- 著者
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白井 丈晴
藤田 真浩
荒井 大輔
大岸 智彦
西垣 正勝
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.12, pp.1901-1911, 2017-12-15
LTE網に接続可能なスマートフォン等の端末の急速な普及により,通信の前に端末に無線リソースを割り当てるためにLTE網内で発生する制御信号も増加している.制御信号が設備の容量を超えた場合には,LTE網全体の通信品質の低下を招く恐れがある.制御信号の輻輳への対策として,通信端末が発するすべての通信に対し,プロトコルエラーとならない程度の短時間のランダムな遅延を付与し,端末が制御信号を発生させるタイミングを分散する端末制御方式がすでに提案されている.端末制御方式では,付与する遅延を最大8秒としており,この遅延により制御信号スパイクが抑制できることをシミュレーションにより示している.しかし,端末制御方式によって付与される通信遅延による利用者の体感品質(QoE)の低下が懸念される.そこで本論文では,ユーザの心理的側面からアプローチすることによって,他の対策(設備投資の増加や補償金の支払い等の方法)よりも低コストで,通信遅延によるユーザのQoEの劣化を緩和する方式の提案・評価を行う.提案方式は,「ユーザが注目してしまうようなコンテンツ」をコンシェルジュのようなキャラクタが表示することによってユーザの注意をそらし,ユーザに通信遅延の発生を気付かせない方式となっている.提案方式の有効性を示すために,クラウドソーシングを利用した500名規模のユーザ評価実験を行った.