著者
花田 里欧子
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.54-69, 2016-09-30 (Released:2017-04-12)
参考文献数
22

本稿は,Gregory Batesonの思索を軸に,メタ・コミュニケーションを生の基準としてたどることで,本来的な原義を論じる.Ruesch & Bateson (1951)はメタ・コミュニケーション概念を「コミュニケーションについてのコミュニケーション(communication about communication)」と定義し,その後,異分野・多領域の研究者がこれを便利な概念として受容した.ところが,概念の定義は研究者によってまちまちとなり,無定義のまま多用されたため,概念の当初の意味や枠組み,その多義性については曖昧になり,概念の変容が生じた(Bavelas, 1995).本稿では,そもそもBatesonがメタ・コミュニケーションをどのように提唱し,展開してきたかについて,1946年3月第1回メイシー会議から1987年『天使のおそれ』までの間の歴史的ならびに理論的な足跡を通じて,明らかにする.
著者
三原 芳秋 松嶋 健 花田 里欧子 岡本 雅史 高田 明 太田 貴大 鵜戸 聡 比嘉 理麻 高梨 克也 中川 奈津子 中谷 和人 アンドレア デアントーニ 赤嶺 宏介 川上 夏林
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

「(人間)主体」の諸機能=学科を軸に制度化されてきた人文学を「生きている存在」一般の学として再編成する(=「生態学的転回」)ために、多様な専門の若手研究者が集い、「共同フィールドワーク」や芸術制作・コミュニティ運動の〈現場〉とのダイアロジカルな共同作業を通して従来型ではない「共同研究」の〈かたち〉を案出することが実践的に試みられ、その〈プロセス〉は確固たる端緒を開くに至った。また、環境・社会・精神のエコロジーを美的に統合する「エコゾフィー」的思考を共有する基盤となるべき「新たな〈一般教養〉」構築を文学理論の「生態学的転回」を軸に試みる企図も、国際的・学際的に一定の承認を得ることができた。