著者
筒井 大祐
出版者
佛教大学総合研究所
雑誌
仏教大学総合研究所紀要 (ISSN:13405942)
巻号頁・発行日
no.25, pp.1-13, 2018-03

京都府八幡市男山に鎮座する石清水八幡宮には、古文書や古典籍が数多く伝来しており、それらは石清水八幡宮古文書として、国の重要文化財に登録されている。その古典籍の中に、昭和二十二年の社務所の火災で焼失したとされる『八幡宮寺巡拝記』の現存を確認した。そこで本稿では、その『八幡宮寺巡拝記』の書誌調査と、諸本との比較を行い、石清水八幡宮本が諸本の内、最善本であると結論付けた。また『八幡宮寺巡拝記』は、『八幡愚童訓』などの八幡縁起と関連するとともに、八幡神(八幡大菩薩)という、神仏の霊験や信仰を主題とした説話集でもあるため、中世文学史における『八幡宮寺巡拝記』の文学史的意義も確認した。『八幡宮寺巡拝記』『八幡愚童訓』八幡信仰八幡縁起中世説話集
著者
筒井 大祐
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.197-212, 2018-03-01

本稿は、重要文化財である石清水八幡宮古文書の内、『八幡宮寺巡拝記』(桐之部 桐十一 ― 22)の翻刻である。なお、紙幅の都合で翻刻を前・後として分載し、本誌には、1丁表から30丁表まで掲載する。次号に30丁裏から52丁裏を掲載予定である。石清水八幡宮古文書『八幡宮寺巡拝記』
著者
筒井 大祐
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学総合研究所紀要 (ISSN:13405942)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-18, 2014-03-25

神功皇后新羅出兵譚を語る中世期の資料のひとつに『平家物語』がある。『平家物語』の神功皇后新羅出兵譚は、八幡縁起資料の内容と異なり、その依拠資料は未だ解明されていない。そこで本稿では、中世期における神功皇后伝承の展開を考察するためにも、延慶本『平家物語』の神功皇后新羅出兵譚を取り上げ、その依拠資料の解明を目的とする。そのために本稿では、従来、言及されていない延慶本と同一の神功皇后伝承を載せる資料として、聖徳太子伝を指摘し、その内容を延慶本と比較した。さらに、延慶本と同文の新羅出兵譚を有する太子伝の伝本である、寛文六年刊本、真福寺文庫蔵『仏法最初弘仁伝』、養寿寺蔵『平氏伝』などの文保本太子伝と、延慶本を比較、検討した結果、延慶本の神功皇后新羅出兵譚の依拠資料が聖徳太子伝であると結論付けた。
著者
筒井 大祐
出版者
佛教大学総合研究所
雑誌
佛教大学総合研究所紀要 (ISSN:13405942)
巻号頁・発行日
no.28, pp.1-16, 2021-03-25

『平家物語』の伝本のひとつである長門本には、他の諸本に見えない独自の地方説話群が記され、それが長門本の成立状況を解明する鍵として研究されてきた。本稿では、そのような地方説話群の内、大隅正八幡宮縁起を取り上げる。長門本の大隅正八幡宮縁起には、中世期の「八幡御因位縁起」を始めとする諸資料に見えない、独自の記事を有するが、その独自記事と内容が共通する資料として、六郷山縁起類がある。そこで本稿では、まず長門本と六郷山縁起類の本文の比較を通して、長門本の大隅正八幡宮縁起が、長門本独自の異伝ではなく、近世期に大隅正八幡宮の歴史を語る正統な縁起であった点を指摘する。その上で、その縁起の内容が変容した背景を、中世後期の大隅正八幡宮における社殿の炎上とその再興によるものであると結論付けた。長門本『平家物語』『八幡御因位縁起』大隅正八幡宮六郷満山『六郷開山仁聞大菩薩本紀』
著者
黒田 彰 坪井 直子 筒井 大祐
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.1-18, 2012-03-01

八幡縁起は古代、中世に流行した八幡信仰を背景とする縁起絵巻で、北野縁起などと共に我が国の社寺縁起を代表する絵巻の一である。小稿では従来、甲乙類に分類される八幡縁起絵巻の乙類に属すると見られる新出資料、愛知県刈谷市の榊原家の所蔵に掛る、八幡の本地二巻をカラー影印、翻刻により紹介する。本号に収録するのは、その下巻で、本誌前号(95号)収録の上巻に続くものである。榊原本の書誌的事項や翻刻の方針などについては、前号の略解題を参照されたい。なお『京都語文』18号(平成23年11月)には、同じ八幡縁起絵巻甲類の新出資料、鰐鳴八幡宮本八幡大菩薩御縁起(上下巻)を紹介したので、併せての参照を乞う。