著者
落合 康浩
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.245-265, 1991-09-30
被引用文献数
4

余暇活動は, 生活時間の中における重要性と活動の多様性から, 行動地理学において人間の行動空間を分析するためには有効な指標と考えられるが, その研究事例は少ない. そこで本稿では, 神奈川県中西部の三地区において実施したアンケート調査の結果をもとに, 住民の余暇活動空間の拡がりとその構造を考察した. 移動をともなって行われる余暇活動は, 活動に要する時間によって, 「平日型」「週末型」「期末型」の3タイプに分類される. 平日型余暇活動は, 活動に費やされる時間が短く, 移動時間も極力短縮される. したがって, その対象地は, 日常生活の空間である居住地もしくは勤務地の周辺に選択される. 対象地の選択される空間の拡がりは活動種目によって異なるほか, 活動者の属性に影響され, 女性よりも男性の, また自営業者よりも通勤者の活動空間が広くなる. 週末型余暇活動は日帰りで行われる活動で, 対象地には恒常的に選択されるものと, 恒常的には選択されることのないものとがある. 恒常的に選択される対象地は居住地から30〜40分以内の空間に拡がり, 非恒常的な対象地は, 日帰りの限界である居住地から3時間までの空間の中に選択される. また, 恒常的に選択される対象地は郊外よりも都市内部での活動に多く, 主として居住地を通る主要な鉄道沿いに選択され, 東京・横浜方面により多く選択される. 非恒常的な対象地は, 東京・横浜から居住地の方向に拡がる空間により多く選択される傾向にある. 活動者の居住地が異なることによって, 対象地の選択パターンには差異が認められ, 対象地の選択される空間の拡がりには活動者の職業・勤務地が影響する. 期末型余暇活動は, 活動種目では週末型に類似するが, 宿泊をともなう活動のため費やされる時間が長く, その対象地が選択される空間は週末型余暇活動の空間をこえて拡がる.
著者
渡邉 俤二 平川 一臣 澤柿 教伸 石川 守 岩田 修二 泉山 茂之 水嶋 一雄 落合 康浩
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,パミール高原の中核地域であるタジキスタン共和国東部とキルギス共和国南部を主たる対象地域として,1991年の経済自由化がもたらした貧困が招く自然資源(大型草食動物と灌木)の利用(消費)の実態,土地利用(特に放牧地利用)変化,貧困が招いたオオカミ増加が家畜に対して与える影響,ツーリズムの現状,などを明らかにし,その上で持続的な自然資源の利用(保全)につながるジオエコツーリズムの導入について考察した。