著者
花輪 知幸
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
大学の物理教育 (ISSN:1340993X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.42-46, 2020-07-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
3

1.はじめに千葉大学では,出張講義やサマースクール,研究室見学,スーパーサイエンスハイスクールへの協力などの他に,本稿に掲げるような,特色ある高大連携活動を行っている.そしてその多くが,
著者
花輪 知幸 ハナワ トモユキ Hanawa Tomoyuki
巻号頁・発行日
2005-03

平成14年度~平成15年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(1))研究成果報告書 研究種目:基盤研究(B) 研究種目コード:310 研究課題番号:15340062 審査分野:一般 区分コード:03 本研究課題では、円盤・伴星(あるいは巨大惑星)を伴う3次元的な構造をもつ原始星の進化を、自己重力・磁場・輻射輸送を考慮した数値シミュレーションにより明らかにすることを目的として、研究を進めてきた。また研究基盤を整えるという観点から、数値シミュレーションで重要な微分方程式の数値解法や数値データの解析・可視化の技術についてまとめたハンドブックを発行し、関係機関に配布するとともに、千葉大学・宇宙物理学研究室よりインターネットを通じて公開した。本年度に得られた主な知見は次の通りである。1.自転軸に対して斜めの磁場に貫かれた分子雲コアの重力収縮を3次元数値シミュレーションし、磁場と回転の軸が動的な時間尺度で揃うことを示した。この結果は、ひとつの星形成領域でアウトフローの方向は大局的な磁場の方向に揃うことを示唆する。2.一つの連星に所属する主星と伴星では、主星のほうがガス降着率が高くなることを、空間分解能の高い数値シミュレーションにより示した。これは伴星のガス降着率が高いために、連星の質量比は1:1に近づくという定説を覆す知見で、星の質量分布を考える上で重要な指摘である。3.宇宙初期の化学組成をもつガスの重力収縮を3次元シミュレーションし、初代星(種族III)でも連星の形成頻度が高いことを示唆する結果を得た。4.1次元輻射輸送シミュレーションを行い、超新星爆発により周囲のガスが電離・圧縮されると、1万年後に圧縮された分子ガス雲より次世代の星が形成されることを示した。 別刷論文(p.29-)削除
著者
坂井 南美 野村 英子 花輪 知幸 大橋 聡史 奥住 聡
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

特に若い原始星L1527について、化学診断を通したエンベロープ・円盤構造の同定、円盤のワープ構造の発見など、独自の手法による成果を挙げてきた。このような初期円盤構造は、原始惑星系円盤で捉えられているリングやスパイラル構造、また、系外惑星における軌道面の多様性の起源の端緒を捉えたものであり、より多くの初期円盤の観測でその一般性を検証することが求められる。数auスケールでの円盤構造の高分解能観測によりこの課題に応えるとともに、多波長観測により、ダスト成長を円盤構造形成過程との関係から解明する。これらを通し、"原始星進化の過程で、惑星形成がいつ始まるか"という問題を提起し、その大要を明らかにする。
著者
片岡 章雅 塚越 崇 百瀬 宗武 永井 洋 武藤 恭之 デュルモンド コーネリス ポール アドリアーナ 深川 美里 芝居 宏 花輪 知幸 村川 幸史
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

原始惑星系円盤内において合体成長中のダストのサイズを観測的に測定することは惑星形成の理解を進める上で重要である。我々は、従来とは全く独立な手法として、ミリ波偏光観測によるダストサイズ制限を理論的に提案した。これは、ダストの熱放射が別のダストによって再び散乱されることによっておこる偏光が、輻射場の異方性のために観測されることを利用する。我々は、実際にALMA望遠鏡を用いて原始惑星系円盤 HD 142527 を観測し、後期段階の原始惑星系円盤からのミリ波における偏光を初めて検出した。更に、偏光ベクトルの向きから、我々が提唱した散乱偏光の証拠を捉えることに成功した。このことから、ダストの最大サイズは150ミクロン程度であることがわかった。この一連の研究は惑星形成過程におけるダスト成長に対する制限が飛躍的に向上することを示唆しており、今後のALMA偏光観測による惑星形成研究の更なる盛り上がりが期待される。