著者
久保田 哲也 篠原 慶規
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

強い地震の場合には森林斜面の崩壊が予想されるが、その場合の森林地上荷重および根系の影響を明確にし、山地斜面の安定に対する地震時の森林の影響を明らかとした。同時に、地震後の強雨が森林斜面安定に与える影響、つまり、震後の強雨時における、地震動および地震で生じた亀裂や森林の影響とその影響の持続期間を解明し、崩壊危険箇所調査や警戒・避難など災害対策に応用できる崩壊発生危険雨量=警戒避難基準雨量も明確とした。さらに、地球温暖化にともなう豪雨の増加が心配されており、地震振動の基準雨量への影響を比較検討し、警戒避難システムの改良を考える上で有意義な成果を得た。
著者
篠原 慶規 井手 淳一郎 東 直子 小松 光 久米 朋宣 智和 正明 大槻 恭一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.54-59, 2010 (Released:2010-04-01)
参考文献数
44
被引用文献数
12 13

近年, 管理放棄された人工林が増加している。蒸発散量は水資源量に大きな影響を与える要素であるが, 管理放棄人工林での計測事例と判断できるものはこれまでになかった。本研究では, 九州大学福岡演習林に設置された御手洗水試験流域の管理放棄されたヒノキ人工林において樹冠遮断量の計測を行い, 他の針葉樹林と比較した。本試験地の樹冠遮断率 (樹冠遮断量/降水量) は24.9%となった。他試験地の針葉樹林の樹冠遮断率は立木密度とともに増加する傾向があり, 本試験地の樹冠遮断率はその分布の範囲内に収まった。このことは, 従来報告されている樹冠遮断率と立木密度の関係が, 管理放棄人工林に対しても成り立つかどうかを判断する上で有益な情報となるであろう。