著者
佐々木 高信 照屋 孝夫 平野 惣大 喜瀬 真雄 花城 和彦 青木 一雄
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.174-179, 2019

2009年4月より2016年12月までの期間に,琉球大学医学部附属病院にて頭頸部癌(口腔,咽頭,喉頭,その他)からの肺転移巣を切除した21症例27切除術を後方視的に検討した。全症例の肺転移巣切除後5年全生存率(overall survival: OS)は56.7%,生存期間中央値(median survival time: MST)は21か月と報告された文献における肺転移切除群と比較し良好な成績を得た。肺転移巣の腫瘍径≥2.0cmが有意な予後不良因子であった(<i>p</i>=0.0157)。多変量解析では独立した予後不良因子は得られなかった。以上より2.0cmより小さい径の肺転移巣に対し,積極的な切除が予後改善に貢献する可能性が示唆された。今回の結果は悪性疾患の肺転移治療に関し,意義のある知見と考え,報告する。
著者
花城 和彦 玉城 昇 小杉 忠誠 嘉数 朝一 兼島 洋 斎藤 厚
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.434-448, 1998
参考文献数
25

喘息発作の出現と亜熱帯地域に位置する沖縄県地方の気象因子との関連を追求した.気管支喘息患者27例を対象とし過去2年間を, 喘息日記を用いて調査した.喘息発作の程度は, 喘息日記の記載から発作点数合計として算出した.一方, 喘息発作患者の救急車搬送頻度は, 那覇市消防局による過去3年間の調査結果を基にした.沖縄県那覇市の各気象因子が調査期間の平均値より高いか否かと, 喘息発作の発生との因果関係を, 2×2分割表にて分析した.その結果, 喘息日記の調査からは, 平均気温ならびに最低気温がそれぞれ調査期間の平均値を上回る日に喘息発作点数合計の上昇が認められた(p<0.05).一方, 救急車搬送頻度の調査からは, 平均気温および最高気温, 最低気温が調査期間の平均値を下回る日(p=0.0001, p=0.0001, p<0.0001), 平均蒸気圧が平均値を下回る日(p=0.0002), 平均海面気圧が平均値を上回る日(p=0.0016)に喘息発作が起こりやすいと推察された.さらに, 重回帰分析により, 低温の救急車搬送頻度に及ぼす影響の大きいことが示唆された.また, 台風接近にともなう気象因子の急変, 特に, 気温や気圧の急激な低下は喘息発作の誘因になる可能性が示唆された.
著者
花城 和彦 玉城 昇 小杉 忠誠 嘉数 朝一 兼島 洋 斎藤 厚
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.434-448, 1998-04-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
25

喘息発作の出現と亜熱帯地域に位置する沖縄県地方の気象因子との関連を追求した.気管支喘息患者27例を対象とし過去2年間を, 喘息日記を用いて調査した.喘息発作の程度は, 喘息日記の記載から発作点数合計として算出した.一方, 喘息発作患者の救急車搬送頻度は, 那覇市消防局による過去3年間の調査結果を基にした.沖縄県那覇市の各気象因子が調査期間の平均値より高いか否かと, 喘息発作の発生との因果関係を, 2×2分割表にて分析した.その結果, 喘息日記の調査からは, 平均気温ならびに最低気温がそれぞれ調査期間の平均値を上回る日に喘息発作点数合計の上昇が認められた(p<0.05).一方, 救急車搬送頻度の調査からは, 平均気温および最高気温, 最低気温が調査期間の平均値を下回る日(p=0.0001, p=0.0001, p<0.0001), 平均蒸気圧が平均値を下回る日(p=0.0002), 平均海面気圧が平均値を上回る日(p=0.0016)に喘息発作が起こりやすいと推察された.さらに, 重回帰分析により, 低温の救急車搬送頻度に及ぼす影響の大きいことが示唆された.また, 台風接近にともなう気象因子の急変, 特に, 気温や気圧の急激な低下は喘息発作の誘因になる可能性が示唆された.
著者
喜瀬 真雄 荒川 雅志 津下 一代 村本 あき子 花城 和彦 青木 一雄
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>日本理学療法士協会は平成27年度宿泊型新保健指導試行事業において,長野県で検証事業を実施している。先行検証事業として平成26年度に行われた厚生労働省地域健康増進促進事業「沖縄における宿泊型の新たな保健指導プログラムの開発と効果検証・事業可能性検証事業」に参画した取り組みを報告し,宿泊型新保健指導における運動プログラム選択の妥当性について検討する。</p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は,糖尿病予備軍の40-50代成人男性72名(首都圏在住宿泊参加群18名,首都圏在住宿泊非参加群18名,沖縄地域住民宿泊参加群18名,沖縄地域住民宿泊非参加群18名)。そのうち,欠損値のない68名を分析対象とした。対照群を設定した非ランダム化比較試験に準拠し,結果の相対的比較を可能とする検証をおこなった。</p><p></p><p>「沖縄における宿泊型の新たな保健指導プログラム」(以下,本事業)は「3泊4日宿泊プログラム」(運動プログラム,栄養プログラム,ウェルネスプログラム)と「宿泊プログラム後の継続支援」(保健師/管理栄養士等による電話・E-Mail等の通信手段を用いた保健指導,宿泊プログラムに関与した医療スタッフ,運営スタッフからの励まし・応援メッセージの配信)から構成された。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>沖縄在住参加群と首都圏在住参加群とを統合し,宿泊群と対照群(宿泊保健指導に参加しなかった対象者)を比較分析した結果,宿泊群では体重,腹囲,BMIの減少が見られた。沖縄対象者と首都圏対象者に分類し比較分析した結果では,体重の減少幅は沖縄宿泊参加群に大きく2.1kgの減少であった。血液検査の結果,中性脂肪や肝機能指標のAST(GOT),ALT(GPT),γ-GP(γGTP)の値は,宿泊群,対照群ともに減少がみられた。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>本事業による宿泊型保健指導は一定の効果がみられたと評価できる。平成27年度に日本理学療法士協会が実施した「運動器痛等に配慮した医師・保健師・管理栄養士・理学療法士等の協働による宿泊型保健指導」(以下,JPTA事業)も有効であったと報告されている。山中らによると宿泊を伴う保健指導の効果は明らかとなっているが,各プログラムの効果性への寄与度は明らかにされていない。運動プログラムの実施方法について集団型と個別型の効果検証も必要である。本事業での運動プログラムは健康運動指導士が集団型で実施し,JPTA事業における運動プログラムは,運動器に痛みを有する参加者に対し個別型で実施されている。先行研究からこの運動プログラム選択は適切であることが示唆された。</p><p></p><p>宿泊型新保健指導プログラムを成立させるには,地域の医療機関,保健指導機関,観光事業者,自治体など多様な異業種間の連携が必要である。滞在メニュー全体においても多職種連携,専門性を重視した連携が必要なことが示唆された。</p>