著者
小町 太郎 三枝 英人 愛野 威一郎 松岡 智治 粉川 隆行 中村 毅
出版者
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.286-291, 2005 (Released:2006-02-17)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

われわれは, 高齢発症の重症筋無力症 (以下MG) による嚥下障害および構音障害を呈した1例を経験した。症例は79歳女性。転倒後から嚥下障害が出現し, 一時改善を繰り返しつつ悪化した。この患者ではMGに典型的な日内変動や易疲労性を認めず, また, 眼瞼下垂などの典型的症状も有していなかった。このため, 診断に苦慮した。しかし, 訓練開始直後は訓練に対する反応性がよいが, その後徐々に悪くなること, 午前中より午後に嚥下訓練に対する反応性が悪いことから, MGが疑われた。そこで, 抗AChR抗体を測定したところ陽性であり, エドロフォニウム2 mg投与後に上記症状は速やかに改善したため, MGと診断できた。最近, 高齢発症の重症筋無力症の存在が注目されており, 注意が必要と考えられた。
著者
三枝 英人 粉川 隆行 愛野 威一郎
出版者
日本医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

(機能解剖学的研究)・H15年度の研究で、垂直舌筋が茎突舌筋との関連があることを確認したが、更に連続切片により、それを証明した。また、その神経支配様式から、舌尖の垂直運動と咀嚼運動の強い相関のあることが推察された。・舌咽神経咽頭枝・茎突咽頭筋枝、迷走神経咽頭頭枝、上喉頭神経外枝の神経線維解析により、H14年度に明らかにした横舌筋と上咽頭収縮筋の運動による舌後方運動と、これに続く嚥下時の咽頭蠕動波の発現の様式は、上頚神経節や交感神経との相関のもとに制御されていることが推察された。(機能生理学的研究)・hooked wired electrodeの手法による多チャンネル筋電図検査、エコー、内視鏡像との同期撮影により、舌尖の垂直運動と舌体部の後上方運動とが、咬合運動により、反射的に制御されるという反射性舌運動の存在をヒトで始めて確認した。これは、肉食動物において知られていた顎舌反射に相当するものであると考えられる。臨床的にも、この反射系を利用した舌運動障害に伴う口腔期嚥下障害や構音障害に対する治療の応用を検討中である。・カラードプラ超音波による舌運動評価方法を開発し、神経筋疾患による病的構音の病態分析や経時的評価での有用性を実証した。・舌骨上筋群の発声時のピッチ調節に対する機能的活動性についても、筋電図、エコーによる同期撮影記録により、明らかにした。更に、これを職業的声楽歌手についてと、そうでない場合とを比較した結果、職業的声楽歌手では、舌骨上筋群と舌骨下筋群、更に内喉頭筋との共同作業がより円滑に、実際のピッチ変化発現よりも早い段階で、極めて有用に連動して起こっていることが明らかになった。これの結果は、機能性発声障害のみならず、音楽表現などの教育指導などにも有効な情報になり得ると考えられた。
著者
山口 智 三枝 英人 中村 毅 小町 太郎 粉川 隆行 愛野 威一郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.549-552, 2009-07-20

Ⅰ.はじめに 唾液分泌過多症は唾液分泌の絶対量が多い真性のものと,嚥下障害や上部消化管の占拠性病変による通過障害に伴い唾液が貯留した仮性のものとに分類される1,2)。真性唾液分泌過多症の原因には,薬物性のものや消化器疾患に伴うもの,脳血管障害,パーキンソン病に伴うものなどが報告されており,治療の原則はおのおのの原因に応じたものが中心となる1,2)。一方,原疾患の制御が困難である場合や,特発性の真性唾液分泌過多症の場合には,治療に難渋することが多い2)。今回,われわれは,種々の治療に抵抗性であった特発性の真性唾液分泌過多症に対して,漢方製剤である茵蔯五苓散®が著効した1例を経験したので報告する。
著者
三枝 英人 愛野 威一郎 岩崎 智治 粉川 隆行 中村 毅
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.155-160, 2004-03-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
16

胃食道逆流症 (GERD) により咽喉頭異常感を呈した小児3例 (8歳女児、8歳男児および16歳男児) を経験した。全例とも特記すべき既往歴、家族歴を認めなかった。しつこい咳払いや異常感を訴えており、当初、心因性咽喉頭異常感症やチックとの鑑別が難しかった。しかし、喉頭内視鏡所見で披裂間部粘膜の発赤、腫脹を認め、さらに喉頭内視鏡の先端で同部位の触診を行うと、異常感を訴える部分と一致した。そこで、GERDにより咽喉頭異常感が発現している可能性を疑い、食道透視検査、上部消化管内視鏡検査を行ったが異常は認められなかった。このため、プロトンポンプ阻害剤 (lansoprazole 10-15mg/day) による診断的治療を行ったところ (8週間継続投与)、全例、喉頭内視鏡所見ともに症状の改善を認めた。小児においても、GERDにより咽喉頭異常感を呈することがあることが判明し、今後注意が必要であると思われた。