- 著者
-
若林 一敏
- 出版者
- 一般社団法人 電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, no.1, pp.37-50, 2012-07-01 (Released:2012-07-01)
- 参考文献数
- 21
- 被引用文献数
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2
5
CやC++言語等のプログラム記述から,ASICやFPGAを設計するためのRTL記述を合成する「高位合成」技術の概要を述べる.まず,LSIの設計工程とその自動化の歴史と,LSIの大規模化による設計自動化の必然性について説明する.次に,高位合成技術の原理を工程ごとに解説する.高位合成は設計効率化以外に高性能化,低電力化,高信頼性化,再利用性の向上など様々な効果がある.なぜ,そのような効果が得られるかを,技術面から解説する.また,高位合成のターゲットアーキテクチャであるFSM(Finite State Machine)とデータパスからなるFSMDアーキテクチャ処理効率をCPUと比較して議論する.高位合成は基本原理が確立されプロトタイプシステムが出てから実用化まで長い時間がかかった.非常に広範な最適化技術の実装が必要だからである.これらの中から代表的な幾つかの技術を議論する.また,高位合成技術はアルゴリズム系のデータ処理回路だけでなく,制御系回路にも有効であることを示す.次に,ハードウェア向けのC記述の基本の考え方を紹介し,最後に,近年適用が広まっているFPGA向けの高位合成技術やそれを利用した新しい応用分野を紹介する.