著者
稲村 光郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.9, 2007 (Released:2007-11-23)

戦時下(1937-1945)における資源回収は、国の主導により、主として日中戦争時には貿易収支上に生じた不足物資の補填策として、太平洋戦争開始以後は軍需産業への金属集中のために行われた。全体としては半強制的な雰囲気下で行われているが、43年に実施された非常回収は「国家総動員法」に基づいた強制的な企業整備と一体的になされたもので、非軍需工場を土地・建物・人員ぐるみ軍需産業へ転用し、設備を金属回収するというものであった。その結果、主対象とされた繊維工業全体では鉄量換算で約百万トンあった設備のうち、約七十万トンがスクラップ化されたと推定されている。他方、一般家庭では金属類に加え、木炭空俵や酒びんなどの引換え回収、さらには末期には生活必需品の不足をもたらすほどのアルミ回収が行われたが、その実施には町内会・隣組が国家組織の末端として再編成、育成され利用された。これらの結果、戦時中の鉄くず回収量は戦前のそれに比べてても高い水準であった。また戦後、町内会の復活とともに古紙回収率が世界レベルまで高まった要因として、一般家庭のこの体験を通じた学習効果が考えられる。
著者
武下 俊宏 樋口 壯太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.278, 2007 (Released:2007-11-23)

石膏ボード各構成部位からの硫化水素の発生を浸漬条件下で確認したところ,板紙および芯材の双方から硫化水素が発生し,特に板紙から高濃度の硫化水素が発生することが明らかになった.石膏ボードに含まれる有機物として澱粉,セルロース,パラフィンワックスなどが報告されている.これらの有機物の中で,澱粉だけが硫酸カルシウム二水和物との組み合わせにより硫化水素を発生させることが確認された.一方,石膏ボードに含まれる分解性有機物を予め曝気処理することで硫化水素の発生抑制が可能か検討したところ,予想に反し曝気期間が長くなるほど嫌気条件に移行後硫化水素の発生が急速に進行し高濃度化することが明らかになった.最後に硫化水素発生抑制剤(SC剤)の最適添加量の検討を行った.結果,石膏ボードの面積(100mm×100mm)当たり5%SC剤を0.18ml添加すれば硫化水素の発生を抑制できることが確認された.
著者
梅田 純子 近藤 勝義 道浦 吉貞
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.129, 2007 (Released:2007-11-23)

籾殻に含まれる可溶性シリカ成分を非晶質構造の状態で抽出すべく,無機強酸により籾殻を酸洗浄処理した後,600~1200℃で大気焼成した.その際にX線回折により結晶化温度を把握すると同時に,焼成灰中のシリカ純度およびアルカリ金属不純物量に及ぼす酸処理条件の影響を調査した.その結果,籾殻の約70%を示す炭水化物(セルロースやヘミセルロース)は酸処理過程で加水分解することを熱分解ガスクロマトグラフ質量分析によって明らかにした.例えば,加水分解によってセルロースはレボグルコサンを,ヘミセルロースはフラフルールをそれぞれ生成する.
著者
大西 豊 西村 文武 藤原 拓 小野 芳朗
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.236, 2007 (Released:2007-11-23)

ポリ塩化ビニル製品からの溶出物質として親水性の有機物,とりわけ多くの浸出水中で検出されるフェノール類を対象として本研究ではとくに埋立直後に上昇すると考えられる内部温度に注目してまたポリ塩化ビニル製品の材質について,製品の硬度に注目し溶出試験を行った.
著者
横山 理英 林 聡 岩田 知之 高橋 智紀 高田 潤
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.128, 2007 (Released:2007-11-23)

ヒノキチップをCa溶液に浸漬したのち炭化、酸処理すると硝酸性窒素及びフッ素イオンを吸着する炭素材料を作ることができる。本研究では原料として各種植物系廃棄物を用い、同様な手法で炭化物を作成し硝酸性窒素吸着能を調べた。その結果いずれの原料でも吸着能は発現することがわかり、特にコーヒーかすを原料とした場合、木質原料よりもさらに高い吸着能があることがわかった。吸着は塩化物イオンとのイオン交換であり、リン酸イオン、硫酸イオンはほとんど吸着せず、硝酸性窒素とフッ素イオンに対して吸着選択性を有する。金魚水槽を用いた簡易な水質浄化試験では硝酸性窒素を吸着してアオコの発生を抑制することがわかった。そのため、水質浄化材料として利用できることが示唆された。
著者
大前 慶和
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.6, 2007 (Released:2007-11-23)

環境教育は,今日的には,持続可能な開発のための教育として展開されることが重要である。本研究では,先ほど開発を終えたダンボールコンポスターを活用した環境教育教材『にじいろタウン』を紹介する。webや印刷媒体を組み合わせた教材になっており,子供達が楽しみながら学習できるように作られたものである。
著者
清水 芳忠 若倉 正英 新井 充
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.77, 2007 (Released:2007-11-23)

貯蔵を目的とするか否かにかかわらず,堆積された廃棄物は内部に熱を蓄積する可能性があり,悪条件が重なった場合には大規模な火災事故に発展することも少なくない。これは,野積みされた余剰の廃棄物だけではなく,廃棄物を燃料として再利用する目的で製造されている,ごみ固形燃料(RDF)や木質系バイオマス燃料の貯蔵時においても事故例が報告されている。これらの堆積廃棄物火災の抑制や廃棄物の蓄熱発火危険性評価手法の構築を目指し,さまざまな廃棄物について初期発熱の起こる条件や発熱が蓄積する過程,酸化反応の開始温度や促進される条件など,各種熱分析や化学発光測定を利用して検討を行った。
著者
日下 英史 横井 惇
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.120, 2007 (Released:2007-11-23)

有機物の浮遊懸濁物質(SS)を多量に含む排水が閉鎖性水域に流入すると環境汚染につながることが問題となっている。このような排水中のSSが低濃度で含まれると従来の処理法ではエネルギーコストの問題も含めて処理が困難となる。そこで本研究では、効率良く浮遊懸濁物質を除去可能な浮選を用い、これらの排水中に含まれる有機懸濁物質を除去することを目的に、浮遊懸濁物質のモデル粒子として比較的多くの食品系排水中に含まれる澱粉を選定し、代表的な捕収剤を用いた場合の浮遊挙動について検討を行った。その結果、捕収剤としてSDSを用いた場合、全pH領域において澱粉粒子を分離することは困難であることが確かめられた。また、捕収剤としてDAAを用いた場合には、pH 3~8の領域において高い浮選回収率を示し、濃度240 ppmの場合において用水中の 澱粉粒子がほぼ完全に除去されることが確認され、有機排水中のSSの浮選による除去および濃縮の可能性が示唆された。
著者
王 青躍 飯島 敦史 黒川 秀樹 関口 和彦 坂本 和彦 中島 大介
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.177, 2007 (Released:2007-11-23)

本研究では、炭化処理における昇温速度が、廃棄物の減量化および安定化に及ぼす影響を調査し、減量化評価を熱重量測定によって行い、安定化評価を腐敗性炭素量の指標である易分解性炭素量の測定によって行った。さらに、炭化生成物の燃料利用を考慮し、その燃焼特性を調査するため、着火温度による評価も行った。廃木材、鶏糞の高速昇温(90℃/min)による炭化処理は、最終温度が同じであれば低速昇温(10℃/min)と同程度の減量化、安定化の効果が得られることが確認でき、処理速度の向上が図れることが示唆された。さらに炭化物の燃料利用に関しても、有機分の多い廃棄物の高速昇温による処理は、より燃焼反応性の高い炭化物が得られる点で有利であることが示唆された。
著者
倉持 秀敏 崔 基仁 大迫 政浩 前田 光治 中村 一夫 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.175, 2007 (Released:2007-11-23)

トラップグリースのような低品質な廃油脂類をBDF原料として利用するには、既存のBDF製造ラインに投入する前に原料の脱水および遊離脂肪酸(FFA)の除去が必要である。そこで、本研究では、脱水方法として莫大な水の蒸発潜熱の投入を回避でき、かつ、後段の反応系への展開が容易な溶媒抽出法に着目し、溶媒抽出による脱水の可能性を検討するとともに、新規BDF製造法として抽出剤を含む抽出物をFFAの除去およびBDF製造プロセスに直接導入した場合を想定し、抽出剤がFFAの除去および油脂のBDF化に与える影響を調べた。