著者
川又 基人 菅沼 悠介 土井 浩一郎 澤柿 教伸 服部 晃久
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.3, pp.315-336, 2020-06-25 (Released:2020-07-11)
参考文献数
69
被引用文献数
2

The purpose of geomorphological studies in East Antarctica is to understand past fluctuations of the Antarctic Ice Sheet, which is essential to constrain ice sheet models and predict future behavior of the East Antarctic Ice Sheet. Here we show a deglacial history of Skarvsnes, at the southern part of the Soya Coast, East Antarctica based on a geomorphological field survey and newly obtained surface exposure ages. Bedrock higher than ca. 250 m a.s.l. at the northwest part of Skarvsnes (Skjegget) is weathered extensively, whereas bedrock below ca. 250 m a.s.l. is relatively unweathered. The degree of weathering of bedrock above 250 m a.s.l. is similar to that at the northern part of the Soya Coast, which is thought to have been ice-free throughout the last glacial period. Therefore, a clear difference in the degree of weathering depending on altitude probably indicates the lower limit of the ice sheet elevation during the last glacial period at Skarvsnes. Judging from the multiple directions of glacial striae, the ice sheet covering the area retreated while changing flow direction under the influence of the bedrock topography after the last glacial period. Since ca. 9 ka, the ice sheet is thought to have thinned and eventually divided into two major ice streams (northward and southward) that were obstructed by a 362 m a.s.l. mountain (Shirasuso-Yama), at the southeastern part of Skarvsnes. However, the timing of the initiation of the ice sheet retreat and its duration remain unclear. Therefore, additional surface exposure ages from various areas and heights at Skarvsnes are required for a detailed reconstruction of the ice retreat history and to understand its mechanism.
著者
澤柿 教伸 平川 一臣
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.107, no.4, pp.469-492, 1998-08-25 (Released:2010-10-13)
参考文献数
120

Geomorphological and sedimentological processes beneath modern glaciers and ice sheet s have not been observed directly and are poorly understood. On the contrary, abundant glacial landscapes can be observed, which provide us with evidence about processes underway at the beds of the past ice sheets. Consequently, careful studies of glacial landforms and sediments provide a wealth of information of these processes.During the last decade, there have been various debates regarding subglacial landforms and their formation processes: drumlins is a major issue, and no satisfactorye xplanation of their mode of formation has yet been obtained. By overviewing recent research on the drumlin problem, this article attempts to draw attention to the major concepts and controversies behind the formation of subglacial landform, together with new developments in understanding the subglacial environment. The most recent explanations for drumlin formation have been examined in the light of our knowledge of the subglacial environment. In particular, J. Shaw and his co-workers draw attention to the significance and the implication of subglacial meltwater processes. They suggested that large-scale meltwater floods were responsible for the formation of some drumlins. Later, erosional drumlins, bedrock erosional marks, tunnel channels, and Rogen moraine were added to the forms resulting from catastrophic floods. Conversely, G.S. Boulton developed a semi-quantitative flow model for the deformation of rapidly deforming soft sediments (A-horizon) on the basis of field observations.The drumlin problem stands as a conspicuous instance of how much there is still to understand about the interplay of glacier motion, sediments, topography, and subglacial environmental conditions. It is thus emphasized that accumrate explanations of the complexities of subglacial environments are necessary to understand subglacial landform development, sediment deposition, and other geomorphic processes at the ice/bed interface, together with extraglacial effects of ice sheet dynamics on fluvial systems, marine sedimentation, ocean currents, and climate.
著者
川又 基人 土井 浩一郎 澤柿 教伸 菅沼 悠介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.1-16, 2021-01-01 (Released:2023-02-19)
参考文献数
48
被引用文献数
1

日本南極地域観測隊の測地定常観測による有人航空機で撮影されたアーカイブ空中写真に対し,Structure from Motion多視点ステレオ写真測量(Structure from Motion with Multi-View Stereo Photogrammetry: SfM–MVS)処理を行うことで,精密な数値表層モデル(Digital Surface Model: DSM)の作成を試みた.その結果,東南極宗谷海岸のスカルブスネスにおいて,氷食微地形や基盤岩の節理といった微起伏をも判読可能なDSMを作成できた.作成したDSMには,SfM-MVS処理特有の歪みが確認されたが,歪みの3次元曲面トレンドを推定し補正することによって,歪みを軽減することができた.また,今回作成したDSM(画像取得年1993年)と国土地理院作成のDSM(画像取得年2009年)の比較から,露岩上の氷河湖において各DSMの平均二乗誤差を大きく上回る20 m以上の水位変動が起きたことが明らかとなった.本手法で作成したDSMは,地形研究はもちろん氷床質量収支や氷床縁監視などの地球環境変動研究の基礎データとして応用が期待できる.
著者
澤柿 教伸 神山 孝吉 Takanobu Sawagaki Kokichi Kamiyama
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.258-272, 2007-11

第47次南極地域観測隊では,昭和基地に整備されたLAN及びインテルサット衛星回線を活用して,Wiki(ウィキ)とよばれるシステムを試験的に導入・運用し,基地運営における情報共有システムを構築した.観測隊では本システムの下で基地情報を整理し,各隊員が互いに協調しながら基地の運営に携わった.運用の過程で日常の業務形態に合わせてWikiのカスタマイズを繰り返し,昭和基地運営に関する情報を隊員個人個人が容易に参照し,また入力可能なように最適化を進め,最終的には国立極地研究所のローカルネットワークにも公開した.スケジュール管理,野外行動予定と実行経過の周知,通信記録の参照,リアルタイムな気象情報提供などをWiki上のWebページ上で実施するとともに,外部のWebページにリンクを貼り,第47次観測隊昭和基地の情報ポータルとして位置づけた.このような情報共有システムを用いた基地運営マネージメントが有効であると感じた隊員も多く,特に夏期に情報の流れが複雑になった時など,隊員間や基地-国内間の情報共有体系に非常に有用であることが確認できた.
著者
澤柿 教伸 福井 幸太郎 岩田 修二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.163-178, 2005-03-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
85
被引用文献数
1 2

近年,あいついで惑星探査機が火星に到達し,地表面の詳細な数値標高データが得られたことから,地形の解析は飛躍的に進展した.火星表面の環境は,寒冷・乾燥を主な特徴とする「極地砂漠」であると言われ,地球上のアナロジーとして南極大陸のドライバレー地域に見られる地形が用いられている.また,これまで,火星表面の広範囲に水流の侵食を受けたと考えられる地形が認識されてきたことに加えて,寒冷環境の水に関わる地形として氷河や永久凍土に起因すると考えられる地形も多く確認されており,その詳細な形態も明らかにされつつある.しかし,水が流れた地形と氷が流れた地形に決定的な違いはあるのか,といった両者の判別に関する問題は,地球上の地形についても未解決の部分が多く,火星の地形の解釈に適用する際には注意を要する.雪氷の流れによって形成される,岩石氷河や岩屑被覆氷河などの地形の解釈についても,地球上の研究例を火星の地形に単純に当てはめるには問題がある.
著者
戸祭 由美夫 平井 松午 平川 一臣 木村 圭司 増井 正哉 土平 博 澤柿 教伸 小野寺 淳 財城 真寿美 澤柿 教伸 宮崎 良美
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

幕末の蝦夷地には、ロシア帝国をはじめとする列強の進出に備えるため、幕府の箱館奉行所をはじめ、東北諸藩による陣屋・囲郭が軍事施設として沿岸各地に建設された。本研究は、そのような軍事施設を研究対象として、歴史地理学・地図学・地形学・気候学・建築学の研究者が共同研究チームを組んで、古地図・空中写真・数値地図・気象観測資料といった多様な資料や現地調査によって、とりわけ蝦夷地南西部に主たる焦点を当てて、それら軍事施設と周辺部の景観を3次元画像の形で復原した。
著者
渡邉 俤二 平川 一臣 澤柿 教伸 石川 守 岩田 修二 泉山 茂之 水嶋 一雄 落合 康浩
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,パミール高原の中核地域であるタジキスタン共和国東部とキルギス共和国南部を主たる対象地域として,1991年の経済自由化がもたらした貧困が招く自然資源(大型草食動物と灌木)の利用(消費)の実態,土地利用(特に放牧地利用)変化,貧困が招いたオオカミ増加が家畜に対して与える影響,ツーリズムの現状,などを明らかにし,その上で持続的な自然資源の利用(保全)につながるジオエコツーリズムの導入について考察した。
著者
平川 一臣 澤柿 教伸
出版者
北海道地理学会
雑誌
地理学論集 (ISSN:18822118)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.4-12, 2014-03-12 (Released:2014-09-30)
参考文献数
4

本研究では,幕末期の蝦夷地陣屋の立地について,Google Earth をはじめとするいくつかの衛星画像および空中写真から範囲や方 位,視点高度などを適宜変えて,地形の3D 画像を作成し,蝦夷地陣屋の地形環境,地形的立地条件を読み解く試みをおこなった。 とりわけ,陣屋の配置,設営に当たって現地見分した報告書,盛岡藩『松前持場見分帳』の記載と対照・検討が可能な室蘭,長万部,砂原,白老の陣屋について自然地理的・地形学的解釈をおこなった。
著者
吉岡 美紀 澤柿 教伸
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.61, 2020 (Released:2020-03-30)

2019年10月12日に関東地方に上陸、通過した台風19号の降水により、多摩川の水位はデータのあるほとんどの地点でそれまでの既往最高水位を上回った。台風による増水がひいた後に、変化した河川敷を見て、どの程度、堆積あるいは浸食したのか興味を持ち、計測、調査をした。対象地域は多摩川中流域、東京都羽村市の玉川上水取水堰付近の河川敷で、植物が茂っていた部分の広範囲が、台風後には砂礫堆積物におおわれた。台風後の計測は、GNSS受信機(GeosurfのSP60)を使用して標高と緯度経度データを入手した。台風前のデータについて、なるべく同程度の精度のよいデータを探した。国土地理院がホームページで公開している「地理院地図」では、画面左下にmで小数点1桁までの標高が表示される。データソースがDEM5Aであれば、標高精度は0.3m以内と表示されているが、注に「0.3m以内という値は地表面測定値がある標高点に限る」とある。国土地理院ホームページにある「航空レーザ測量による数値標高モデル(DEM)作成マニュアル(案)」によると、地表面測定値がない場合の精度は2.0m以内であり、精度0.3m以内との差が大きい。「地表面測定値がある標高点」がどの位置にあるのかの情報は地理院地図上では入手できないため、地理院地図用に編集される前の、航空レーザ測量で計測された元のデータにあたることになる。
著者
川又 基人 菅沼 悠介 土井 浩一郎 澤柿 教伸
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2019年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.186, 2019 (Released:2019-03-30)

近年では, 航空レーザー測量を基にした高解像度の数値標高モデル(Digital Elevation Model: DEM)により微地形の特徴の抽出が容易になり,これまで以上に詳細な地形判読が可能となってきた。しかし,南極などの人為的アクセスが極めて厳しい地域では, 日本国内で用いられているような航空レーザー測量は難しく,衛星データによって得られるDEMは解像度約30−10 m程度のものである。このようなDEMは数kmスケールの地形は判読可能だが,それよりも小ス ケールの判読は難しい。 そこで本研究では,微細な氷河地形の判読を目的に,SfM 多視点ステレオ写真測量(SfM/MVS)技術を南極地域観測隊によって撮影された空中写真に適用することで,高解像度のDEM およびオルソ画像を作成した。 SfM/MVS処理の結果,1.4 m メッシュの DEM と地上画素寸法 70 cm のオルソ画像 の作成に成功した。新たに作成したDEMは,国土地理院作成の既存DEMで確認された急傾斜地点でのデータの抜けなども確認されず,詳細な起伏が表現されている。新たに作成したDEMの精度に関して,現地でのGNSS測量結果4点との較差(平均平方二乗誤差)を調べた結果,高さ方向に2.77 mとなった。しかし,今回作成したDEMの端では海水面に±10 m 程度の誤差が確認された。これは SfM/MVSに特徴的なドーム状の歪みに起因するものと考えられる。 今後は海岸線での高さの整合性の取り方といった絶対精度向上のための工夫する必要があるものの,今回作成したDEMは既存のDEM からは判読できなかった解像度 (数 10 m スケール)の氷河地形を読み取ることができ,地形判読や地形解析をはじめ,極域における地形発達史に関する教育・アウトリーチ面でも有効に活用できるだろう。
著者
中村 有吾 丸茂 美佳 平川 一臣 澤柿 教伸
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.39-49, 2008-02-01 (Released:2009-03-26)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

北海道東部,知床半島のほぼ中央に位置する羅臼火山は,過去約2,200年間のうち3時期にマグマ噴火したことが知られており,それぞれ降下テフラ(Ra-1 : 500~700 cal BP, Ra-2 : ca. 1,400 cal BP, Ra-3 : ca. 2,200 cal BP)および火砕流を噴出した.これら羅臼起源のテフラは,いずれも斜方輝石および単斜輝石を含むなど鏡下での特徴が類似するが,脱水ガラス屈折率は異なり,識別が可能である.羅臼火山の南西約4.5kmに位置する天頂山火山から約1,900年前に噴出した天頂山aテフラ(Ten-a)は,多量の石質岩片のほか,フレーク状火山ガラス,斜長石,斜方輝石などの本質物質を含む.その火山活動はマグマ水蒸気噴火だったと推定される.Ten-aの噴出量は約0.02km3である.羅臼岳の南~南南西方向約5km付近,標高500~750mの地域には,羅臼湖など多数の沼沢地や湿原が点在する.複数の湿原での掘削調査の結果,駒ヶ岳c1テフラ(AD1856),樽前aテフラ(AD1739),駒ヶ岳c2テフラ(AD1694),Ra-1,摩周bテフラ(774~976 cal BP),Ten-a, 一の沼火山灰の存在と層序が明らかになった.そのほか,知床半島の南部には,摩周起源の摩周lテフラ(ca. 13,000 cal BP)が分布する.
著者
岩崎 正吾 平川 一臣 澤柿 教伸
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.109, no.1, pp.37-55, 2000-02-25
被引用文献数
14 7

Late Quaternary glacial fluctuations in the Esaoman-Tottabetsu Valley, inthe northern Hidaka Range, central Hokkaido were reconstructed based on stratigraphy of glacial landforms and sediments. By mean of tephrochronology, the two previously known stadials of the Last Glacial Stage, the Poroshiri and Tottabetsu Stadials, were reassessed. Shikotsu 1 tephra overlain by the terminal moraine of the Poroshiri Stadial at the river bed of 850m a. s. l. indicates that the glacier reached its maximum at around 40ka (Oxygen Isotopic Stage 3: OIS-3). This advance should have been initiated in the preceding cold period of 01S-4. Kuttara 6 tephra (86 ka) in the proglacial outwash deposits indicates that a glacier fluctuated in the vicinity of the cirque bottom even in the relatively warm period of the early Last Glacial Stage (01S-5b). Contrary to this stadial, the glacial and proglacial deposits including Eniwa a tephra (18 ka) show that the glacial advance during the Tottabetsu Stadial (LGM) in this region was restricted within the cirque bottom. The penultimate glaciation, named the Esaoman Glaciation in this study, was suggested by the discontinuously traceable remnant bed topography along the river basin. These features recommend that the glacial advance of this stage reached at 750m a. s. l., lower than during the Last Glacial Stage.
著者
安仁屋 政武 青木 賢人 榎本 浩之 安間 了 佐藤 和秀 中野 孝教 澤柿 教伸
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

エクスプロラドーレス氷河の前面にある大きなモレインの形成年代を推定すべく周辺で合計15点の^<14>Cによる年代測定試料を採取した。大きなモレインの6つの試料の年代は9250BPから820BPである。このデータからは形成年代に関して確定的なことは言えないが、モレインの堆積構造、試料の産出状況、植生、年輪などから14-17世紀頃の小氷期に形成されたと解釈した。氷河観測では、D-GPS静的測位を用いた氷河流動測定、 D-GPS動的測位を用いた氷河表面形態の測量、5MHzアイスレイダーによる氷厚測定を行った。流動は各期に氷河上の巨礫を反復測定し、末端部付近では50m、アイスフォール下部では140m程度の水平流動を得た。また、末端部付近では著しい上方向の流動があることが観測された。レイダーによる氷河末端付近の氷厚は260〜300mと推定された。氷河流域の年間水収支を算出し、それにより氷河の質量収支を推定した。2004年12月から末端付近に自動気象・水文観測ステーションを設置し、観測を継続している。また、夏季(2004年12月)、冬季(2005年8月)の双方で、氷河上の気象要素分布・表面熱収支・融解量分布などの観測を実施して、氷河融解の特性を明らかにした。2004年12月から2005年12月までの1年間における末端付近の平均気温は7.4℃、降水量は約3300mm、さらに氷河流出河川の比流出量は約6600mmであった。ペリート・モレーノ氷河において、中流部の表面高度測量および歪速度観測、カービングフロント付近の氷河流動の短期変動観測および写真測量、融解観測、氷河湖水位観測、中流部におけるGPS記録計による年間流動の観測、氷河脇山腹における長期写真記録および温度計測を行なった。近年上昇していた中流部の表面高度が2004年〜2005年で減少していた。この地域に2004-2005年の期間にストレイングリッドを設置してひずみや上昇速度を観測したが、大きな下降速度が計算された。また移動速度は0.8〜1.2m/dayの値が観測された。氷河末端部の測量からは、1.5m/dayを超える速度が多くの地点で観測された。