著者
堀井 満恵 笹野 京子 筏井 沙織 石井 仁乃 長谷川 ともみ
出版者
富山大学
雑誌
富山医科薬科大学看護学会誌 (ISSN:13441434)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.33-42, 2002-04

本研究は母親がパニックに陥ることなく, 児の泣き方や泣き声からそのニーズや訴えの意味を把握し, 的確なケアができるよう, 現在育児の真っ只中にある母親達に, 児の空腹時, 不快時, 眠い時, 甘えたい時の泣き方や泣き声の判別に, どのような方法や手段を用いているか, また, その断定の根拠などについてアンケート調査し, 一方, 育児経験は無いものの同年代であり且つ近い将来看護支援者になるであろう本学看護学生が児の泣き声にどのような判別の方法や手段が得られるのかを探るため, 調査に協力が得られた4年次生に, 泣き声テープを聴いてもらい聴き分け状況を調査し, 比較検討を行った.その結果, 母親は児の泣き方の判別手段として「時間」が最も多く, 次に「時間と声の調子」を挙げ, 僅かの人が「しぐさ」で判断していた.また, その獲得要因としては「育児の中の気持ちの安定」「時間」「しぐさ」「声の調子」に加え, その泣きの意味を解かろうとして「おっぱいを与える」「おむつを換える」「抱っこする」「声がけをする」など, 児の反応を見ながら, こまめに対応している母親は早期に判別できることがあきらかになった.
著者
笹野 京子 加城 貴美子 高塚 麻由 阿部 正子 西方 真弓 和田 佳子
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
新潟県立看護短期大学紀要 (ISSN:13428454)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-8, 2004
被引用文献数
1

妊婦体験ジャケット着用による妊婦体験学習の教育効果を明らかにすることを目的に,研究に同意の得られた47名の学生に学習前後に調査を行った結果,以下のことが明らかになった。学生が記述した妊婦の身体的変化の項目のうち,体験後にその比率が多くなったのは「後傾姿勢」,「腰痛」,「肩こり」(p<0.01)などに有意差があった。日常生活上の変化の項目では「日常生活行動の困難」,「前傾姿勢が困難」,「座り立ちの動作困難」(p<0.01),「転倒の危険性」(p<0.05)などに有意差があった。また,精神的変化の項目では「日常生活上のストレス」(p<0.01)などに有意差があった。反対に学生の記述が体験後に減少または消失した項目は,「浮腫」,「出産・児に対する不安」(p<0.01)など体験学習では体験できないことであった。また,学生が記述した妊婦への保健指導項目では,体験学習で得た体験に基づき体験後にその保健指導項目の比率が多くなり,反対に体験できない項目については減少または消失していた。以上のことから,学生がその体験学習から学び得る傾向を十分理解した上で,看護教育へ導入していく必要があると結論される。