著者
宇和川 小百合 色川 木綿子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.92, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】日本には四季折々の年中伝統行事があるが、核家族化や食の簡便化が進み、行事食を受け継ぐ機会も減っている。そこで、女子大生の行事食に対する実施状況及び意識調査を行い、行事食の現状を探ることを目的とした。また、平成21~23年度に実施された本学会の特別研究「調理文化の地域性と調理科学-行事食・儀礼食-」として公表されている調査データとも比較、検討した。 【方法】平成22年7月、東京家政大学栄養学科・同短期大学部栄養科の学生377名に質問紙法による調査用紙を配布し、その場で回答させて回収した。(回収率100%)調査内容は、行事食の認知度、実施状況、意識調査(理解度や子供に教えていく必要性など)、代表的な行事食の調理実態などである。 【結果】行事食(12種類)の認知度は「夏至」「お盆」が50%以下と低く、他の行事については高い認知度であった。毎年実施している行事は「正月」(94.7%)、「大晦日」(85.9%)が高かった。行事食をいいものだと思う者は「非常に」(49.9%)、「比較的」(42.7%)で9割以上の学生が食文化としていいものだと認識しており、自分の子どもに教えていく必要性も9割以上の学生が「ある」と思っている。しかし、行事食を理解して食べている者は51.2%、あまりそう思わない者は48.0%であった。また、行事食の調理経験については作ったことが「ある」(55.2%)、「ない」(43.5%)であり、今後、行事食の伝承の仕方を考えていく必要がある。
著者
成田 亮子 白尾 美佳 赤石 記子 伊藤 美穂 色川 木綿子 宇和川 小百合 大久保 洋子 香西 みどり 加藤 和子 佐藤 幸子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】平成24,25年度特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」に基づき、昭和35〜45年頃に食べられていた東京都における家庭料理について聞き書き調査を実施し、次世代に伝え継ぐ家庭料理における行事食の特徴を検討した。</p><p>【方法】東京都23区(台東区・世田谷区・中野区・杉並区・品川区・板橋区・練馬区)、都下(日野市・奥多摩町)、島しょ(新島・式根島)の3地域に分け、70歳以上の都民を対象に、家庭料理を聞き書き調査した。その結果より正月、節分、桃の節句、端午の節句、七夕、お盆、土用、お彼岸、月見、七五三、大晦日などの行事食について抜出した。</p><p>【結果・考察】正月は雑煮が食べられていたが、23区と都下でも地域によって食材が異なり特徴がみられた。お節料理では、黒豆、紅白なます、昆布巻き、数の子、きんとん、田作りなどが重詰めにされて食べられていた。節分では23区でイワシの焼き魚、煎り豆、都下で福茶が飲まれていた。桃の節句では蛤の潮汁、ひなあられ、端午の節句では島しょでしょうぶ、いももち、お彼岸ではぼたもちの他に、都下で海苔巻きずし、いなりずしが食べられていた。お月見では月見団子の他に島しょであおやぎ、七五三では都下で、とりの子餅、大晦日では23区で年越しそば、すき焼きなども食べられていた。不祝儀や仏事では23区で白和え、島しょでひら、忌明けだんごが食べられていた。ひらは祝儀と不祝儀で盛り付け方を区別して用いていた。東京23区、都下では行事食で食べられているものは現在と変わらないものが多かった。島しょでは特徴があるものがみられた。聞き書き調査を行い、昭和35年ごろから現在まで行事食は変わらず受け継がれていることが分かった。</p>
著者
伊藤 美穂 成田 亮子 赤石 記子 色川 木綿子 宇和川 小百合 大久保 洋子 香西 みどり 加藤 和子 佐藤 幸子 白尾 美佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」に基づき、昭和40年頃に食べられていた東京都における家庭料理について聞き書き調査を実施した。今回は、主菜について、23区、都下、島しょの特徴を明らかにすることを目的とした。<br>【方法】東京都に40年以上居住している70歳以上の都民を対象に、昭和40年頃に食べられていた家庭料理について聞き書き調査を実施した。主な調査時期は平成24、25年であるが、随時追加調査を行った。東京都を23区の東部、西部、南部、北部と都下、島しょの6地域に分け、当時食されていた主菜について肉、魚、卵、豆・豆製品、その他に分類して考察した。<br>【結果】肉料理は、23区で多く出現し、中でもすき焼き、とんかつ、ロールキャベツ、餃子などが挙げられた。その他、ステーキやメンチカツ、カレー、ハンバーグなどの洋風料理がみられた。魚料理は、23区では鮭の塩焼き、あじの干物、身欠きにしんの他、種々の魚介を刺身や焼き魚、煮魚、ムニエルにして食していた。都下では、多摩川や浅川などが近いため、川魚のやまめやあゆの料理がみられた。島しょでは、くさやが食されており、伝統的な魚料理の伝承がみられた。その他にもあおむろ、とびうお、ぶだいなど他地域ではみられない魚を使った料理が挙げられた。卵料理は、卵焼き、目玉焼きなどが挙げられ、23区ではオムレツもみられた。納豆や豆腐が23区の日常食に多くみられた。その他の料理として、天ぷらが多くの地域でみられた。23区の東部と北部と比較して、西部と南部に洋風料理が多くみられた。これらの地域では高度経済成長期の中で、食生活が変化していく様子が推察できる。一方、都下や島しょでは、地域の食材に根差した伝統的な食生活がみえた。
著者
宇和川 小百合 色川 木綿子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

<br><br>【目的】平均寿命が延びて長寿社会となり、特に食に関わることは、各自が自己管理できるようにしていかなければならない。そのためには、男性も自分の食生活について関心を持ち、知識とスキルを身に付けることは大事なことである。今回は男性からみた行事食と儀礼食について検討したので報告する。<br><br>【方法】日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学」の調査より、関東甲信越地区調査データから男性437名と女性4,880名を対象に検討した。集計方法は、単純集計、クロス集計、&chi;<sup>2</sup>検定を行った。<br><br>【結果】対象者の男性の基本属性は、20歳未満33.0%、20歳代34.6%、30歳代1.8%、40歳代9.2%、50歳代15.3%、60歳代2.7%、70歳代以上3.2%である。家族構成は、二世代20.8%、三世代46.9%、四世代21.1%、同世代0.7%である。男性で調理を担当している者は18.8%である。認知と経験で男性と女性の間における&chi;<sup>2</sup>検定は、半数以上の行事や儀礼において差が認められた。差が認められなかった認知は、盂蘭盆、七夕、土用、重陽、クリスマス、大晦日、春・秋祭り、誕生日、成人式、婚礼、葬儀、法事で、経験では、盂蘭盆、七夕、重陽、クリスマス、大晦日、春・秋祭り、誕生日、成人式である。料理の経験で差が認められなかったものは、正月の屠蘇、雑煮、餅料理、魚料理、肉料理、端午のちまき、赤飯、菖蒲酒、七夕の煮しめ、ところてん、まんじゅう、重陽の菊花酒、ご飯、月見の芋、クリスマスケーキ、大晦日の祝い料理など20品目である。特に女性との差が大きかったのは、節分の経験で男性18.1%、女性90.2%、上巳の経験で男性60.0%、女性84.2%である。行事の料理で、男性の方が女性より経験が多かったものは、菖蒲酒、菊花酒、正月と七夕の赤飯など13料理である。