著者
藤井 克彦
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

近年、環境への配慮から産業廃棄物・排水の排出規制が一段と厳格化しており、これらの適正な処理に多くの企業がコストと手間をかける時代となっている。申請者は高濃度の糖が存在する厳しい条件下で生育できる微生物の探索を行い、幾っかの環境試料から高濃度糖を含む無機塩培養液で良好に生育する酵母を分離した。そこで本研究計画では、分離株の生化学的および生理学的解析を行うとともに、分離株が産業排水の浄化に利用可能かどうかについて検討を行うこととした。本年度は、分離株OK1-3株を用いて食品産業排水を浄化できるか検討した。まずフラスコスケールで分離株の浄化能を検討した。乳業排水(糖分を多く含む氷菓子排水)および水産加工排水(タンパク質を多く含む練製品排水)に無機塩類培地成分を加え、これに分離株を接種して培養した。培養期間中、全有機炭素値を定期的に測定した。検討の結果、分離株は乳業排水培地で増殖し、3日間の培養で全有機炭素値が約30%低下した。次に、分離株を担体に固定化し、固定化担体の排水浄化能を検討した。その結果、9日間の培養で70-80%の有機炭素が無機化されていることがわかった。さらに1.5L規模の排水浄化装置を試作し、これに固定化担体を充填し、排水の連続浄化を試みた。4日間の連続稼動の結果、排水中の有機炭素量は日を追って低下し、最終日には全有機炭素の90%程度が無機化されていた。しかし比較に用いた醸造酵母でも同様の結果が得られ、OKI-3株独自の有用性を見出すには至らなかった。
著者
田口 英郎 藤井 克彦
出版者
Japan Human Factors and Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.59-70, 1973-04-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
10

比例式操作部 (ハンドル輪) を用いて人間に目標値追跡作業をおこなわせると, その過程には送りハンドルおよび急ハンドルとみなせる操作モードがあらわれる. 本稿では, 急ハンドル操作, 換言すればハンドルの回転方向をバンバン的に反転操作しながら習熟する過程に着目し, 解析をおこなった. すなわち制御対象の出力とその微分値からなる位相平面を人間がハンドル切換を行なうのに必要な特徴平面と考えた. つぎにこの平面上での予測軌道が反復試行によって変化することによりバンバン・モードの学習過程を明らかにした. この解析結果をもとにしてバンバン形式モデルを提案し, 実測データとの比較検討を行なった.