著者
武井 玲子 鍋山 友子 藤井 美香
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.39, 2009

<B>【目的】</B>近年、乳幼児の事故例が社会問題化している。そこで、乳幼児の被服や身につけるモノによるリスクを低減化するリスクマネジメント研究の一環として、保育所や幼稚園の集団保育施設における事故実態を把握することを目的とする。<BR><B>【方法】</B>福島県を中心として保育所95ヶ所、幼稚園90ヶ所、計185施設の0~6歳児、16,752人を対象として、郵送法により質問紙調査を行った。調査期間は、2008年10~11月。<BR><B>【結果】</B>92%の施設で事故が1回以上起きており、種類別事故発生率は上着20%、靴下17%、靴12%、カバン・オムツ各8%、ズボン・スカート・パンツ各7%、雨具・装飾品各6%であった。多く見られた事故例は、靴下やタイツ着用時、床などで滑って転んだ、上着のファスナーで顔や首の皮膚に傷がついた、などであり、他人にフードを引っ張られたり、ふざけていて転びそうになった、など集団施設での潜在リスクも存在していた。雨具や帽子などは、危害例は多くないが、潜在リスクと考えられる「ひやり・ハッと」事例が高い傾向であった。また、保育施設に設置されている遊具と身につけるモノが関係した事故発生率は、滑り台が一番高く、その他の遊具も10~15%であった。保育施設から、保護者に対して事故防止指導をしており、保護者は比較的よく指導に従っている結果であったが、一方、行政機関からのリスク情報などの提供を受けている施設はわずかであった。リスクマネジメントには、法規制やガイドライン策定などの施策も必要であるが、保育施設、保護者、製造・販売業者、行政機関などの関係者間があらゆる関係情報を共有化するリスクコミュニケーションの推進が重要となる。このリスクコミュニケーションの視点からみると、いくつかの問題点があり、効果的なリスクコミュニケーションの展開が今後の課題と考える。
著者
前田 恵利 河野 美穂 小川 千尋 大場 亜紀 高林 康江 藤井 美香 原本 久美子 日野 徳子 今野 理恵 堀尾 強
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.19, pp.101-110, 2018-03-10

In this study, assistance for improving urinary incontinence based on bladder function evaluation was practically applied to four patients with voiding dysfunction. Analysis was then performed on actual verbal communication incorporating prompted voiding (PV) that was found to effectively motivate patients during assistance.Effective verbal communication fell into three categories: verbal communication of joy in expressing a desire to void and appreciation; verbal confirmation of recovery in urinary function and verbal praise; and verbal communication that respects behavior and pace during voiding. Voiding assistance based on bladder function evaluation and communication incorporating PV led to patients voluntarily asserting their desire to void and thereby to improvements in urinary incontinence. The findings suggest that in the course of improving voiding function, emphasizing respect for patients’ self-esteem in verbal communication is as important as adopting an individualized approach to voiding assistance during bladder training.
著者
宇佐美 しおり 中山 洋子 野末 聖香 藤井 美香 大井 美樹
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.70-80, 2014

本研究は,退院後早期の再入院予防のための急性期治療病棟および退院後のケアを明らかにすることを目的とした.入院中,退院後の看護ケアを疾病ごとに抽出し,質的な内容分析を行った.ケア対象者である患者の平均年齢は47.4歳,発病からの期間は11.5年であった.ケア提供者である看護師は24名で平均年齢41.1歳,看護師の平均経験年数14.5年,精神科看護の平均経験年数は,10.2年であった.分析の結果,統合失調症,気分障害患者双方に抽出された看護ケアは,<退院後の安定した生活を意識しリソースを活性化する><地域生活を維持するために必要な在宅での安全・安心なケアを提供する>で,統合失調症患者には症状管理やセルフケアの獲得支援に関する支援が,気分障害患者には,うつ状態に関する自己理解を促進する支援が行われていた.本研究結果から,退院後早期の再入院予防のためには,急性期入院治療中から退院後まで継続的な症状の自己管理支援,危機時の速やかな介入,多職種による有機的連携強化が重要であることが示唆された.また,退院後3か月未満で再入院した患者と再入院しなかった患者の入院中の看護ケアの違いは見いだせなかった.すなわち,患者のこれまでの入院の仕方・地域での生活の仕方,患者の疾患,再入院の理由などを理解した個別的な看護ケアが十分に展開されているとはいえず,この区別が課題として残された.