著者
菅沼 崇
出版者
相模女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究(3ヵ年)を通して、組織事故モデル(菅沼,2002)の妥当性を多角的に検証するとともに、当該モデルを援用した具体的な安全管理施策の提案を行った。平成16年度(最終年度)の成果は、以下のとおりである。1.海外組織問題事例の分析:組織事故モデルを用いて「米国原発事例」と「NASAコロンビア号事例」を分析した。その結果、いずれの事故も、本モデルが示す「リスク事象の発生プロセスと継続プロセス」の2つの連続プロセスにて説明可能であることが示された。なお、新たに「コスト管理」に関わる要因の存在も示唆された。2.国内電力関連組織を対象とした面接調査:国内某電力関連組織において発生した「ルール違反による死亡事故」についての集団面接調査を実施した。その結果、上記と同様、事故発生に至る2つの連続プロセスが確認されたことに加えて、さらにその在り方には4つのパターンが存在するという新たな知見が得られた。3.組織事故モデルの再構築:本研究(3ヵ年)にて得られた一連の妥当性検証結果に基づいて、"組織事故モデル"を再構築した。新たな影響要因として、組織間関係、組織構造、組織風土、標準・基準、組織規範、集団学習、集団風土、集団知識、コスト管理にわたる9つの要因が追加されるとともに、上記2つの連続プロセスに関わる4つのパターンが位置づけられた。4.組織事故モデルを援用した安全管理施策の提案:再構築された組織事故モデル内に含まれる「組織要因(30要因)」「集団要因(9要因)」「個人要因(7要因)」を評価するための"産業事故発生要因評価尺度(12評価カテゴリー:131項目)"を開発するとともに、産業現場の方々が当該尺度を有効に活用することができるよう"産業事故発生要因評価尺度の実施手引き(第1章-第5章および3つの付録を含む、31ページ構成)"を作成した。
著者
菅沼 崇 古城 和敬 松崎 学 上野 徳美 山本 義史 田中 宏二
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.32-41, 1996
被引用文献数
1

本研究は友人によるサポート供与と評価懸念が生理的, 認知的, および行動的なストレス反応に及ぼす効果を実験的に検討することを目的とした。2 (友人サポートの有無) ×2 (評価懸念の有無) の要因計画で, 被験者は大学生79名。彼らはそれぞれ親しい友人と実験に参加した。サポート供与条件では, 友人は被験者がアナグラム課題を遂行している間, 自発的にそして被験者の要請に応じてサポートを供与した。他方, サポートなしの条件では, 友人はサポートを一切供与しなかった。評価懸念ありの条件では, 友人は被験者が課題を遂行する状況を観察することができた。従属変数としてのストレス反応は, 平均血圧 (MBP), 認知的干渉, および課題正答数で測定された。<BR>その結果, 評価懸念あり条件ではサポート供与の有無の条件間に差はなかったが, 評価懸念なし条件ではサポート供与あり条件の方がなし条件よりMBPが有意に低いことが認められた。したがって, 評価懸念をもたらさない友人のサポート供与はストレスを緩和する効果をもつことが指摘された。
著者
菅沼 崇
出版者
相模女子大学
雑誌
人間社会研究 (ISSN:13494953)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.39-42, 2016-03