- 著者
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下島 桐
東 祐圭
若月 大輔
笹井 正宏
久野 越史
池田 尚子
前田 敦雄
前澤 秀之
江波戸 美緒
鈴木 洋
嶽山 陽一
- 出版者
- 公益財団法人 日本心臓財団
- 雑誌
- 心臓 (ISSN:05864488)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.SUPPL.3, pp.S3_129-S3_134, 2012 (Released:2013-09-25)
- 参考文献数
- 7
症例は74歳,男性.主訴は心肺停止.2010年5月ころより失神発作が出現するようになったが,1分程度で自然回復するために放置していた.2010年11月失神発作出現.12誘導心電図でデルタ波を認めWPW症候群と診断されたが,頻拍発作がとらえられず経過観察となった.2011年5月夜間胸部不快感の後心肺停止となった.救急隊到着時心室細動(VF)であり心肺蘇生,電気的除細動施行されVFは停止した.近医に入院し脳神経系異常なく,精査加療目的で当院に転院した.CAGでは有意狭窄なし,アセチルコリン負荷中に冠攣縮誘発は認められなかったが,AFが誘発されVFに移行した.VFはDCで停止.電気生理学的検査(EPS)施行,Kent束付着部位は左後側であると同定.洞調律中,順伝導はKent束で,逆伝導は房室結節であった.プログラム刺激で心拍数185bpmのwide QRS tachycardiaが誘発されたが,順伝導はKent束で,逆伝導は房室結節であり逆方向性房室結節リエントリー性頻拍(antidromic AVRT)であった.AVRT中血圧は40mmHgまで低下した.心肺停止の原因はAVRTから心房細動(AF)に移行し,VFに至った可能性が示唆された.Kent束をアブレーションしKent伝導ブロックに成功し,その後症状なく経過している.Antidromic AVNRTが心肺停止の原因であった1例を報告する.