著者
瀬戸 順次 鈴木 恵美子 山田 敬子 石川 仁 加藤 裕一 加藤 丈夫 山下 英俊 阿彦 忠之 水田 克巳 中谷 友樹
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.22-072, (Released:2022-11-08)
参考文献数
15

目的 感染症の流行状況を的確に示すためには,時・場所・人の3つの情報の要約が求められる。本報告では,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が山形県において「いつ・どこで・どのように」広がっているのかを可視化したCOVID-19時空間三次元マップ(時空間マップ)を用いて実施した公衆衛生活動の概要を紹介することを目的とした。方法 山形県および山形市(中核市)のプレスリリース情報を基に感染者の疫学情報をリスト化し,無料統計ソフトを用いて時空間マップ(自由に回転,拡大・縮小が可能な3次元グラフィクスを含むhtmlファイル)を作成した。時空間マップの底面には,山形県地図を配置した。各感染者は,XY平面の居住地市町村(代表点から規定範囲でランダムに配置)とZ軸の発病日(推定を含む)の交点にプロットした。また,色分けにより,感染者の年齢群,感染経路を示した。さらに,県外との疫学的関連性を有する感染者には,都道府県名等を挿入した。完成した時空間マップは,山形県衛生研究所ホームページ上で公開し,随時更新した。活動内容 2020年8月に時空間マップの公開を開始し,以降,山形県で経験した第六波までの流行状況を公開した。その中で確認された,第一波(2020年3~5月)から第五波(2021年7~9月)までに共通していた流行の特徴をまとめ,ホームページ上に掲載した。あわせて,その特徴を踏まえた感染対策(山形県外での流行と人の流れの増加の把握,飲食店クラスターの発生抑止,および家庭内感染の予防)を地域住民に提言した。2022年1月以降の第六波では,10歳未満,10代,そして子育て世代の30代の感染者が増加し,保育施設・小学校におけるクラスターも増えていたことから,これら施設においてクラスターが発生した際の家庭内感染の予防徹底を呼びかけた。結論 時・場所・人の情報を含むCOVID-19流行状況をまとめた図を作成・公開する中で得られた気づきを基に,地域住民に対して具体的な感染対策を提言することができた。本報告は,自治体が公表している感染者情報を用いた新たな公衆衛生活動の方策を示した一例と考えられる。
著者
高橋 政代 山下 英俊
出版者
メディカル葵出版
雑誌
あたらしい眼科 = Journal of the eye (ISSN:09101810)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.1327-1329, 2007-10-30
著者
伊藤 嘉高 佐藤 慎哉 山下 英俊 嘉山 孝正 村上 正泰
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 医学 : 山形医学 (ISSN:0288030X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.15-25, 2013-08-15

【背景】医療提供に真に必要な医師数を推計することは困難である。厚生労働省「医師の需給に関する検討会」の医師需給推計を背景に医学部入学定員抑制が進められた結果、今日、国民のあいだで広く医師不足の事態が認められている。さらに、これまで、地域ごとの将来医療需要に基づく診療科別の必要医師数の推計が試みられたことはない。そこで、本稿では、現在のフリーアクセス等の医療提供体制を前提として、今後も医学部入学定員増加が続き、勤務医の負担軽減が図られた場合の山形県における診療科別将来必要病院勤務医数を推計した。【方法】患者調査と人口推計に基づく診療科別の将来医療需要を算出するとともに、医師・歯科医師・薬剤師調査のデータに基づく医師就業の卒後1年階級別コホートモデルを作成した。そして、県内病院勤務医の過重労働の是正を加味したうえで、両結果に基づき2030年に必要医師数を充足させるために必要な新卒医師数を推計した。【結果】2030年の県内病院勤務医は全体で3,048名(2008年比122.0%)となる。他方で患者数は減少し、将来医療需要に基づき過重労働状況の解消を図ると、全体で4.0%(73人分)の医師数の余裕が生まれることになる。しかし、全ての診療科で余裕が生まれるわけではない。現在見られる新卒医師の診療科選択の傾向が今後も続いた場合、とりわけ外科は23.7%の更なる新卒医師数の上乗せが必要であり、脳神経外科など他の外科系も10%前後の上乗せが必要になる。他方で、新卒医師の半数以上が余剰になるおそれのある診療科も見られる。【論】本推計は、医療提供体制のみならず、医師の就業動態など多くの仮定に基づいており、推計の精度には改善の余地がある。しかし、それでも、現在の医療提供体制が続く限り、外科系等の診療科は今後も相対的な医師不足が続くことが推測される。医学部教育や医療提供体制の見直し、病院勤務医の勤務環境の改善等について適切な対応が求められる。
著者
山下 英俊 寺西 俊一 大島 堅一 石田 信隆 寺林 暁良 山川 俊和 藤谷 岳 西林 勝吾 藤井 康平 浅井 美香 石倉 研
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本において、地域主体型の再生可能エネルギー事業を促進するために求められる政策を明らかにするため、全国の導入事例の中からコミュニティ・パワーの基準に該当する事業を抽出し、事業の意思決定、資金調達、利益配分などの実態を調査した。その結果、地元自治体との関係性が事業化の鍵となることが判明した。そこで、全国の基礎自治体を対象とした再生可能エネルギーに対する取り組みに関する実態調査を実施し、積極的に推進しようとしている自治体の特徴を明らかにした。特に、地域活性化の観点から太陽光発電以外の事業に取り組んでいる自治体の果たしうる役割は大きく、こうした自治体を支援する制度的枠組みの必要性が確認された。
著者
山下 英俊
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,産業廃棄物税を題材とし,都道府県の産業廃棄物統計を用いて税導入に伴う産廃最終処分量の変化の要因分解を行い,主要な変化要因の中から税導入の影響が認められるものを抽出することで,産業廃棄物税の効果を定量評価することを目的とする。産廃税は,価格メカニズムを用いた廃棄物削減と,財源調達という二つの政策目的を有する。自治体によって導入形態が異なり、(1)事業者申告納付方式、(2)最終処分者特別徴収方式、(3)焼却処理・最終処分業者特別徴収方式、(4)最終処分業者課税方式の4種類に大別される。理論的には廃棄物削減への誘因効果は(3)が最も高くなることが示唆される。こうした制度設計の相違が最終処分量の変化に影響を及ぼしたか否かを検証する。21年度は、統計分析の対象として20年度に抽出した対象自治体のうち、データ入手済みの各県について、要因分解による分析を行った。加えて、岩手県についても産業廃棄物実態調査報告書を入手した。さらに、県別の分析結果の一部を先行的に研究集会などで報告をし、関係専門家との意見交換や分析結果の検討を行った。一例に三重県の分析結果を示す。三重県では産廃税の導入前後で産廃最終処分量が18万トン弱減少している。要因分解の結果、主要な減少要因は(1)化学産業の汚泥、(2)建設業のがれき、(3)建設業の活動低下、(4)建設業の汚泥であることが判明した。このうち、(3)は公共事業の減少によるものであり、(1)は後に廃棄物処理法違反で有罪判決が確定した石原産業による汚泥の偽装リサイクルによるものである。さらに、(2)及び(4)は建設リサイクル法に起因する可能性もある。したがって、主要な減少要因のうち、明らかに産廃税の効果と考えられるのは一部に過ぎないことが確認された。以上の成果を踏まえ、県別の分析結果及び全体の比較分析の結果をそれぞれとりまとめ、学術雑誌への論文投稿を進めている。
著者
山下 英俊 蕪城 俊克 山本 禎子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

角膜の透明性維持のためには角膜内皮細胞及び上皮細胞の構造、機能が保たれていることが重要である。本研究では上記2種類の細胞の機能制御におけるサイトカイン、増殖因子の影響を検討するためにTGF-βスーパーファミリーの各因子及びその受容体の発現を観察した。角膜上皮、内皮両細胞ともに、TGF-β1、2、3を発現していた。さらに受容体としては、TGF-βI型受容体,II受容体、アクチビンI、IA型受容体,II受容体、骨形成因子(BMP)IA、IB型受容体,II受容体、ALK-1が発現しており、多くの因子によりその機能が多重に制御されていることが示唆された。角膜上皮細胞を剥離してその創傷治癒モデルをラット角膜で作成し上皮細胞の再生過程でのTGF-βスーパーファミリーの働きを検討したところ、上皮細胞が遊走、進展する際にはTGF-β1、2、3および受容体は発現しているが、上皮が創傷部を覆った時期には一時的に受容体の発現が低下し、上皮の層状化に際しては再び受容体が発現することが示された。これらのことより上皮創傷治癒過程においてTGF-βは初期の細胞遊走進展及び後期の上皮細胞の分化に関与することが示された。角膜内皮細胞は角膜透明性維持のためには主要な働きをしている。コンフルエントな条件ではG0/G1期で停止している。その制御メカニズムを検討した。細胞周期をG0/G1期からS期へと進行させる因子としてTGF-β1、2が有効でありアクチビンAは促進、抑制双方の作用が見られなかった。TGF-β1、2が細胞周期進行の作用機序としてはPDGFを介する二次的な作用であることが分かった。機能分子としての水及びイオンチャンネルのクローニングは牛角膜内皮細胞ライブラリーから現在塩素イオンチャンネルの一部フラグメントがPCR法を用いた研究から得られて、その全長を得るべく研究が進行している。角膜内皮細胞が何らかの因子を分泌する機能を有することが示唆されている。
著者
吉田 文和 寺西 俊一 山下 英俊 外川 健一 寺西 俊一 山下 英俊 外川 健一
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ITと環境問題を3の側面から検討した。第1は.IT製品・IT部品の生産による環境影響である。いわゆるハイテク汚染問題そして半導体生産に必要な原料やエネルギー需要の問題である。第2は, IT製品の消費によるエネルギー需要である。とくにサーバによる電力需要が増加傾向にある。第3は, IT製品のリサイクルと廃棄による環境問題である。日本と世界の家電リサイクル制度について比較検討を行った。