著者
根鈴 怜治 村上 丈伸 河瀬 真也 瀧川 洋史 花島 律子
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001752, (Released:2022-09-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

88歳,女性.間欠的な右上下肢片側バリズムを主訴に当科を紹介受診した.受診時にはバリズムは消失し,右上肢の不全麻痺とアステリキシスを呈していた.頭部MRIでは左中大脳動脈分水嶺領域の散在性急性期脳梗塞と左内頸動脈閉塞が認められた.血行力学的機序による急性期脳梗塞として補液を行ったところ,右上肢不全麻痺とアステリキシスは改善した.左内頸動脈閉塞による左線条体の灌流障害が間欠的な片側バリズムの発生に,左前頭葉血流不全がアステリキシスの発生に関与している可能性が考えられた.
著者
代田 悠一郎 大友 亮 花島 律子 寺尾 安生 堤 涼介 辻 省次
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.356-359, 2012 (Released:2012-05-23)
参考文献数
16
被引用文献数
3 4

セフェピム塩酸塩(CFPM)投与後に意識障害・不随意運動・脳波異常を呈した腎不全症例2例を経験した.脳波検査において,症例1では3Hz程度,症例2では1~2Hz程度の全般性周期性放電ないし全般性律動性デルタ活動をみとめるものの簡単な従命が可能であり,臨床所見と脳波所見の解離がうたがわれた.CFPM中止により症状・脳波所見ともすみやかに改善し,明らかな後遺症も残さなかった.薬剤性の脳症では時に原因薬剤の同定や他の代謝性脳症との鑑別が困難であるが,CFPM投与により生じる意識障害においては脳波所見が原因薬剤の同定に有用である可能性が示唆された.
著者
蕪城 俊克 澤村 裕正 馬淵 昭彦 田中 理恵 徳永 勝士 寺尾 安生 花島 律子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

眼瞼痙攣患者584人からDNAサンプルを収集した。臨床データの解析が終了した331症例(男性:95例、女性:236例、63.0±12.9歳)の臨床病型の内訳は、本態性眼瞼痙攣238例、薬剤性眼瞼痙攣90例、症候性3例であった。そのうちの191サンプルを用いて、正常人コントロール419例を対象としてDNAマイクロアレイ(Axiom Genome-Wide ASI 1 Array Plate)によるゲノムワイド関連解析を施行した。眼瞼痙攣患者と正常人の間のアレル頻度の比較で、差が大きかった(P<10^-6)疾患感受性の候補領域が数十箇所絞り込まれた。残ったサンプルについても解析を継続する。