著者
萩原 薫
出版者
東京昆蟲學會
雑誌
昆蟲
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.421-430, 1977

京都府下芦生演習林におけるセッケイカワゲラEocapnia nivalis (UEENO)の生活環について, 1973年10月から1974年3月にかけて調査した.1. セッケイカワゲラの幼虫が枕谷および沢谷において, 成虫が枕谷において採集された.2. セッケイカワゲラ幼虫は11月から2月にかけて主に河床の沈葉中にすみ, 水温4℃前後の12月には終令への移行と羽化を開始し, 2月末までにほぼ羽化を完了する.3. セッケイカワゲラ成虫の頭幅は12月から2月にかけて小型化するが, これは良く成長した個体が早く羽化するためであろうと考えられる.4. セッケイカワゲラ成虫の雪上での活動は気温約-4℃以上のとき主に日中に認められる.
著者
小林 誠 日笠 健一 萩原 薫 湯川 哲之 清水 韶光 菅原 寛孝 大川 正典
出版者
高エネルギー物理学研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

トリスタン加速器による電子・陽電子衝突実験は昭和62年度より本格化した. 昭和62年中に, ビームエネルギー25.0, 26.0, 27.5GeVでの実験を終え, 28.0GeVでの実験が進行中である.こうした状況のもとで, 本課題ではトリスタン・エネルギー領域での現象論を種々の観点から行ったが, 特に輻射補正と超対称性理論に基づく現象論に力点を置いた.輻射補正では, 電子・陽電子衝突における軽粒子対生成, 光子対生成, トップ・クォーク対生成, ジェット生成などの過程に対する補正の計算を行ったほか, ニュートリノの種類数を調べるのに有効なニュートリノ対+光子の過程に対する補正の計算を行った. これによって, トリスタンにおける基本的な過程の輻射補正の計算は一応完成した.またこの研究の一環としてファイマン図の計算機による自動生成, 自動計算の開発を行った.超対称理論の関連では, トリスタンにおいて超対称性を検証する可能性について種々の検討を行った. 超重力理論ではスカラー・トップが特別に軽く, トリスタン領域に存在する可能性が指摘されている. 従ってその性質を調べることは重要であるが, 本課題では軽いスカラー・トップ・クォークの崩壊幅の計算を行い, その結果, 従来のスカラー・トップの崩壊幅の計算にはいくつかの重要な見落としがあることが判明した. そのほか, 超強理論から予想される新しいタイプの相互作用の検証の可能性について検討を行った. また陽子・反陽子衝突器による実験との関連を調べた.
著者
萩原 薫 神前 純一
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では欧州原子核研究機構の LHC 加速器の実験による新しい物理の発見を確実に実現するための物理解析ツールを開発した。グラフィックス・プロセッシング・ユニットの利用で多重ジェット生成過程を含む物理現象のシミュレーションの二桁近い高速化が実現され新しい物理現象に対するバックグランドの推定の高速化と精密化が可能となった。開発中のパートンシャワーとの接続により更なる精密なシミュレーションが期待される。
著者
清水 韶光 日笠 健一 林 青司 萩原 薫
出版者
高エネルギー物理学研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

1.弱電統一理論による輻射補正の計算が完成され、その総合報告が、Prog.Theor.Phys.誌に掲載された。2.弱電統一理論及び量子色力学のあらゆる反応の散乱振幅及び断面積を自動的に計算するコンピュ-タ-プログラムが完成され、その成果を国際会議に於いて報告、又、論文として発表した。3.本研究の最も重要な成果の一つである、量子色力学にもとずく、ジェット生成法の解説を現在準備している。これは今後のトリスタン実験に於いて最も重要な分野となるからである。4.トリスタン及びLEP領域におけるe^ーe^+消滅断面積に対する量子色力学による高次補正項の、定量的な解析を行なった。5.B中間子の準レプトン崩壊過程をモデルを用いて解析し、小林一益川の行列要素測定に含まれる誤差を評価した。6.トッポニウム等のカラ-自由度を持った粒子の束縛状態が生成される断面積を一般的に考察した。7.超対称性理論に現われるトップクォ-クのスカラ-対が、トリスタン領域で生成される可能性を考察した。8.トリスタン領域ではわずかに大きなハドロン生成比、LEP領域ではわずかに大きなZの崩壊比が観測されているが、これらが超対称性粒子による輻射補正の効果である可能性を考察した。