著者
中村 好美 田辺 久美子 金 優 吉村 文貴 山口 忍 紙谷 義孝
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.174-177, 2023-07-25 (Released:2023-07-25)
参考文献数
11

機能性身体症状は「症状の訴えや,苦痛,障害が,確認できる組織障害の程度に比して大きい」と定義される疼痛症候群である.今回,COVID-19ワクチン接種を契機に機能性身体症状が出現した2症例を経験した.1症例は複合性局所疼痛症候群の判定基準を満たしていた.ワクチン接種による機能性身体症状の発症メカニズムは未だ十分に解明されていないが,今回の2症例は,COVID-19ワクチンによる経験したことのない発熱や痛み,副反応による不動化,不安やうつ状態などの心理的因子が合わさり,機能性身体症状を発症したものと考えた.それぞれの病態にあわせた集学的治療や社会復帰への支援を行い,患者の回復へつなげることができた.
著者
星井 達彦 紙谷 義孝 喜多 学之 山口 征吾 大橋 さとみ 関口 博史 西山 勉
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = Niigata medical journal (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.131, no.8, pp.501-508, 2017-08

前立腺癌疑い患者に対して前立腺生検が行われるが,全身麻酔または腰椎麻酔管理による前立腺生検では通常1~2泊の入院管理で行うことが多い.また日帰り前立腺生検では局所麻酔で行われることが多く,局所麻酔時や穿刺時に患者の苦痛が伴う.我々は2016年1月から全身麻酔管理による日帰り前立腺生検を行っている.全身麻酔管理による日帰り前立腺生検を行うにあたり「全身麻酔管理による日帰り前立腺生検クリニカルパス」を作成し行っている.前日夕食後は禁食とし,生検当日は水分を朝6時まで可とし,午前中に全身麻酔管理による日帰り前立腺生検を行う.前立腺生検はReal-time Virtual Sonography (RVS)を用いたMRI-経直腸的超音波検査同期狙撃生検3-6か所,系統生検左右各5か所の計13~16か所の経会陰的前立腺生検を行う.前立腺生検後3~4時間経過観察し,帰宅時チェックリストを用いてすべての項目で問題がないことを確認後帰宅する.2016年12月までの12ヶ月間に67例に全身麻酔管理による日帰り前立腺生検を施行した.1例で術後膀胱タンポナーデを,1例で術後尿閉を経験したが,再入院を必要とした症例はなく,そのほか周術期に問題となった症例はなかった.全身麻酔管理による日帰り前立腺生検は患者の苦痛が少なく,有用な方法と考えられる.