著者
藤井 郁雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.406-410, 2001-07-20 (Released:2017-07-11)

免疫学は歴史的にみて, 免疫応答の調節機構や抗原抗体反応の分子認識をその研究対象としてきた。ところが, この15年の間に免疫学は, 有機化学との学際領域に新しい研究分野を展開し始めている。天然酵素が化学反応の遷移状態と結合し安定化することによって触媒機能を発揮しているように, 化学的に安定な遷移状態アナログを抗原として得られる抗体タンパク質は, 遷移状態と結合して触媒機能を獲得するようになる。ヒトやマウスの体内には多種多様な抗体のレパートリーが備わっているので, この方法を使えばテーラーメイドの生体触媒の設計が可能になる。
著者
藤井 郁雄 藤原 大佑 道上 雅孝
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.212-221, 2020-07-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
16

近年、低分子化抗体がポスト抗体医薬として注目されている。筆者らは、抗体様活性をもつ中分子の創薬モダリティーとして、ヘリックス・ループ・ヘリックス構造をもつ分子標的HLHペプチド(分子量:約4k)の開発を進めている。ファージ表層や酵母表層提示ライブラリーを構築し、進化分子工学的手法により、さまざまな疾患関連タンパク質に対する分子標的ペプチドを開発している。このペプチドは、強固な立体構造をもつため生体内の酵素分解に対しても安定であり、抗体と同等の高い特異性と強い結合活性をもつ。本稿では、分子標的HLHペプチドの設計およびその生物機能について紹介する。
著者
藤井 郁雄
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
1986

博士論文
著者
藤井 郁雄 阿部 昌之 早川 謙二 兼松 顕
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.4670-4673, 1984-11-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
5
被引用文献数
2 4

3, 4-Dimethoxy trans-6-morphinanone (1) and its cis isomer (2) were prepared stereoselectively from thebaine (3) and dihydrocodeinone (9), respectively. A general way of spectrally differentiating between these two stereoisomers is discussed.
著者
円谷 健 藤井 郁雄
出版者
大阪府立大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,タンパク質構造構築理論と試験管内進化とを組み合わせ,抗体の機能をダウンサイジングした.すなわち,抗体タンパク質とは全く異なるモチーフをもつペプチドのライブラリーを構築し,抗体に代わる分子プローブや分子標的医薬を開発した.本研究で提案する特定の標的抗原に対して特異的に結合するヘリックス・ループ・ヘリックス構造を有するペプチドを「マイクロ抗体」と名付けた.マイクロ抗体ライブラリーを用いてヒトマウスIgG-Fcやオーロラキナーゼに特異性を示すマイクロ抗体を獲得した.また,マイクロ抗体の抗原性や安定性について検討した.