著者
城所 哲夫 蕭 閎偉 福田 崚
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.86, no.779, pp.149-159, 2021 (Released:2021-01-30)
参考文献数
51
被引用文献数
4

This study aims at the verification of the hypothesis on the polarization to mega-city regions and urban divide with focus on gentrification in the Special Wards of Tokyo, Japan. Following the extensive literature review on gentrification, firstly, we analyzed the situation of gentrification and urban divide at the Ward level and applied the cluster analysis to further discuss the situation at a micro-level. Secondly, we shed light on the relation between local government policies on urban regeneration and gentrification in Tokyo and found strong relationship between them. The acceleration of the concentration of wealth to Tokyo is clearly observed in Japan since 2000s. In particular, the polarization of wealth as well as the highest income class to the central part of Tokyo is ever accelerating these days under the neoliberal urban policies. In the urban scale analysis in the Special Wards of Tokyo, situation of gentrification in the central city areas are obvious these days. On the other hands, the concentration of lower income households is observed in inner areas. Younger people of lower income tend to live in the west inner city areas while aged people with lower income tend to live in the north and east inner city areas. As a result, the urban divide in both social and spatial terms are observed. Yet, in inner city areas middle-class gentrification through the development of high-rise apartments/condominiums are also actively advancing and thus micro-level, mosaic-pattern spatial disparity is formed in inner city areas of Tokyo. Based on the analysis on the land use and urban redevelopment policies of Tokyo Metropolitan Government and the City Master Plans of 7 selected Wards (cities), it is found out that urban development/redevelopment policies at the Ward level are classified to the following 3 types: ‘large-scale urban redevelopment oriented type’, ‘incremental improvement oriented type’ and ‘hybrid type’. Wards located in the city center and its vicinity belong to the large-scale urban redevelopment-oriented type, while other Wards belong to other types based on their situations. The large-scale urban redevelopment-oriented policies naturally have high affinity to neoliberalism urban development/redevelopment policies. It follows that urban development/redevelopment polices in the Wards in the city center and its vicinity promote gentrification in those areas and thus bring about urban divide in Tokyo.
著者
城所 哲夫 福田 崚 増田 耕平 蕭 閎偉
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.740-747, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2 4

本論文の目的は、低家賃の住宅を含む多機能でクリエイティブな場としていくことで、その都市のライフスタイルを彫琢すると同時にクリエイティブな人材を呼び込み、都市のイノベーション力を高め、活性化を図るというまちづくりのプロセスを示した仮説である「イノベーティブ・タウン仮説」が大都市のイノベーション力の醸成に対して妥当性を有することを論じることである。具体的には、東京23区を対象として、(1)国勢調査、経済センサスを用いた東京23区のクリエイティブ都市の観点から見た空間構造の分析、(2)東京都GISデータを用いたクリエイティブ・コミュニティの形成を促す多様性のある市街地特性の分析、(3)インタビュー調査に基づいたクリエイティブ・コミュニティ形成の様相の検討を行った。結果として、東京インナーエリアはクリエイティブ・コミュニティ形成にとって望ましい空間構造と市街地特性を有しており、クリエイティブな産業・文化のインキュベーションの場となってきたことが示された。
著者
橋戸 真治郎 蕭 閎偉 嘉名 光市
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.1451-1458, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
19

日雇労働者のまちとして栄えた大阪市西成区の北東部に位置するあいりん地区は、日雇労働者の生活拠点であった簡易宿泊所が近年、観光客向けのゲストハウスに転用されることに伴い、外国人観光客を惹きつける観光地へと変容しつつある。他方で、観光関連ビジネスは地域活性化の重要な起爆剤とされている一方で、それに伴う施設開発は既存の居住空間の喪失や外部資本の無計画な流入などを引き起こし、地域の持続可能性への課題も指摘されている。本研究の目的は、あいりん地区における建物用途の変容に着目した空間的な分析と、地域関係者の観光化への意見や各主体の関係性に着目した人的側面の分析から、あいりん地区における観光化に伴う地域変容の実態を明らかにすることである。空間的分析の結果から、あいりん地区では観光需要の拡大と地域の住宅用途の建物の老朽化により、空き家を建て壊して宿泊施設へと用途変更する物件が増えつつあることが明らかとなった。また、人的側面の分析から、地域内の店舗が観光客には利用しにくい現状や、簡宿に宿泊する観光客は地域外に滞在する時間が長いことから、観光による経済効果が地域に波及していない現状の課題を解明した。
著者
木村 優輝 嘉名 光市 蕭 閎偉
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.975-982, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
14
被引用文献数
4

観光地化が進む都市では、来訪者の増加によって、近隣の人々による利用が低下している地域がある。本研究では、大阪市道頓堀・戎橋筋周辺の街路において追跡調査を行い、街路上の歩行者の行動を把握した。それにより得られた結果を用いてクラスター分析を行うことで、対象地の街路を歩行者の行動の観点から9タイプ、歩行者の属性の観点から6タイプに類型化することができた。これらの街路類型を街路の空間特性と比較することによって、歩行者行動に影響を与える要素を把握することができた。結論として、観光地化が進む都市において、近隣の人々と旅行者が快適に共存し、調和のとれた歩行環境を実現するためには、地区内における歩行者を、地区全体で上手く分担することが求められると考えられる。
著者
橋戸 真治郎 蕭 閎偉 嘉名 光市
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.1451-1458, 2021

<p>日雇労働者のまちとして栄えた大阪市西成区の北東部に位置するあいりん地区は、日雇労働者の生活拠点であった簡易宿泊所が近年、観光客向けのゲストハウスに転用されることに伴い、外国人観光客を惹きつける観光地へと変容しつつある。他方で、観光関連ビジネスは地域活性化の重要な起爆剤とされている一方で、それに伴う施設開発は既存の居住空間の喪失や外部資本の無計画な流入などを引き起こし、地域の持続可能性への課題も指摘されている。本研究の目的は、あいりん地区における建物用途の変容に着目した空間的な分析と、地域関係者の観光化への意見や各主体の関係性に着目した人的側面の分析から、あいりん地区における観光化に伴う地域変容の実態を明らかにすることである。空間的分析の結果から、あいりん地区では観光需要の拡大と地域の住宅用途の建物の老朽化により、空き家を建て壊して宿泊施設へと用途変更する物件が増えつつあることが明らかとなった。また、人的側面の分析から、地域内の店舗が観光客には利用しにくい現状や、簡宿に宿泊する観光客は地域外に滞在する時間が長いことから、観光による経済効果が地域に波及していない現状の課題を解明した。</p>
著者
蕭 閎偉
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.705-712, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
30
被引用文献数
1

本稿では地域住民の提案により地域内に存在する遊休空間を改造して活用するOSを「地域住民提案型OS」と定義し、台北市において2014年から推進されてきた「オープングリーン」(OG)事業の中で創出された地域住民提案型OSに着目する。本稿では、以下2つの仮説を検証することを目的とする:仮説1) 台北市ではこれまでの一連のまちづくり関連施策と住民主体による空間提案の経験蓄積から、台北市の全域に地域住民による活発なOGの提案がなされている:仮説2) 住民主体によるOGの提案により創出された地域住民提案型OSでは、多様な空間利用が実現されている。本稿ではまず、背景としての台北市のまちづくりと遊休空間の活用をめぐる動向を整理した。本稿の成果を以下に示す:仮説1)の検証からOGの提案件数、立地条件、面積などに地域差があったものの、OGは今までのまちづくりの成果の継承のみならず、今後の新たな担い手の出現の契機にもなっていると解明した。仮説2)の検証から、住民主体のOG提案により地権者や既存空間の現状に縛られず多くの遊休空間の活用に成功し、更にOGでは1件あたり4種類もの多様な空間利用が共存し、「地域住民提案型OS」の多様性と可能性を明確に示唆した。
著者
中川 真紀子 嘉名 光市 蕭 閎偉 Supagtra Suthasupa
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.105-112, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
14

グローバルツーリズムの時代において、観光地化は、経済の発展や雇用機会を創出する一方、外部資本の流入や雑多な事業の介入を招きかねない。そこで、既存の生業や地域空間を保全活用することは持続可能な観光開発にとって重要であると考える。タイ・バンコクは近年の観光地化が著しく、特に、Rattanakosin島は、政府による歴史的建造物の保全や観光開発が行われ、バンコクの主要な観光地として位置づけられている。本研究は、Rattanakosin島の歴史ある2つのコミュニティに着目し、地価や土地利用などの空間的側面と、住民や政府、コミュニティ組織、事業者といった地域関係者の意識と関係性から観光地化の実態を解明した。
著者
遠矢 晃穂 嘉名 光市 蕭 閎偉
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.375-382, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
7
被引用文献数
1

近年の社会実験は公共空間の活性化のために必要不可欠なものである。 本研究は、グランフロント大阪の北館西側歩道に社会実験座具を設置した社会実験エリア内で、人々のアクティビティに焦点を当てている。 まず、社会実験エリア内の利用者の通年変化とイベントによって引き起こされる周囲への影響を検証した。 次に、利用者のアクティビティのタイプ区分と社会実験エリアに醸成された雰囲気の変化を分析し、その結果、この研究では、季節ごとの平日/休日の違いを明らかにし、またリピーターの出現やアクティビティによる周囲への影響を明らかにした。
著者
蕭 閎偉
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.26, no.62, pp.353-358, 2020-02-20 (Released:2020-02-20)
参考文献数
9
被引用文献数
2

This study focuses on the park management evolved from the park renewal project based on the agreement of installation-management permission in Tennoji park. The park management of Tennoji park is composed of hardware tasks and software tasks. First, this study makes clear the process and characteristics of hardware tasks. Second, this study verifies the details and achievement of software tasks including cleaning, security, lawn and planting management as well as events held in Tenshiba under the cooperation with other local actors. Finally, this study evaluates the outcome of park management based on the questionnaire.