著者
土屋 祐司 佐原 篤 神保 達也 中野 哲志 加藤 和子 小粥 敏弘 小杉 国宏
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.153-158, 2015-09-30 (Released:2015-10-24)
参考文献数
6
被引用文献数
6 6

On 16 January, 2014, a large-scale mass food poisoning caused by Norovirus occurred in 19 elementary schools in Hamamatsu City, Shizuoka, Japan. Of 8,027 people eaten the bread, 1,271 were infected. The causative food was determined to be bread for school meals. At the Hamamatsu City Health Environment Research Center, stool specimens of patients and food handler, and lunch ingredients were inspected for causative agent. A total of 137 of the 435 (31.5%) specimens were positive for Norovirus G II by RT-qPCR assay. Phylogenetic analysis of the capsid N/S region nucleotide sequences indicated that these strains showed a high degree of similarity (≧98%) to G II.4 Sydney 2012 variant. The bread was processed using PANSORBIN Trap Method, G II.4 was detected from 2 specimens, and the quantity of virus was 2.4E+03, 3.3E+03 copies/g each. It was estimated that the polluted bread contaminated through the finger of the worker who held Norovirus or work clothes at the time of inspection work.
著者
河村 フジ子 加藤 和子 畑中 としみ
出版者
調理科学研究会
雑誌
調理科学
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.240-245, 1987

市販カレー粉の加熱香気の同定を行い、次いでカレー粉の種類、調理法、加熱時間による香気の変化について実験した結果を要約すると次のようになる。1. カレー粉の加熱香気成分として、α-ピネン、β-ピネン、α-フェランドレン、リモネン、1、8-シネオール、α-テルピネン、P-シメン、ツヨン、リナロール、カリオフィレン、α-テルピネオール、クミンアルデヒド、アネトール、サフロール、シナミックアルデヒド、オイゲノール、チモールの17種類を同定した。2. 市販品2種のカレー粉の加熱香気成分は、種類はほぼ同じであるが、その割合は異なる。3. カレー粉にマーガリンを混合して煮るとターメリックの成分とクミンアルデヒド、オイゲノールが顕著に減少する。4. カレー粉をマーガリンで炒めて煮るとターメリックの成分以外のすべての香気成分は顕著に減少する。5. カレー粉のみ、マーガリン混合カレー粉、マーガリンで100℃まで炒めたカレー粉を煮ると、香気は0~30分で急速に減少する。一方、マーガリンで140℃まで炒めた場合は、0~30分より31~60分の方がより多量の香気が発生する。6. カレー粉を長時間煮た場合、残りやすい香気成分は、オイゲノールとターメリックの成分である。7. 官能検査の結果、カレー粉の香りは、マーガリンを加えることにより、さらにそれを炒めることにより、弱くなる。マーガリンで140℃まで炒めたカレー粉は好まれない。未加熱カレー粉に熱水を加えたものは、一時間似たものより、香りが強い。一方、1~3時間煮ると二者間の有意差は認められなくなる。香りの好みについては、加熱時間による有意差は認められない。
著者
加藤 和子 駒込 乃莉子 峯木 眞知子 森田 幸雄
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.23, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】米は、世界の二大食糧作物で、日本のみならずアジア諸国でも食べられている。近年、米の入手方法も多様化し、家庭における保存状況も様々である。米を安心で安全に喫食するための一助として、日本およびアジアの米の細菌汚染状況を調査した。【方法】日本の家庭米35(精白米29、無洗米6)、自家米14、市販米11の計60検体、および韓国6、タイ7、フィリピン8検体の市販米、計21検体について一般生菌、大腸菌群、大腸菌、食中毒菌(ウェルシュ菌、バチルス属菌)を定量検査した。大腸菌群、大腸菌、食中毒菌の同定は食品衛生検査指針に準じた。【結果および考察】生米の一般生菌の検出状況は、平均菌数(対数値/g)はタイ米が2.45±0.09と低く、日本の市販米は3.88±0.11と高かった。タイ米、フィリピン米は日本の家庭米である精白米・無洗米・自家米・市販米および韓国米の検体に比べて、一般生菌数は有意に低かった。大腸菌は韓国米1検体のみ検出された。大腸菌群は日本の無洗米1検体が3.82と高く、タイ米・フィリピン米からは検出されなかった。ウェルシュ菌は、いずれの検体からも検出されなかった。バチルス属菌の検出では、日本の無洗米6検体中2検体から検出され、陽性検体の平均菌数(対数値/g)は4.06±0.16と高く、タイ米(7検体中3検体が陽性)は2.54±0.14と低かった。日本の家庭米の精白米1検体、タイ米2検体、フィリピン米1検体の加熱検体から平均菌数(対数値/g)約2のバチルス属菌が検出された。陽性検体数は少ないものの加熱して喫食する米飯ではバチルス属菌による危害を防止することが必要であると思われた。
著者
山崎 歌織 外西 壽鶴子 加藤 和子 河村 フジ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.31-36, 2000-02-20
参考文献数
20
被引用文献数
3

材料の種類と水煮時間が異なる煮こごりの品質に付いて調べた結果は次のようであった。1.煮汁をゲル化させた場合,最も硬いゲルを形成する水煮時間は,ぶりやまだらが鶏手羽先よりも短かった。ゲルの硬さは,鶏手羽先が最も高く次いでぶりであり,まだらはかろうじてゲル化する程度であった。2.鶏手羽先のゲルは長時間水煮において安定した硬さを保持するが,ぶり,まだらのゲルは水煮30分以降徐々に軟らかくなった。3.煮汁の透明度は水煮時間の経過と共に低くなり,煮汁中のタンパク質は,ぶり,鶏手羽先では増加した。4.煮汁中のタンパク質には,ゲル形成を促進させるゼラチンの他に阻害するものが含まれている。5.長時間水煮により煮汁中のゼラチン分子は低分子化してゲルは軟らかくなった。
著者
成田 亮子 加藤 和子 長尾 慶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.153, 2006

[目的]食事が多様化されるなかで、正月の雑煮として欠かすことのできない餅について、家庭における行事と餅がどのように受け継がれてきているかの摂取状況調査を行った。<BR>[方法]調査対象は、本学家政学部栄養学科並びに短期大学部栄養科に在籍する学生170名である。調査期間は、2004年5月から9月とした。<BR>[結果](1)鏡餅について:正月に鏡餅を供える家庭が82%、供えない家庭が18%であった。入手方法の内訳では、スーパーで購入が66%、家庭で作るが30%、米店・和菓子店で購入が4%である。また、鏡開き後の餅を食する家庭が75%であり、食べ方としては、汁粉など小豆を使用する料理が27%、次いで焼く(磯部巻き・あべかわ)が14%、雑煮(12%)、揚げ餅(10%)であった。その他にチーズ巻き餅、ピザ餅といった回答も少数みられた。(2)雑煮について: 100%の家庭において食されていた。餅の種類では角餅の餡なしが87%を占め、餅の加熱方法では焼いてから入れるが76%と多く、次いで茹でる(12%)、生(11%)、電子レンジ(1%)であった。(3)餅を食する機会:正月のみが35%であり、年間を通して20回以上食する家庭も25%と多い。その餅を常備している家庭が25%、必要に応じて購入する家庭が67%であった。(4)餅に対する嗜好・イメージ:餅が好きと回答した学生が92%と多く、好きな餅料理では、雑煮、磯部巻き、あべかわ、汁粉、納豆餅と和風料理が94%を占めた。その他に、バター海苔餅、チーズ巻き餅、ピザ餅、ピザ餅グラタン、キムチ餅、キムチ鍋などの洋風アレンジが5%みられた。学生に餅から受けるイメージ語を自由記述させると、'雑煮'、'正月'、'おいしい'が多く出現した。
著者
山崎 歌織 外西 壽鶴子 加藤 和子 河村 フジ子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.31-36, 2000-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
20

We examined the effects of ingredients and boiling time on the quality of Nikogori.The boiling time for making the firmest gel with yellowtail and Pacific cod was shorter than that with chicken wings. The firmest Nikogori was that formed from chicken wings, being firmer than that from yellowtail, while the gelling of broth from Pacific cod was very poor.Gel made from chicken wings was relatively stable during long-term boiling. However, those from yellowtail and Pacific cod gradually became soft by boiling for more than 30 minutes.The transparency of the broth decreased with increasing boiling time, and the amount of protein in the broth increased with yellowtail and chicken wings.Proteins in the broth contained the gelatinous molecules forming Nikogori, as well as unidentified proteins hindering the gelation process.The gelatinous molecules in the broth were changed to those of low molecular weight by long-term boiling so that the Nikogori became soft.
著者
加藤 和子 駒込 乃莉子 峯木 眞知子 森田 幸雄
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.259-265, 2019 (Released:2019-05-23)
参考文献数
15
被引用文献数
1

セレウス菌食中毒における赤飯の危害要因について検討した. 市販赤飯は34検体を購入し, 購入当日と18℃, 24時間保存したものを試料とした. 赤飯製造に用いる食材として, ささげ (10検体), あずき (7検体), ごま (12検体) の29検体を購入し試料とした. 細菌検査は一般生菌とバチルス属菌の定量検査を実施し, 分離したバチルス属菌は菌種の同定を行った. 一般生菌数1.5×104CFU/gとバチルス属菌5.2×102CFU/gが検出される汚染ごまを用いて160℃における殺菌時間の検討を行った. 購入当日の赤飯は3/34検体から, 24時間保存後の赤飯からは8/34検体からバチルス属菌が検出された. ささげ, あずき, ごまでは各々2/10検体, 1/7検体, 3/12検体からBacillus cereus, B. mycoides, B. lentus等のバチルス属菌が検出された. 汚染ごまを160℃に加熱したところバチルス属菌は未検出となった. 市販赤飯やささげ, あずき, ごまからバチルス属菌が分離されることが確認された. ごまは赤飯のセレウス属菌の高い危害要因であると思われることから, 振りかける前にはよく加熱することが必要と思われた.
著者
加藤 和子 Yohan YOON Roberto S UMALI Sumalee BOONMAR 峯木 眞知子 森田 幸雄
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.496-502, 2018 (Released:2018-07-28)
参考文献数
15

韓国, フィリピン, タイ, 日本の精米の一般生菌数, 大腸菌群数, セレウス菌数について調査した. 2015年5月から7月まで81検体を収集した. 日本では家に保管している精米と市販されている精米および韓国の市販精米はほぼ同じLog3.6-3.9個/gの一般生菌数であった. フィリピンとタイで市販されている精米は日本や韓国の精米に比べ有意に低くLog2.4-2.8個/gであった. 日本および韓国の精米から大腸菌群が分離された. エンテロトキシン産生セレウリド遺伝子非保有のセレウス菌は日本の農家保有精米1検体, フィリピンの市販精米1検体, タイの市販精米4検体から分離され, これらの陽性検体の菌数はLog2.5–2.9個/gであった. しかし, これらの精米を炊飯する加熱条件である98℃, 20分間加熱処理後の検体からは分離できなかった. これらのことから, 炊飯後のご飯のセレウス菌による食中毒のリスクは低いと思われる. しかしエンテロトキシン産生セレウスが炊飯前の米から分離されている. 食品の調理工程や保管に際して交差汚染を防止することは重要であると思われた.
著者
成田 亮子 白尾 美佳 赤石 記子 伊藤 美穂 色川 木綿子 宇和川 小百合 大久保 洋子 香西 みどり 加藤 和子 佐藤 幸子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】平成24,25年度特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」に基づき、昭和35〜45年頃に食べられていた東京都における家庭料理について聞き書き調査を実施し、次世代に伝え継ぐ家庭料理における行事食の特徴を検討した。</p><p>【方法】東京都23区(台東区・世田谷区・中野区・杉並区・品川区・板橋区・練馬区)、都下(日野市・奥多摩町)、島しょ(新島・式根島)の3地域に分け、70歳以上の都民を対象に、家庭料理を聞き書き調査した。その結果より正月、節分、桃の節句、端午の節句、七夕、お盆、土用、お彼岸、月見、七五三、大晦日などの行事食について抜出した。</p><p>【結果・考察】正月は雑煮が食べられていたが、23区と都下でも地域によって食材が異なり特徴がみられた。お節料理では、黒豆、紅白なます、昆布巻き、数の子、きんとん、田作りなどが重詰めにされて食べられていた。節分では23区でイワシの焼き魚、煎り豆、都下で福茶が飲まれていた。桃の節句では蛤の潮汁、ひなあられ、端午の節句では島しょでしょうぶ、いももち、お彼岸ではぼたもちの他に、都下で海苔巻きずし、いなりずしが食べられていた。お月見では月見団子の他に島しょであおやぎ、七五三では都下で、とりの子餅、大晦日では23区で年越しそば、すき焼きなども食べられていた。不祝儀や仏事では23区で白和え、島しょでひら、忌明けだんごが食べられていた。ひらは祝儀と不祝儀で盛り付け方を区別して用いていた。東京23区、都下では行事食で食べられているものは現在と変わらないものが多かった。島しょでは特徴があるものがみられた。聞き書き調査を行い、昭和35年ごろから現在まで行事食は変わらず受け継がれていることが分かった。</p>
著者
伊藤 美穂 成田 亮子 赤石 記子 色川 木綿子 宇和川 小百合 大久保 洋子 香西 みどり 加藤 和子 佐藤 幸子 白尾 美佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」に基づき、昭和40年頃に食べられていた東京都における家庭料理について聞き書き調査を実施した。今回は、主菜について、23区、都下、島しょの特徴を明らかにすることを目的とした。<br>【方法】東京都に40年以上居住している70歳以上の都民を対象に、昭和40年頃に食べられていた家庭料理について聞き書き調査を実施した。主な調査時期は平成24、25年であるが、随時追加調査を行った。東京都を23区の東部、西部、南部、北部と都下、島しょの6地域に分け、当時食されていた主菜について肉、魚、卵、豆・豆製品、その他に分類して考察した。<br>【結果】肉料理は、23区で多く出現し、中でもすき焼き、とんかつ、ロールキャベツ、餃子などが挙げられた。その他、ステーキやメンチカツ、カレー、ハンバーグなどの洋風料理がみられた。魚料理は、23区では鮭の塩焼き、あじの干物、身欠きにしんの他、種々の魚介を刺身や焼き魚、煮魚、ムニエルにして食していた。都下では、多摩川や浅川などが近いため、川魚のやまめやあゆの料理がみられた。島しょでは、くさやが食されており、伝統的な魚料理の伝承がみられた。その他にもあおむろ、とびうお、ぶだいなど他地域ではみられない魚を使った料理が挙げられた。卵料理は、卵焼き、目玉焼きなどが挙げられ、23区ではオムレツもみられた。納豆や豆腐が23区の日常食に多くみられた。その他の料理として、天ぷらが多くの地域でみられた。23区の東部と北部と比較して、西部と南部に洋風料理が多くみられた。これらの地域では高度経済成長期の中で、食生活が変化していく様子が推察できる。一方、都下や島しょでは、地域の食材に根差した伝統的な食生活がみえた。
著者
駒場 千佳子 松田 康子 加藤 和子 河村 美穂 木村 靖子 島田 玲子 土屋 京子 徳山 裕美 名倉 秀子 成田 亮子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】日本調理科学会特別研究平成24〜25年度「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の調査を通して,昭和30-40年代の行事食の特徴を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】東部低地:加須市,北足立台地:さいたま市,比企:東松山市,大里・児玉:熊谷市,入間台地:日高市,入間山間部:飯能市,秩父山地:秩父市,川越商家:川越市の8地域9か所で、対象者は食事作りに携わってきた19名(居住年数平均72.3年)である。当時の地域環境と共に、食料の入手方法、調理・加工・保存方法、日常食や行事食、食に関連する思い出や伝え継ぎたいと考える料理について聞き書き法で調査を行った。</p><p>【結果】食が関連する行事は、正月や盆などの年中行事や節句を祝うもの、農作業などの節目(収穫の願いや収穫祝い、農作業や養蚕業のひと段落した際の地域の祭事)、人寄せをする地域の祭事などがあった。</p><p>赤飯やおはぎ(ぼたもち)、いなり寿司や巻きずし、ちらし寿司は、多くの行事で作られ、祝い、楽しまれた様子が伺える。海なし県であるが、正月にはお頭付きの海の魚が利用されるなど、日常にない料理も多かった。埼玉県は、里芋の栽培が多く、芋がら(ずいきの茎)を甘酢漬けにしたり(十日夜)、芋は雑煮(角餅・すまし汁)の具としても利用されていた。地域の野菜を使ったかて飯、七福なます、ゆず巻きなども食べられている。また、小麦の栽培も多いことから、行事食にはうどんだけでなく、小麦を使ったお菓子(酢まんじゅう、炭酸まんじゅう、ゆでまんじゅう)がつくられた。特徴的な料理は、穀倉地帯のいがまんじゅう(季節の節目)、塩あんびん(十日夜)、山林地帯のとち餅(正月:栃の実を利用)、つとっこ(端午の節句:栃の葉を利用)などがあった。</p>
著者
島田 玲子 加藤 和子 河村 美穂 名倉 秀子 木村 靖子 徳山 裕美 松田 康子 駒場 千佳子 土屋 京子 成田 亮子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会特別研究平成24~25年度『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』の調査を通して,昭和30~40年代に定着した埼玉県の家庭料理について検証し,主菜の特徴を明らかにすることを目的とした。<br>【方法】埼玉県の東部低地:加須市,北足立台地:さいたま市,比企:東松山市,大里・児玉:熊谷市,入間台地:日高市,入間山間部:飯能市,秩父山地:秩父市,川越商家:川越市の8地域9か所における対象者は,家庭の食事作りに携わってきた19名で,居住年数は平均72.3年である。当時の地域環境と共に,食料の入手法,調理・加工・保存方法,日常食や行事食,食に関連する思い出や,次世代に伝え継ぎたいと考える料理について,聞き書き法で調査を行った。<br>【結果】埼玉県は内陸県(海なし県)である一方,荒川や利根川などの一級河川が流れ,川魚を入手するには恵まれた環境であった。そのため,動物性の食材にはコイやフナ,カジカ,ハヤなどの川魚のほか,ウナギ,タニシなど,川で獲れる魚介類を利用している地域が多かった。ウナギは現在でも名物であるが,昭和30~40年頃には,家庭で調理するよりも,中食・外食としての利用が多かった。その他の魚は,家庭で甘露煮や焼き魚,天ぷらなどにしていた。一方,海産魚は缶詰や干物,塩蔵品が利用され,昭和40年頃から家庭で作られるようになったカレーライスには,畜肉ではなく,サバの水煮缶やちくわが用いられていた。日常的な畜肉の利用は少なく,卵を得るために鶏やアヒルを飼育し,特別なときにつぶして食べることが行われていた。昭和40年代になると流通網の発達や冷蔵庫の普及などによりとんかつやハンバーグなどの洋食として畜肉も食べるようになった。
著者
加藤 和子 成田 亮子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.91, 2011

【目的】日本調理科学会平成22年度大会において、日本の各地や家庭において伝承されてきた行事食について、本学学生の家庭にみた現状について中間報告を行った。今年度は、本学学生の家庭における行事食の支度方法と、行事食の継続状況について検討を行った。【方法】本学家政学部栄養学科・短期大学部栄養科1~4年生の学生とその家庭に全国統一アンケート用紙を平成12年12月に配布し、冬期休業中の留め置き法により回収した。回答アンケートは総数697件、この内10代:175件、20代:247件を学生世代、主たる調理担当者として40代:109件、50代:127件を親世代として項目ごとに集計を行った。【結果】各年中行事における行事食喫食経験者の内、「毎年食べる」行事食は、学生世代では正月:雑煮、クリスマス:ケーキ、親世代は正月:雑煮、黒豆、かまぼこ、煮しめ、大晦日:年越しそば、クリスマス:ケーキが80%以上であった。さらに「家庭で作る」行事食として、学生、親世代共に正月:雑煮、人日:七草粥、その他に学生世代では正月:焼き餅、きな粉餅、親世代は正月:ぜんざい、汁粉、あんこ餅、上巳:蛤の潮汁、盂蘭盆:精進料理、煮しめ、冬至:南瓜の煮物が多かった。また喫食経験者は少ないが、「家庭で作る」割合が高い行事食もみられた。「買う」行事食の割合は、親世代では正月:かまぼこ、土用:鰻の蒲焼きが80%以上、学生世代は節分:炒り豆、上巳:餅・菓子、端午:柏餅、クリスマス:ケーキが70%以上であった。現在では「食べなくなった」行事食は、学生、親世代共に上巳:白酒、その他に親世代では正月:屠蘇、春分の日:精進料理、七夕:赤飯、月見:小芋、春祭り:だんご・餅、秋祭り:ご飯・すし、だんご・餅であった。
著者
河村 フジ子 加藤 和子 畑中 としみ
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.240-245, 1987-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
14
被引用文献数
1

The aroma components in cooked curry powder were determined and the differences of the aroma due to varieties of curry powder, cooking process and cooking periods were studied. The results were as follows;1) Seventeen aroma components were determined from cooked curry powder.2) The aroma components in the two kinds of current curry powders were almost the same qualitatively but different quantitatively.3) The yield of some components in Turmeric, Cuminaldehyde, and Eugenol was markedly decreased by cooking with margarin.4) The yield of all other components in Turmeric was markedly decreased by cooking after sauted with margarin.5) The amounts of aromas in curry powder, curry powder with margarin, and curry powder sauted with margarin at 100°C were markedly decreased by 30 minutes cooking. On the other hand the amounts of aromas in sauted with margarin at 140°C after 60 minutes cooking were larger than those of 30 minutes cooking.6) Some components in Turmeric and Eugenol were not easily volatile for prolonged cooking.7) Sensory evaluation suggested that the aroma components in curry powder were volatilized by adding margarin and more by sauted with margarin. The curry powder sauted with margarin at 140°C was unpreferred. The aroma in non-cooked curry powder added to hot water was stronger than that in cooked one for one hour, however, there was no significant difference in aroma quality between the two after 1 to 3 hours cooking. There was no significant difference among preferrence by several cooking periods.