著者
外 千夏 玉熊 和子 葛西 敦子
出版者
日本ヒューマンケア科学学会
雑誌
日本ヒューマンケア科学会誌 (ISSN:18826962)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.15-21, 2022 (Released:2022-08-12)
参考文献数
29

本研究は、日本における月経に関する教育介入研究を概観し、月経のセルフケア能力育成に向けた教育プログラム開発の基礎資料を得ることを目的とした。文献は医学中央雑誌web版で検索し、検索キーワードとして「月経」「教育プログラム」「月経教育」等を入力し、原著論文89件が検索された。その中から抽出した7件の教育介入研究を対象に、教育方法と内容を分析した。結果、教育方法は、対象を大学生としていた研究が6件、教育方法に行動科学理論を使用した研究が2件で、主に対面講義等で教育介入し、介入直後の評価では介入効果があったと報告していた。教育内容は、6件が月経随伴症状とセルフケア行動、1件が月経周期の異常であった。今後は、中高生を対象に行動変容を目的とした介入を行い、介入後は月経へのセルフケアの継続をフォローアップする必要がある。また、教育内容は月経の正常と異常及び低用量経口避妊薬(避妊用ピル、Oral contraceptive、以下OC)・LEP製剤(Low dose estrogen-progestin、以下LEP)について取り扱うことが必要との示唆を得た。
著者
近藤 有紀 葛西 敦子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Education, Hirosaki University (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.123, pp.165-173, 2020-03

本研究は,大学生の中でも今までに一回もたばこを吸ったことがないと自己申告した非喫煙者(以下;非喫煙大学生)を対象に質問紙調査を実施し,非喫煙大学生が喫煙者やたばこに対し抱く嫌悪意識に関する要因を明らかにすることを目的とした。370名(男性112名,女性258名)から回答を得た。①370名のうち38名(10.3%)がたばこの『煙』,87名(23.5%)がたばこの『におい』が気になると回答していた。②たばこの『煙』を嫌だと「感じる」者は311名(84.1%),たばこの『におい』を嫌だと「感じる」者は301名(81.4%)であった。③非喫煙大学生が喫煙者やたばこに対し嫌悪意識を抱く要因に関する因子として,第1因子「喫煙者への負のイメージ」,第2因子「人的背景」,第3因子「周囲への影響」,第4因子「においの影響」,第5因子「マナー違反」の5因子が抽出された。本研究で,非喫煙大学生は,たばこの『煙』や『におい』に嫌悪意識を抱いている者が9割以上おり,特にたばこの『におい』に嫌悪意識を抱いていることが明らかとなった。
著者
髙橋 つかさ 葛西 敦子 田中 完
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.115, no.1, pp.105-112, 2017-11-06

視力低下とう歯は,子どもの健康問題であり,学校においては保健指導等の予防対策を行うことが求められている。そこで,本研究では,大学生が過去に受けてきた視力に関する保健指導とう歯に関する保健指導について比較し,検討することを目的として質問紙調査を行った。 その結果,学校において視力に関する保健指導が「あった」と回答した者は303名中52名(17.2%)で,う歯に関する保健指導が「あった」と回答した者の148名(48.8%)と比べて有意に少なかった。さらに,学校での保健指導について「あったかどうか覚えていない」,「なかった」と回答した者が,視力については251名(82.8%)もおり,8割を超えていた。 本研究より,学校での視力に関する保健指導が十分に行われていないことが明らかとなった。学校現場には,視力低下予防のために視力に関する保健指導を継続して取り組むことが求められる。
著者
葛西 敦子
巻号頁・発行日
2008-12

現在通常の小・中学校では、小児慢性特定疾患児のうち約85%の児童生徒が在籍しており、医療的管理や看護的ケアを必要とする子どもが増加している。その背景には、平成14 年4 月の就学基準の見直しにより、病気により特別の配慮を必要とする子どもが、一般の小・中学校にも入学できるようになったことが挙げられる。そのため養護教諭には専門的な立場からの支援への期待が寄せられている。また「特別支援教育」が打ち出されたことから、養護教諭には今以上に慢性疾患の子どもに対して一人一人の教育的ニーズを把握したうえで、医療的管理や看護的ケアなどの健康管理支援が求められる。しかし養護教諭の現状は、いじめ、不登校、保健室登校、生活習慣病の徴候、薬物乱用、性の逸脱行動等の問題を抱えた子どもたちへの対応のために、多忙を極めている。そのため、慢性疾患の子ども一人一人の教育的ニーズを把握しての支援の展開に困難な状況が見受けられる。養護教諭が行う慢性疾患の子どもへの支援においては、疾患の種類・重症度、子どもの発育発達段階などの様々な背景を考慮した個別のニーズへの対応が重要であることはいうまでもない。しかし、第一義的には、いずれの子どもに対しても実践すべき共通の支援を実践することが必須と考える。この共通の支援については概念的に捉えた研究は見あたらず、それを構造的にモデルとして示したものも見受けられない。本研究の最終目的は、養護教諭の「慢性疾患の子どもへの支援」に共通する因果的構造モデルを構築することである。そこで、『学校における慢性疾患の子どもたち』、『「特別支援教育」における慢性疾患の子どもへの支援』、『慢性疾患の子ども支援における養護教諭の役割』、『養護教諭の「慢性疾患の子どもへの支援」に関する文献レビュー』を各章の課題とし、それぞれを概観し、その現状と課題をまとめた。その上で、仮説『養護教諭の「慢性疾患の子どもへの支援」は、直接的支援と間接的支援で構成され、その実践が養護教諭自身の支援に対する満足度に影響を及ぼす』を設定し、養護教諭への質問紙調査法を実施し、共分散構造分析した。その結果、養護教諭の「慢性疾患の子どもへの支援」に関する因果的構造モデルを構築し、以下のような知見を得た。(1)潜在変数《直接的支援》では観測変数〈健康管理支援〉、〈教育的支援〉、〈慢性疾患の子どもへの配慮〉の順に、潜在変数《間接的支援》では観測変数〈家族・その他機関との連携〉、〈学校内の連携〉、〈学校外との連携〉、〈周囲の子どもへの指導〉の順に影響を受けていた。(2)〈教育的支援〉と〈周囲の子どもへの指導〉、〈健康管理支援〉と〈学校外との連携〉との誤差変数間、および《直接的支援》と《間接的支援》との潜在変数間に、共分散関係が認められ、それぞれ関連づけて支援することが重要であることが示唆された。(3)『養護教諭の「慢性疾患の子どもへの支援」は、直接的支援と間接的支援で構成され、その実践が養護教諭自身の支援に対する満足度に影響を及ぼす』ことが検証された。以上より、本モデルは、養護教諭の「慢性疾患の子どもへの支援」の因果的構造を示すものであり、適合度指標の判定ではモデルとしての評価は高いものであった。このモデルに沿った養護実践が、有効な支援となるものである。
著者
近藤 有紀 葛西 敦子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.123, pp.165-173, 2020-03-31

本研究は,大学生の中でも今までに一回もたばこを吸ったことがないと自己申告した非喫煙者(以下;非喫煙大学生)を対象に質問紙調査を実施し,非喫煙大学生が喫煙者やたばこに対し抱く嫌悪意識に関する要因を明らかにすることを目的とした。370名(男性112名,女性258名)から回答を得た。①370名のうち38名(10.3%)がたばこの『煙』,87名(23.5%)がたばこの『におい』が気になると回答していた。②たばこの『煙』を嫌だと「感じる」者は311名(84.1%),たばこの『におい』を嫌だと「感じる」者は301名(81.4%)であった。③非喫煙大学生が喫煙者やたばこに対し嫌悪意識を抱く要因に関する因子として,第1因子「喫煙者への負のイメージ」,第2因子「人的背景」,第3因子「周囲への影響」,第4因子「においの影響」,第5因子「マナー違反」の5因子が抽出された。本研究で,非喫煙大学生は,たばこの『煙』や『におい』に嫌悪意識を抱いている者が9割以上おり,特にたばこの『におい』に嫌悪意識を抱いていることが明らかとなった。
著者
葛西 敦子 三村 由香里 松枝 睦美 佐藤 伸子 中下 富子
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

養護教諭は,「子どものからだをみる」視点であるフィジカルアセスメントの知識・技能を身につけることが必須である。本研究の目的は,養護教諭養成教育や現職養護教諭研修において実践できるフィジカルアセスメント教育のプログラムを構築することである。そこで,(1)養護教諭養成大学の教員を対象とし「子どものからだをみる」フィジカルアセスメント教育に関する実態調査-養成背景別(教育系・学際系・看護系)の比較-,(2)養護教諭への模擬事例を用いたフィジカルアセスメント教育プログラムの実践および評価,(3)養護教諭養成課程学生への「頭が痛い」と訴える子どものフィジカルアセスメント教育プログラムの評価を行った。