著者
小笠 幸子 坂本 雅代 羽山 由美子 荒木 孝治 森川 英子
出版者
大阪府立大学看護学部
雑誌
大阪府立大学看護学部紀要 (ISSN:18807844)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.77-84, 2007

本研究の目的は,患者アドボカシー相談活動における相談者と相談対応者の関わりのなかで,対応者の援助内容と相談者のエンパワメントの形成過程について明らかにすることである。過去48事例の相談記録の中から,対応者が認識したエンパワーされたと考える相談者のポジティブな変化のみられた22事例を対象に内容分析によるカテゴリー抽出を行った。その結果,対応者の"理解・受け止め""問いかけ・振り返り""提案・指示""情報提供""支持""助言・指導"など6つの援助を通して,"相談者自身が気持ちを表出する""気持ちが落ち着く""問題の整理と意識化""問題解決方法を考える""問題解決行動への意思決定"の5つの局面でエンパワメント形成が認められた。
著者
羽山 由美子 水野 恵理子 岡田 佳詠 下枝 恵子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護大学紀要 (ISSN:02892863)
巻号頁・発行日
no.28, pp.116-122, 2002

海外の精神看護学分野の学会動向について,インターネット検索も交えながら,ここ数年かけて筆者らが実際に参加して把握した諸状況を報告した。アメリカには4つの団体が存在し,それらはThe American Psychiatric Nurses Association (APNA),Society for Education and Reserach in Psychiatric-Mental Health Nursing(SERPN), International Soceity of Psychiatric Consultation Liason Nursing (ISPCLN), Association of Child and Adolescent Psychiatric Nurses (ACAPN)である。1999年からSERPN,ISPCLN,ACAPNが一つにまとまり,International Society of Psychiatric-Mental Health Nurses (ISPN)となって年次大会も合同で開催するようになった。特徴は学術の発展とともに政策的パワーを発揮して実践の改革に取り組んでいる点である。イギリスには独立した組織は存在しないが,Royal College of Nursing (RCN)が企画運営する学会が2つある。The Network for Psychiatric Nursing Reserach (NPNR)と, European Mental Health Nursing Conferenceで,どちらも7回の年次大会を迎えたところである。NPNRは国際学会であり,後者はヨーロッパ中心の会議である。その他は,単発でカンファレンスが開かれることはあっても,カナダ,オーストラリア,北欧など定期的に学会を開催している組織は見あたらなかった。日本には,日本精神科看護技術協会と日本精神保健看護学会の2種類の団体があり,20年の学会の歴史をもつアメリカ,10年前後のイギリスとならんで,自己研鑽に励んできたことが改めて認められた。
著者
趙 傑剛 青山 ヒフミ 羽山 由美子
出版者
大阪府立大学
雑誌
大阪府立大学看護学部紀要 (ISSN:18807844)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.85-91, 2007

本研究は中国における看護系大学の兼任教員がどのような環境におかれているのか,どのように専門的発達に向けて取り組みをしているのかを明らかにすることと,兼任教員の専門的発達を支援するための示唆を得ることを目的とする。中国都市部にある四つの大学病院に所属する兼任教員14名を対象とし,半構成的質問による面接法を実施した。その結果,【技術的熟達者志向の教育背景】,【看護師として満足の得られにくい臨床現場】,【整えられていない教員養成教育体制】,【看護教育に従事することによるほこり】,【教員として未熟であるという認識】,【教育実践における試行錯誤】,【教育実践への支援体制の不備による困惑】,【専門的発達における自助努力】,【専門的発達への支援体制の不備による困惑】,【専門的発達への願望】の10カテゴリーが抽出された。これらのことにより,兼任教員への支援にあたり,教員に関わる支援体制の整備とともに,現状に基づき,且つ兼任教員の専門的発達に繋がる継続教育プログラムの開発が必要であることが示唆された。