著者
清水 英寿 萩尾 真人 吹谷 智 岡野 邦宏 宮崎 均 石塚 敏
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、腸内細菌代謝産物であるスカトールが、ラット個体、培養腸管細胞、培養肝ガン細胞、それぞれに与える影響について解析を行った。結果としてスカトールは、ラット個体においては、胆汁酸代謝の撹乱を誘発させ、肝臓や回腸での遺伝子発現、そして腸内細菌叢を変動させる事が明らかとなった。また、腸管細胞を用いた解析では、スカトールがAhRを介して細胞死を導く事が確認された。さらに培養肝ガン細胞では、スカトールはERKの活性化を介して細胞増殖を導く事が示唆された。以上の本研究結果から、腸内におけるスカトールの産生は、消化管機能の異常を誘発させ、さらに消化管疾患の発症・進展へも関与する可能性が示された。
著者
福光 徹 脇 ますみ 萩尾 真人 林 孝子 桑原 千雅子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.168-174, 2021-10-25 (Released:2021-11-02)
参考文献数
12
被引用文献数
1

畜水産物中のキノロン系およびテトラサイクリン系薬剤18成分を対象としたLC-MS/MSによる高精度な一斉分析法を確立した.n-ヘキサン存在下,EDTA含有クエン酸緩衝液–メタノール–アセトニトリル(3 : 1 : 1, v/v/v)混液で試料から対象薬剤を抽出し,Oasis PRiME HLBミニカラムで精製した.本分析法は,n-ヘキサンを用いることで,脂肪を含む固体試料中の対象薬剤も抽出可能であることが示唆された.また,ミニカラムからの溶出液に0.1 vol%ギ酸含有・メタノール–アセトニトリル(3 : 7, v/v)混液を用いることで,回収率の低下を最小限にしつつ精製効果を向上させることができた.6種類の食品試料を用いて妥当性評価を実施した結果,選択性および添加濃度におけるS/N比は良好であり,真度70.6~113.8%,併行精度9.0%以下,室内精度15.5%以下とガイドラインの目標値を満たした.