- 著者
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薊 理津子
- 雑誌
- 江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
- 巻号頁・発行日
- vol.29, 2019-03-15
本研究では,屈辱感が社会適応的行動を促進する,云わば,自己を向上させる行動を導くための調整変数を検討することを目的とした。調整変数として,自己効力感,Locus of Control,達成動機,賞賛獲得欲求,拒否回避欲求,自尊感情,原因帰属を取り上げた。先行研究に基づき,自己が他者よりも劣位に置かれた場面に焦点をあて,大学生にとって想起しやすいゼミのレポートの評価というシナリオを設定して検討した。結果,賞賛獲得欲求の低い者は屈辱感が高まると,自己を向上させる行動が促された。また,内的帰属の低い者は屈辱感が高まると,自己を向上させる行動が促されることが示された。以上より,自己が他者よりも劣位に置かれるという場面において,屈辱感が自己向上を動機づけるよう導く調整変数として,賞賛獲得欲求と内的帰属が見出された。