著者
細川 育子 中西 正 細川 義隆
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では歯周組織構成細胞の一つであるヒト歯根膜由来細胞(HPDLC)を用い、ケモカインおよびMMP産生に及ぼすメラトニンの影響を明らかとすることを目的とし実験を行った。その結果、メラトニンはIL-1βが誘導したHPDLCのCXCL10およびMMP-1の産生を抑制することが明らかとなった。これらのことより、メラトニンは歯周炎病変局所でケモカインやMMP産生を抑制することにより、歯周炎の炎症を調整している可能性が示唆された。
著者
細川 育子 細川 義隆 中西 正
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、ヒト口腔上皮細胞(TR146細胞)やヒト歯根膜由来細胞(HPDLC)を用い、炎症性サイトカインおよびケモカインに及ぼすCarnosic acid(CA)の影響を明らかとすることを目的に実験を行った。その結果、CAはIL-27が誘導したTR146細胞のCXCL9,CXCL10およびCXCL11の産生を抑制すること、また、IL-1βが誘導したHPDLCのIL-6,CXCL10およびCCL20の産生を抑制することが明らかとなった。これらのことより、CAは歯周炎病変局所にてケモカインや炎症性サイトカインの産生を抑制することにより、歯周炎の炎症を調節している可能性が示唆された。
著者
細川 義隆 細川 育子 尾崎 和美 松尾 敬志
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.10-16, 2018 (Released:2018-02-28)
参考文献数
15

目的 : テアフラビンは紅茶に含まれる渋味成分の一つであり, ポリフェノールに分類される色素成分である. テアフラビンは, 抗酸化作用・抗炎症作用などさまざまな生理活性作用が報告されているが, 口腔上皮細胞に対する作用に関しては不明な点が多く, 十分に明らかにされていない. 本研究では口腔上皮細胞に対するテアフラビンの抗炎症作用について調べることを目的とし, 炎症性サイトカインの一つであるインターロイキン (IL)-27が誘導するケモカイン産生に与えるテアフラビンの影響を明らかとするため検討を行った. 本研究では, Th1細胞浸潤に関与するケモカインであるCXC chemokine ligand (CXCL) 9, CXCL10およびCXCL11産生に着目した. 材料と方法 : 口腔上皮細胞としてTR146細胞を用いた. TR146細胞のケモカイン産生は市販のELISAキットを用いて, テアフラビンにて1時間前処理後にIL-27で24時間刺激を行い, 上清中のCXCL9, CXCL10およびCXCL11産生を測定して検討した. また, IL-27が活性化するシグナル伝達経路に与えるテアフラビンの影響についてWestern blot法を用いて検討した. シグナル伝達経路としては, IL-27が活性化することが知られているprotein kinase B (Akt), extracellular signal-regulated kinase (ERK), signal transduction and activator of transcription (STAT) 1およびSTAT3に着目した. 結果 : テアフラビンの前処理によりIL-27で誘導されたTR146細胞のCXCL9, CXCL10およびCXCL11産生は, 濃度依存的に抑制された. また, IL-27が誘導したAkt, ERK, STAT1およびSTAT3のリン酸化は, テアフラビン処理により抑制された. 結論 : テアフラビンは口腔上皮細胞においてIL-27誘導ケモカイン産生を抑制することにより, 歯周炎組織の炎症を軽減できる可能性が示唆された.