著者
相原 徳孝 山田 和雄 小出 和雄 梅村 淳 金井 秀樹 羽柴 基之
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.157-160, 1996
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

最近経験した最大径4cm以上のpetroclival meningioma2例に対して,術中にS状静脈洞内圧の変化をモニターした.2例ともS状静脈洞の試験閉塞前後で圧の上昇をみなかったが,気道内圧負荷により1例は圧の上昇をみた.気道内圧上昇負荷によっても圧の上昇をみなかった症例で,S状静脈洞を切断して腫瘍を摘出したが,術後S状静脈洞閉塞による合併症をみなかった.他の1例ではS状静脈洞の内圧が試験閉塞前後でほとんど上昇を示さなかったが,気道内圧上昇負荷がかかると圧の上昇を示し,静脈還流予備能に違いがあることが示唆された.
著者
羽柴 基之 安井 桂子 渡部 啓孝 松岡 徹 馬場 駿吉
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.681-696,759, 1995-04-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
80
被引用文献数
1

我々は, パソコンを使用してEOGで記録した水平追従眼球運動を自動的に定量評価する方法を開発した. 方法の骨子は, 視標追跡運動が滑動性追従眼球運動 (SPEM) と衝動性眼球運動 (saccade) という全く異なった2種類の眼球運動から成り立ってる事実に基づく. 眼球運動波形からsaccadeの生理学的条件に基づいて作成したアルゴリズムにより, saccade成分を抽出し, 取り除き, SPEM成分のみで再構築した眼球運動波形を周波数分析法により処理した. この方法により, SPEM成分のみの利得と位相の評価が可能になった.
著者
渡邊 悟 深井 克明 長岡 俊治 羽柴 基之 高林 彰 森 滋夫 YAMAZAKI Yoshihisa 山崎 由久 和田 佳郎
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

コンピューターグラフィクス(CG)により立体視可能なバーチャルリアリティ画像を作成し、ゴ-グル上に投影し、動的視覚刺激を行った際の立位姿勢の変化に関するを行った。体動揺の発生と前庭機能との関連を調べるため直線加速度負荷装置を用い、負荷加速度と視覚刺激CGの動きを解析することを目論んだ。平成7年度、8年度の2年間でCG作成が完成させ、更にこの間平成7年度は視覚刺激を用いない正弦波様の直線加速度負荷中の立位姿勢の変化について検討し、比較的低い負荷加速度(0.02-0.04G)では加速度に応じて体の揺れを生じるが、高い負荷加速度(0.06-0.06G)では頭の位置が安定しほぼ垂直位に固定され、前庭-頚反射の関与の大きい事が明らかにされた。解析には身体各部の動揺をビデオトラッカーにより記録し、頚部、躯幹、下肢の筋電図の記録により行った。平成8年度、9年度は専らバーチャルリアリティ画像による視覚刺激を立位姿勢の被験者にゴ-グルを介して与えた。ゴ-グルのスクリーン上に投影された運動画像の提示は姿勢動揺を誘発する。この姿勢動揺と運動画像によって生じる自己運動感覚(vection)との関係を解析した。その結果、視覚刺激の速度成分とvectionの大きさ及び体動揺の大きさにほぼ比例関係を認めた。しかし、周波数のみの変化には殆ど依存しない。正弦波刺激は予測反応がかなり早く現れる。体動揺は暗算負荷により大きな影響を受ける。この際、vectionもはっきりと減少することが明らかとなった。この様なvectionの成因には周辺視野における広い視野の運動感覚が必要であり、視野の運動が自分自身の運動と間違えるという、心理的な現象であり、引き起こされる体動揺が高次な神経活動による結果とみなすことができる。今後、更に視覚系と体動揺によって生じる前庭系との関連に関して解析を行う予定である。