著者
蕪城 俊克 澤村 裕正 馬淵 昭彦 田中 理恵 徳永 勝士 寺尾 安生 花島 律子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

眼瞼痙攣患者584人からDNAサンプルを収集した。臨床データの解析が終了した331症例(男性:95例、女性:236例、63.0±12.9歳)の臨床病型の内訳は、本態性眼瞼痙攣238例、薬剤性眼瞼痙攣90例、症候性3例であった。そのうちの191サンプルを用いて、正常人コントロール419例を対象としてDNAマイクロアレイ(Axiom Genome-Wide ASI 1 Array Plate)によるゲノムワイド関連解析を施行した。眼瞼痙攣患者と正常人の間のアレル頻度の比較で、差が大きかった(P<10^-6)疾患感受性の候補領域が数十箇所絞り込まれた。残ったサンプルについても解析を継続する。
著者
山下 英俊 蕪城 俊克 山本 禎子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

角膜の透明性維持のためには角膜内皮細胞及び上皮細胞の構造、機能が保たれていることが重要である。本研究では上記2種類の細胞の機能制御におけるサイトカイン、増殖因子の影響を検討するためにTGF-βスーパーファミリーの各因子及びその受容体の発現を観察した。角膜上皮、内皮両細胞ともに、TGF-β1、2、3を発現していた。さらに受容体としては、TGF-βI型受容体,II受容体、アクチビンI、IA型受容体,II受容体、骨形成因子(BMP)IA、IB型受容体,II受容体、ALK-1が発現しており、多くの因子によりその機能が多重に制御されていることが示唆された。角膜上皮細胞を剥離してその創傷治癒モデルをラット角膜で作成し上皮細胞の再生過程でのTGF-βスーパーファミリーの働きを検討したところ、上皮細胞が遊走、進展する際にはTGF-β1、2、3および受容体は発現しているが、上皮が創傷部を覆った時期には一時的に受容体の発現が低下し、上皮の層状化に際しては再び受容体が発現することが示された。これらのことより上皮創傷治癒過程においてTGF-βは初期の細胞遊走進展及び後期の上皮細胞の分化に関与することが示された。角膜内皮細胞は角膜透明性維持のためには主要な働きをしている。コンフルエントな条件ではG0/G1期で停止している。その制御メカニズムを検討した。細胞周期をG0/G1期からS期へと進行させる因子としてTGF-β1、2が有効でありアクチビンAは促進、抑制双方の作用が見られなかった。TGF-β1、2が細胞周期進行の作用機序としてはPDGFを介する二次的な作用であることが分かった。機能分子としての水及びイオンチャンネルのクローニングは牛角膜内皮細胞ライブラリーから現在塩素イオンチャンネルの一部フラグメントがPCR法を用いた研究から得られて、その全長を得るべく研究が進行している。角膜内皮細胞が何らかの因子を分泌する機能を有することが示唆されている。