までになかった. 本論文では, 放送波による大きな誘導電界が発生する場所を取り上げ, 誘導現象をモーメント法によって解析する. まず, 誘導電界の周波数特性を求め, 送電設備が多くの周波数で共振していることを示す. つぎに, 四つの共振周波数において, 地線を含む各送電線上を流れる誘導電流を求めることにより, 送電設備の共振構造を明らかにする. また, 放送波による誘導が発生する送電線の場所を予測する方法について考察する.
著者
笹森 崇行
出版者
仙台電波工業高等専門学校
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

送電線や鉄塔等の送電設備が電磁環境に及ぼす影響の1つとして,中波ラジオ放送所の近傍にある送電設備の工事や保守点検を行うときに,送電線に高い誘導電界が発生する場合があることがあげられる.普通は工事や保守点検時にも停電を避けるために,作業を行う側の回線は送電を停止するが,もう一方の回線は送電したまま行うのが一般的である.しかしこの状態のままでは,隣の送電線を流れる電流からの誘導によって,作業を行う送電線に誘導電流が発生して危険である.そこで,この商用周波数の誘導電流を防止するため,作業をする側の送電線は鉄塔に接続することになっている.しかしながら,中波ラジオ放送所の近傍にある送電設備においては,送電線と鉄塔が接続されることによってできたループがラジオ放送波と共振して高い誘導電界が発生する場合があることが報告されている.本研究では,隣の送電線を流れる電流による誘導と放送波による誘導の両方を低減するための対策として,送電線と鉄塔の接続部にコイルを取り付ける方法を提案した.また,理論解析によって効果的なコイルの値や取付場所について検討し,実測によってその効果を確認した.その結果,適切な値のコイルを適切な位置に取り付けることによって,放送波による誘導電界は大きく低減できることが確認できた.さらに,送電線にコイルを取り付けても誘導電界強度が低くならない径間があることも明らかになってきた.このような問題点があることなどから,本研究を押し進めて送電設備が電磁環境に及ぼす影響の解析と対策をさらに明らかにしていく必要があると考えられる.