著者
荒木 乳根子
出版者
日本老年行動科学会
雑誌
高齢者のケアと行動科学 (ISSN:18803474)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.2-24, 2020

筆者は 1990 年に高齢者のセクシュアリティについての調査研究をして以来,約 30 年にわたって中高年のセクシュアリティおよび高齢者の性と介護に関する調査研究・事例検討を研究テーマにしてきた。本論文では,これまでの調査研究について,年代に沿って概要を述べ,そこから見えてきたことをまとめた。さらに調査研究をベースに上梓した主著を紹介した。中高年のセクシュアリティについては,日本性科学会セクシュアリティ研究会 (代表:荒木) での調査から夫婦間のセックスレス化が明らかになった。筆者らは性的な触れ合いは人生の後半の生を豊かにすると考え,セックスレスの要因を分析し,男女双方にとってより良い性生活を築くための提案を試みた。高齢者の性と介護については,職員への性的行動,利用者間の好意・恋愛に基づく性的行動を中心に述べた。前者では,利用者の性的行動をただ問題行動として抑止するのではなく,心理的内的欲求の理解に基づいて対応する必要性を提案した。後者では,利用者の QOL の充実に軸足を置いて,他の利用者や家族との調整を図っていく姿勢が望ましいとした。
著者
荒木 乳根子
出版者
日本老年行動科学会
雑誌
高齢者のケアと行動科学 (ISSN:18803474)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.2-24, 2020 (Released:2021-01-01)

筆者は 1990 年に高齢者のセクシュアリティについての調査研究をして以来,約 30 年にわたって中高年のセク シュアリティおよび高齢者の性と介護に関する調査研究・事例検討を研究テーマにしてきた。本論文では,こ れまでの調査研究について,年代に沿って概要を述べ,そこから見えてきたことをまとめた。さらに調査研究 をベースに上梓した主著を紹介した。中高年のセクシュアリティについては,日本性科学会セクシュアリティ 研究会 (代表:荒木) での調査から夫婦間のセックスレス化が明らかになった。筆者らは性的な触れ合いは人 生の後半の生を豊かにすると考え,セックスレスの要因を分析し,男女双方にとってより良い性生活を築くた めの提案を試みた。高齢者の性と介護については,職員への性的行動,利用者間の好意・恋愛に基づく性的行 動を中心に述べた。前者では,利用者の性的行動をただ問題行動として抑止するのではなく,心理的内的欲求 の理解に基づいて対応する必要性を提案した。後者では,利用者の QOL の充実に軸足を置いて,他の利用者 や家族との調整を図っていく姿勢が望ましいとした。
著者
荒木 乳根子
出版者
田園調布学園大学
雑誌
人間福祉研究 (ISSN:13477773)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.71-96, 1998-12-25
被引用文献数
3

筆者ら(高齢者処遇研究会, 代表 : 田中荘司)は1997年に全国の介護福祉士を対象に「在宅・施設に於ける高齢者及び障害者の虐待に関する意識と実態調査」を実施した。本論はこの調査で得られた在宅における高齢者虐待事例,91事例について分析したものである。また,具体的事例も記載した。被虐待者は女性に多く,後期高齢者が7割を占め,依存度の高い者が多かった。虐待者は嫁が4割近くを占め,次いで,配偶者,息子,娘であった。被虐待者は一人平均2タイプの虐待を受けており,世話の放棄,身体的虐待,心理的虐待がともに6割近くにみられた。虐待の要因は一概に言えないが,虐待者の「介護疲れ・ストレス」および「過去からの人間関係の不和」が最も大きな要因となっていた。虐待者は虐待に関して「虐待と思っていない」ないし「仕方がない」と考えている場合が多かった。虐待の発見者はホームヘルパーが4割を占め,専門職は解決に向けて虐待者・被虐待者と話し合う,保健福祉サービスの拡充などの努力をしていた。しかし,問題解決は13.2%に止まり,解決途中を含めても半数に満たなかった。今後,在宅介護における介護負担の軽減などが求められる。
著者
中川 正俊 荒木 乳根子 平 啓子
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 (ISSN:13477773)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.51-67, 2007-03-17

大学生の年代は多様な精神保健上の問題が発生するため,一次および2次予防を中心とした大学精神保健対策は,学業の円滑な遂行を支援する上でも重要な課題となっている。そのためには,精神保健上の問題を有するか,または将来発生する可能性が高い学生を早期に把握し,精神保健の専門的サポートを行うことが重要である。またその際に,サポートの対象となる学生を的確に把握する方法として,高い感度と特異度を有するスクリーニング基準の確立が求められている。本論では,本学人間福祉学部への2002年度入学者231名を対象に実施したUPI(大学精神健康調査)の結果と,その後の精神保健上の問題発生ならびに学業遂行状況との関連性を検討した。その結果,心理的問題で学生相談室を利用した者や精神疾患を持つ者は,そうでない者と比較してUPIの得点が高く,また学業の遂行に問題があった者も,そうでない者と比較してUPIの得点が高い傾向が明らかとなった。