著者
酒井 完 青山 哲也 高橋 渡 本田 晋也 中本 幸一 若林 一敏
雑誌
DAシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.69-74, 2018-08-22

本稿では,積和演算ライブラリを高位合成ツール上で実現するフローを提案する.まず,既存の高位合成ツール上の FIR フィルタ専用ライブラリで実現されているハードウェア構造を一般化し,本ハードウェア構造は従来適用対象であったパイプライン回路だけでなく順序回路においても使用可能であること,また DSP ブロックの適切な利用により高性能なデザイン生成が可能であることを示した.高位合成ツール上で本ハードウェア構造を実現する為,積和演算ライブラリ関数の呼出し部を適切な単位で分割し,各分割単位を多サイクル入力型のパイプライン演算器として合成するフローを提案した.本フローを高位合成ツール CyberWorkBench (R) 上に構築し,より高性能なデザインが得られていることを確認した.
著者
日高 隆博 山崎 二三雄 中本 幸一 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2009-EMB-14, no.1, pp.1-8, 2009-07-17

車載ソフトウェアの大規模化に伴って,従来型開発手法による安全性検証が困難となってきている.本研究では,安全性分析手法であるHAZOPを用いてソフトウェア異常検出条件を導出する手法について提案する.また,この異常検出条件を用いたソフトウェア異常監視機構について実装を行い,本手法の有効性について評価を行う.本手法は特にコンポーネント機構を用いたソフトウェアに対して有効であり,また,組込みソフトウェアの制約に合わせた監視条件の設定が容易であることを示す.
著者
平山 雅之 中本 幸一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.890-863, 2013-08-15

さまざまな領域で利用される組込みソフトウェア分野では,規模や複雑さをはじめ多くの技術的な課題が指摘されている.これらの技術課題やその解決策を論じる場合,具体的な組込みソフトウェアの題材が必要となる.特に組込みソフトウェアの開発技術についてはハードウェア依存性,実時間制約,要求の不確定性,非機能要求,信頼性・安全性への要求などさまざまな特徴への対応を考慮することが求められる.本稿では,これらの特徴を考慮したうえで,組込みソフトウェア分野の課題検討や解決策を論ずるのに適した共通例題について,その方向性を示すともに,具体的な例題の案として自転車事故防止システムを取り上げ紹介する.
著者
内田 昭宏 中本 幸一 佐藤 直樹 大鷹 正之 泉 正
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第39回, no.ソフトウェア, pp.1239-1240, 1989-10-16

CTRONは交換処理・情報処理・通信処理・ワークステーション等広い分野で共通に使用できるOSである。ソフトウェア流通性を促進するため, CTRONは基本OSと拡張OSの二階層による構成となっている。CTRONカーネルの機能は表1に示すようなサブセット単位に分割される。筆者らは,NECのオリジナル32ビットマイクロプロセッサV70/V80上に, C+Mサブセット機能を持つCTRONカーネルを実現した。本稿ではV70/V80CTRONの概要を紹介し、アーキテクチャ独立性を高め, UNIX上でも動作可能とした実現方式について述べる。
著者
大塚 壮一 神田 正巳 中本 幸一
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.16, pp.1-6, 1992-03-03

従来,通信処理システムなど組込みシステム向けの大規模ソフトウェアは,その構造が複雑であり,修正時にプログラムの再リンク・再配置が必要となるためその変更が容易でなく,デバッグ時の作業効率も妨げていた.筆者らは,この問題を解決し,組込みシステムの一つである通信処理システム向けOS CTRONの拡張OS,アプリケーションプログラムの開発を支援するために,ターゲットソフトウェアをモジュールという構成単位でモデル化し,このモデルによりソフトウェアの構成を記述する言語を導入した.更にモジュール単位でのプログラムのリンクを可能とし,デバッグ時にもこの単位でプログラムの一部の追加・修正を可能にするサポートシステムを開発した.The complicated structure of large software in an embedded system like a communication system leads to being difficult to modify it in order to need to relink and relocate programs and the difficulty prevents efficient debugging. The authors solve these problems and model target programs as a module and define a language to specify configuration of the programs in terms of a module in order to support development of extended OS and application programs of OS, CTRON, for communication systems, one of the embedded system. Moreover they develop a support system which allows a user to link the program by a module and replace parts of the program and append the parts into the programs.
著者
中本 幸一 高田 広章 八谷 祥一 朝倉 義晴 樫宿昌房
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.64-78, 2004-03-15
参考文献数
25

Java言語は組込みシステムで必須なリアルタイム処理には適さないといわれている.本論文では,リアルタイム処理を行う組込みシステムでJava言語を利用するためにリアルタイムOSとJavaプログラムの実行環境を共存させたハイブリッドアーキテクチャJTRON2.1の仕様策定を行い,これに基づいた試作の評価結果と実システムでの応用事例を述べている.JTRON2.1仕様では,Javaスレッドとリアルタイムタスクは通信機能により協調動作を行う.この通信機能には,リアルタイムOSの資源をJavaスレッドから利用するアタッチクラス,Javaオブジェクトをリアルタイムタスクから利用する共有オブジェクト,Java言語のストリーム機能を利用したストリーム通信の3種類がある.この通信機能はリアルタイムOS,Java実行環境上にライブラリとして実現される.このライブラリを利用して,リアルタイム処理はリアルタイムOS上のリアルタイムタスクで処理し,非リアルタイム処理はJava実行環境上のJava スレッドで実行させるような環境が実現される.There exist some problems in real-time processing essential in embedded systems when the Java language is applied to the embedded systems. This paper presents specification, evaluation results and applications of a hybrid architecture JTRON2.1, in which the Java runtime environment and a real-time OS coexist in order to utilize the Java language in the embedded systems requiring real-time processing. In JTRON2.1 specification, Java threads and realtime tasks cooperate through communication mechanisms. The communication mechanisms consist of attach classes, shared objects and stream communication. The first one provides methods by which Java threads can access to real-time resources. By the second one, realtime tasks can access to Java objects. The third one utilizes the Java stream to communicate with real-time tasks. The communication mechanisms are implemented by libraries on the real-time OS and the Java runtime environment. Using the libraries, the hybrid architecture is realized, where real-time processing is executed by real-time tasks on the real-time OS and non real-time processing is done by Java threads on the Java runtime environment.
著者
山田晋平 中本幸一
雑誌
平成22年度情報処理学会関西支部支部大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, 2010-09-22

大規模な組込みシステムの複数プログラム領域間において,プログラムの想定外の動作による不正なアクセスを防ぐため,許可されたアクセスのみを可能とするメモリ保護機構を有するリアルタイムOSの設計を述べる.
著者
中本 幸一 藪内 健二 尾崎 辰典 原 央哉 岸田 貴成 阿部 一晴 北村 章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.367, pp.37-42, 2010-01-14

車載システムやプロセス制御システムなど分散組込みシステムの規模と複雑さが増加している.さらにより環境に配慮した,もしくは安全な制御のために数多くのセンサーデータからデータが収集されネットワークを介してコンピュータに送られる.こうしたシステムを高品質,高生産性で開発するために,筆者らは仮想的なソフトウェア実行環境を開発している.この環境では,多くのCPUシミュレータやデバイスシミュレータを統合し,ネットワークワイドなシミュレーション機能を提供する.本報告では,本仮想実行環境の中でCPUシミュレータ,通信ミドルウェア,ハイブリッドなソフトウェア実行環境について現状を報告する.
著者
田村 祐典 中本 幸一 山田 晋平
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.32, pp.1-7, 2010-03-19

近年、プロセッサのマルチコア化が進む中で新たな並行処理同期法としてトランザクションメモリという技術が注目されるようになってきている.トランザクションメモリとはデータベースの分野で使用されるトランザクションをメモリのデータ管理に応用したものである.トランザクションメモリは従来の並行処理における共有データの同期制御法であるロックベースの排他制御の代替手法とすることが研究される.従来の同期処理手法である排他制御は危険領域を大きく取るか細かく取るかでトレードオフがある.大きく取る場合はプログラムは見やすくなるがスループットが低下する.反対に細かく取ればスループットは増加するがプログラムが見難くなり、予期せぬデッドロックの可能性も高くなる.トランザクションメモリは,一貫性が損なわれない範囲で従来危険領域とされる処理においてのスレッドの並行実行を許す.そのため,排他制御の問題の解決法として考えられている.プロセッサのマルチコア化は将来の組込システムの分野にも適応可能であると考えられ,汎用コンピュータの場合と同様にトランザクションメモリを使用することで利益が得られると考えられる.本研究はこのような観点の下,組込システムにおいて,トランザクションメモリの実装方式を検討するものである.Recently, as processor has become multi-core, transactional memory has been getting attention as a new memory synchronization method. The transactional memory is a memory management technology based on transaction used in field of database. It has been researched for expecting that it will be an alternative to a lock-based exclusive control in the traditional memory synchronization. The traditional exclusive control has trade-off between coarse-grained locking or fine-grained locking. The coarse-grained locking becomes easy to see the program, but throughput (concurrency) decreased. The fine-grained locking, increase throughput, but it becomes difficult to see the program and prone to programming errors. The transactional memory provides a solution to this problem because it allow multiple task to run concurrently in critical section as far as the consistency of data is not lost. In the field of embedded system, multi-core processer can be used too, so embedded system can benefit from transactional memory. Under this perspective, this study focus on applying transactional memory for embedded system, and design transactional memory for implemention into embedded operating system.
著者
中尾 和弘 中本 幸一
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.20, pp.1-6, 2012-02-24

Android は,スマートフォンだけではなく組み込みシステムとして家電やカーナビ等への利用にも注目されており,今後はスマートフォンや Android を搭載した端末相互間における連携が必要になると考えられる.しかし,Android 端末相互間における情報のやりとりについてはこれまであまり注目されてこなかった.そこで,本稿では Android 端末を用いたアプリケーション層での遠隔サービス呼び出し機能の試作を行い,有用性と課題について検討した.また,アプリケーション層以下での遠隔サービス呼び出しについて,Android OS レベルでの実装のために Binder と AIDL について考察し,どのような設計が考えられるか検討した.Android has been attracting attention as the OS for not only smartphones but also embedded systems. It is necessary that smartphones and embedded systems which Android OS is installed have to coordinate with each other. However, sending and receiving information between Android devices has been gotten less attention. Therefore, in this paper we demonstrate a prototype of the function which calls remote services based on Android and make a feasibility study on utilities and problems. Moreover, we discuss Binder and AIDL to implement calling remote services under the application layer in Android OS and we examine possible architectures.
著者
奥山 嘉昭 村上 卓弥 村津 文武 浅井 伸一 佐藤 直樹 中本 幸一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.21, pp.111-118, 2004-03-04
被引用文献数
5

PDAなどの携帯端末の発展によって,利用者が移動する毎に公衆無線LANアクセスポイント・車内無線LANなど様々な無線LANネットワークに接続する形態が現実のものとなっている.しかし,従来の携帯端末では,無線LANに接続するための設定が煩雑である上,ユーザのニーズにあったネットワークを自動で選択し,接続しているとは言い難い,そこで本稿は,無線LANに接続するための設定簡略化と,ユーザのニーズにあったネットワークに自動的に接続を行うためのデータ管理方式について提案する.ユーザのニーズに応じて複数の無線LANネットワークの設定の中から適切なネットワーク設定をダウンロードし,適切なネットワークに自動的に接続を行うことでユーザの無線LANネットワーク設定/接続時の負担を減らすことができる.Mobile terminal users connect several wireless LAN network, such as public, office and home wireless LAN progress of PDA. However, it is troublesome for the present mobile terminal user to setup mobile terminals to connect with wireless LAN. Also it is impossible for the terminal to select the most suitable network which the user requires. This paper introduces automatic configuration method for wireless LAN and data management method for automatic network selection. By using these methods, user can connect wireless LAN network easily and terminal connects automatically to network which user requires.
著者
伊賀 徳寿 中本 幸一 奥山 嘉昭 佐藤 直樹 檜原 弘樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.164-176, 2003-07-15
被引用文献数
4

企業向けシステムでは,システムで提供する機能をオブジェクトとしてモデル化し,相互接続性を保証したCORBAにより実装するシステム構築が広まってきている.オブジェクト指向設計による生産性向上とソフトウェアの下位層の隠蔽による移植性の向上を目的として,組込みシステムから構成されるネットワークシステムでもCORBAは有効であると期待されている.しかし,CORBAは企業システム向けに設計されており,ハードウェアリソースやソフトウェアリソースの制約の厳しい組込みシステムでは適用が難しいところがある.本論文では,企業システムとは直接には接続しない組込みシステムネットワークに特化した機能を有する組込みシステム向けCORBA(Embedded CORBA)の設計思想,仕様,実装とその評価について述べる.最近,情報家電をはじめとする組込 みシステムでは,機器の提供する機能の追加拡張を行う機能が求められている.Embedded CORBAは,このためにオブジェクトの動的追加機能を具備している.In enterprise system, CORBA becomes popular, in which the functionalities the enterprise systems are modeled as objects and the objects are implemented. CORBA is also expected to be effective in embedded system because high productivity of object-oriented design and high portability due to hiding lower software layers. Applying CORBA to the embedded systems is difficult because CORBA is basically designed for the enterprise systems and not suitable for the embedded system whose resources are very restricted in hardware and software. Embedded CORBA is suitable for embedded system networks,which are not directly connected to the enterprise systems. We describe the design philosophies, the specification and design and the implementation and evaluation of Embedded CORBA. Recently, extending functionalities in the embedded systems are required. Embedded CORBA also provides the functionalities to add objects dynamically.