著者
川鍋 慧人 古島 弘三 宇良田 大悟 貝沼 雄太 安田 武蔵 船越 忠直 草野 寛 高橋 啓 堀内 行雄 伊藤 惠康
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.293-297, 2020 (Released:2021-03-16)
参考文献数
8

近年,アマチュア野球や国際大会で投球制限が注目されている.しかし,投球制限に関する医学的根拠は明らかになっていない.そこで,健常成人野球経験者における連続投球後の肘関節周囲のMRIの変化を明らかにした.対象は健常成人野球経験者3名であり,被験者1は100球,被験者2は150球,被験者3は200球を18.44mで全力投球を行い投球前後にMRIを撮影した.被験者 3は3日間連投を行い,それぞれの投球後及び ,200球投球後から1週間後にMRI撮影を行った.撮影条件はT2*強調画像,脂肪抑制T2強調画像,プロトン密度強調画像のそれぞれ冠状断・水平断とした.被験者1では投球前後を比較して輝度変化は認められなかった.被験者2,3は投球前と比較し前腕回内屈筋群に輝度変化が認められ,被験者3ではUCL実質内にも輝度変化が認められた.投球数の増加,連投は投球障害のリスクを高めることが示唆された.
著者
宇良田 大悟 古島 弘三 貝沼 雄太 安田 武蔵 川鍋 慧人 西 亮介 船越 忠直 草野 寛 高橋 啓 堀内 行雄 伊藤 惠康
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.288-292, 2020 (Released:2021-03-16)
参考文献数
19

【はじめに】近年,内側型野球肘の外反不安定性評価としてring-down artifact(RDA)が報告されている.RDAは関節内の線状高エコー像と定義され,関節弛緩性を示す.本研究の目的は,健常高校野球選手におけるRDA陽性率と,その後の肘内側痛の発症に関して前向きに調査することである.【方法】対象は,高校硬式野球部新入部員32名とした.超音波診断装置を用い,自重外反時,自重外反+尺側手根屈筋(FCU)・浅指屈筋(FDS)収縮時のRDAの有無を評価した.検診後6か月間,肘内側痛の有無を聴取し,有痛日数を調査した.【結果】RDA陽性率は18名(56.3%),FCU・FDS収縮時のRDA陽性率は7名(21.9%)であった.RDA有群は有意に肘内側痛を発症しやすかった(Risk Ratio: 7.0).有痛日数は,RDA有群で有意に長期化していた.また,FCU・FDSの収縮によってRDAが残存する場合,有痛日数が有意に長期化していた.【考察】RDA有無の評価は,将来的な肘内側痛の予測因子として有用であると考えられた.
著者
草野 寛 伊藤 恵康 古島 弘三 船越 忠直 伊藤 雄也 岡田 恭彰 高橋 啓 宮本 梓 宇良田 大悟 堀内 行雄
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.242-246, 2020

一般的な術式で治療困難なOCD6例を調査した.Joint impaction type 1例は橈骨短縮術,Radial head subluxation type 2例は尺骨矯正骨切り延長術,Joint destruction type 3例にはAnconeus Fascia Interposition Arthroplasty(以下AFIA)を行った.橈骨短縮術では屈伸可動域は65度から90度,JOA-JES scoreは42点から74点,尺骨矯正骨切り延長術では平均70度から82.5度,平均38点から76.5点,AFIAでは平均51.7度から93.3度 ,平均32点から77点へ改善した.
著者
武長 徹也 堀内 行雄 伊藤 恵康 古島 弘三 草野 寛 船越 忠直 古賀 龍二 山本 譲 宮本 梓 井上 彰 村山 俊樹
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.584-588, 2019

18歳以下の若年で胸郭出口症候群(TOS)に対し手術を要したオーバーヘッドスポーツ選手の特徴を明らかにするため調査を行った.TOSに対して手術を施行したオーバーヘッドスポーツ選手110例119肢を対象とし,手術時年齢で18歳以下群と19歳以上群に分け,術前臨床症状,画像所見,術中所見などを比較した.18歳以下群は82例89肢(平均15.8歳,男性78例,女性4例,野球75例),19歳以上群は28例30肢(平均20.6歳,男性26例,女性2例,野球26例)であった.臨床症状の各項目に有意差は認めず,18歳以下群の特徴として①前中斜角筋間距離が狭い,②肩関節90度外転外旋位で腋窩動脈2nd partの血流が遮断される選手の割合が高い,③挙上位血管造影3DCTによる鎖骨下動脈の圧迫所見陽性率が高いことが明らかとなった.静的,動的に肋鎖間隙が狭い選手ほど,オーバーヘッドスポーツキャリアの早期でTOSを発症し競技継続困難となり手術を要すると考えられた.