著者
臼井 達哉 大松 勉 川野 竜司
出版者
東京農工大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2022-06-30

ヒトと同様に猫の高齢化が進むことで治療の機会が増えているが、病態解明につながる研究がほとんど進んでいない。そこで本研究では、猫の正常肺、腸管、肝臓および腎臓オルガノイドを搭載したマイクロ流路デバイスを作製し、猫から分離された新型コロナウイルスを含む様々なウイルスを灌流させることで多臓器への直接的な影響やウイルス遺伝子の増幅や変異パターンの時空間的解析を行い、猫の生体内におけるウイルス感染症に対する制御機構を明らかにすることを目的とする。
著者
臼井 達哉 岡田 宗善 原 幸男 山脇 英之
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.141, no.2, pp.85-89, 2013 (Released:2013-02-08)
参考文献数
42

Ca2+結合タンパク質であるカルモジュリン(CaM)はCaM依存性(関連)タンパク質の機能調節を介して筋収縮,免疫応答,代謝,神経成長といった様々な細胞機能に影響を与える.最近,CaMおよびCaM依存性プロテインキナーゼ(CaMK)IIが心血管疾患の病態進展に関わるという報告がなされた.高血圧症の病態ではTNF-αやIL-6といった炎症性サイトカインの血中濃度が上昇し,活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)産生を介して血管の炎症性反応が亢進する.しかしながら,血管炎症の観点からCaM関連タンパク質の高血圧症進展に及ぼす影響はほとんど検討されていない.本総説ではCaM関連タンパク質の中でCaMKs(CaMKI,CaMKII,eukaryotic elongation factor(eEF)2 kinase(CaMKIII),CaMKIV)とCaMKスーパーファミリータンパク質(death associated protein kinase(DAPK)ファミリータンパク質,CaM serine kinase(CASK),checkpoint kinase(Chk))をとりあげ,これらの機能を心疾患における役割と血管炎症を介した高血圧症の病態制御機構に焦点を当て概説する.今後,本総説で紹介したCaM関連タンパク質をターゲットとした薬物の開発がACE阻害薬,カルシウム拮抗薬といった既存の降圧薬では治療が難しい患者に対しても有効な治療戦略になることが期待され,さらなる病態生理的役割の解明が重要になると考えられる.
著者
鈴村 潔 山口 晃弘 磯谷 正敏 原田 徹 金岡 祐次 鈴木 正彦 芥川 篤史 菅原 元 臼井 達哉
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1665-1669, 2001-11-01
被引用文献数
21

上行結腸癌に対する結腸右半切除後16か月目に十二指腸と横行結腸に瘻孔を形成した膵頭部転移巣の1切除例を経験した.症例は嘔気, 嘔吐を主訴とした45歳の女性で, 上部消化管造影X線検査で十二指腸の狭窄像を認めた.CTでは膵頭部から十二指腸第2部にかけ, 中心壊死を伴った腫瘤性病変を認めた.血管造影では上腸間膜静脈に腫瘍による圧排所見を認めた.大腸癌膵転移と診断し回腸横行結腸吻合部切除, 膵頭十二指腸切除, 肝転移巣切除, 上腸間膜静脈部分切除を行った.病理組織学的所見では, 膵鉤部に直径約3cmの中心壊死を伴った転移性病変を認め, 中心壊死部を介して十二指腸と横行結腸に瘻孔を形成していた.術後36病日に退院したが, 肝転移により術後第192病日に死亡した.