著者
若倉 正英
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.359-364, 2004-12-15 (Released:2016-12-30)
参考文献数
2

廃棄物処理ではさまざまな火災,爆発,中毒,挟まれ巻き込まれなどの行動災害が発生している.廃棄物の主要工程について典型的な事故事例を解析し,工程ごとの潜在危険性について解説した. 廃棄物は有害物の混入による事故,混合事故,堆積・保管物の蓄熱火災などが増加している.さらに,不注意や本質安全化の遅れによる労災事故も,一般製造業に比べてきわめて多い. 循環型社会の建設に向けて,廃棄物処理施設と地域社会との共存は重要な課題である.潜在的な危険性を低減して安全,安心の職場環境を構築することが市民の理解を得る重要なポイントである.
著者
若倉 正英 岡 泰資 三橋 孝太郎 橋本 孝一 泊瀬川 孚 宮川 孝
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.337-343, 1998-05-30
参考文献数
4
被引用文献数
1

一般廃棄物では収集運搬, 処理過程で少なからぬ事故が発生している。一般廃棄物を取り扱う工程での安全を担保するためには, 危険性の実態を把握することが重要である。廃棄物処理管理技術者協議会では厚生省の協力の下に, 平成4年から8年の間に一般廃棄物処理施設で発生した事故に関するアンケート調査を行い興味のある結果を得た。5年間で400件近くの事故が報告され, その中には32名の死亡者と198名の負傷者が含まれ, 被害額1, 000万円以上の物損事故は30件以上発生した。<BR>カセットボンベなどに起因する火災, 爆発事故が多発し大きな施設破壊と時には人身事故を引き起こしていた。また, 施設の老朽化や処理対象廃棄物の増加, 作業マニュアルの整備の不足は種々な労災事故の原因となっていた。さらに, 新規な処理技術の開発や処理対象物質の多様化が進んで, 混触による中毒や異常反応に伴う爆発など, 事故の形態がこれまで以上に複雑化してくる可能性が示唆された。
著者
若倉 正英 岡 泰資
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.200-205, 1999-06-15
参考文献数
4
被引用文献数
1

<p><tt><b>廃棄物は多様な物質が収集運搬,破砕,焼却,化学処理,保管,埋立などさまざまな工程で取り扱われる、そのため,安全化技術の標準化が容易ではなく,一般の製造業に比べて事故の発生頻度がかなり高い.人身災害の大部分ははさまれや巻き込まれといった傷害事故であったが,最近では排出される化学品由来の事故も増加している.化学物質による事故は可燃性廃棄物による火災,爆発が最も多い.特に特定フロンの使用禁止以降,種々のスプレー缶で蓄圧剤として可燃性ガスを使用するため,ゴミ収集車内や廃棄物破砕施設で火災や爆発が頻発している.また,リサイクルや無害化処理に伴う工程では,複数の物質の混合による有害物の発生,発火事故などが少なくない. </b></tt><tt><b>取り扱う廃棄物の安全性に関する性状や,対応方法を把握することが重要である.</b></tt></p>
著者
清水 芳忠 若倉 正英 新井 充
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.77, 2007 (Released:2007-11-23)

貯蔵を目的とするか否かにかかわらず,堆積された廃棄物は内部に熱を蓄積する可能性があり,悪条件が重なった場合には大規模な火災事故に発展することも少なくない。これは,野積みされた余剰の廃棄物だけではなく,廃棄物を燃料として再利用する目的で製造されている,ごみ固形燃料(RDF)や木質系バイオマス燃料の貯蔵時においても事故例が報告されている。これらの堆積廃棄物火災の抑制や廃棄物の蓄熱発火危険性評価手法の構築を目指し,さまざまな廃棄物について初期発熱の起こる条件や発熱が蓄積する過程,酸化反応の開始温度や促進される条件など,各種熱分析や化学発光測定を利用して検討を行った。
著者
若倉 正英 清水 芳忠 荻原 瑠 三宅 淳巳
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会誌 = WASTE MANAGEMENT RESEARCH (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.382-391, 2007-11-30
参考文献数
9

一般廃棄物処理施設における労働災害の発生状況を, 日本廃棄物処理施設技術管理者協議会が継続的に実施しているアンケート結果に基づいて解析した。廃棄物処理工程での労働災害発生率は全産業平均の7倍以上であり, 安全化の推進は緊急の課題である。廃棄物処理施設別に事故の起因となった設備機器, 作業, 発生原因を, 事故の種類や負傷者の重篤度により分類し, 非定常作業での安全上の問題点, 施設や設備機器ごとの潜在危険性を整理した。また, 労災事故多発の背景にある組織要因や管理運営要因などを明らかにするため, 廃棄物の取り扱いでの典型的な死亡事例について, 根本原因分析を行った。その結果, 廃棄物処理工程では安全の基礎である管理者, 作業者の安全意識の不足が, 事故の根本的な要因であることなどが明らかになった。また, 一般廃棄物処理での労働安全活動が産業廃棄物処理業に比べて, 低調であるなどの問題点も示唆された。