- 著者
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砂原 庸介
藤井 康平
- 出版者
- 日本財政学会
- 雑誌
- 財政研究 (ISSN:24363421)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.233-251, 2008 (Released:2022-07-15)
- 参考文献数
- 15
本稿では,地方政府における産業廃棄物税と森林税という2つの新税導入の意思決定要因について,都道府県レベルの地方政府における知事・地方議会という政治的アクターの選好と両者を選出する選挙制度を結びつけたうえで,その選好が新税の導入にどのような影響をもたらすかについて議論する。 本稿の分析からは,産業廃棄物税・森林税という2つの税が持つ性質が,首長または地方議会という選挙に直面する地方政治のアクターの選好と対応し,各地方政府における首長の再選可能性や地方議会自民党の優位性などの特徴が新税導入の意思決定に影響を与えていることが示される。このような新税導入の実証分析からは,地方分権改革によって地方政府の自律性が向上することで,同時に地方政府における政治的アクターにとっても,自らの利益につながる戦略的行動をとる余地が広がりつつあることが示唆される。